あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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★市川崑監督の1961年映画『黒い十人の女』。私は1997年のリバイバルまで知らない映画だった。バブル世代ゆえに80年代当時は1万円以上の定価だったビデオをよく買っていたのだけれど、この頃は3000円台で買えるようになっていたことを思い出す。私は市川崑監督作品が好きであったし、岸恵子さんに岸田今日子さんが出演されているというのでワクワクした。母が云っていた「ミス日本だった」山本富士子さんも(勿体無いお話ながら五社協定により、1963年を最後に映画界から舞台女優となられ、映画界にはその後戻っておられない)!内容はよく知らずに観たもので、最初はサスペンス色の濃い作品なのだと思っていたけれど、なんともクールでコミカルでもあった。意外な予想外の感動作品とも云える。

風氏役は船越英二。テレビドラマの『時間ですよ』を思い出すお方(とっても面白かった!)だけれど、この1961年のお若い頃も素敵で、役柄の「風さん」にピッタリの飄々とした軽妙さが愉快。奥様の双葉役は山本富士子。これまたモダンでござんすなマダムで素敵!この風さんはテレビのプロデューサーというお仕事で、かつ誰にも優しい(なので誰にも冷たいとも言われる場面もある)。ハンサムで人当りも良く軽く、お仕事上の立場など、モテルお方。美人の奥様が居るのになんと関係のあった(継続中も)女性が他に9人も!プレイボーイと呼ばれる人だと珍しい事ではないのかもしれないけれど。中でも最も古い愛人は女優の石ノ下市子(岸恵子)で、市子は双葉とも今や友人のような関係。二人の会話の中で風氏を殺害する冗談が発端となり、10人の女たちが本当に殺害する計画を企てる。ところが、未亡人三輪子(宮城まり子)は情け深い女性でその計画を本人に伝えて忠告する。自分がそんな目に遭うなどとは寝耳に水の風さんは、妻の双葉に訊いてみる。その二人のやり取りがとても可笑しくて愉快!結局二人でお芝居をして死ぬふりをしようと。双葉の持つピストルは空砲に替えたのだけれど、なかなかタイミングが悪く云えないまま。女たちは揃いその時がやってきた。共犯者である女たちはそれぞれに苦しみを抱えたまま黙秘を続ける。新しい生活を始める人もいれば、三輪子のように自殺してしまう人も。この三輪子はその後も幽霊として登場するのもユニーク。
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風氏は死んだことになっているので、外に出歩けない。女優の市子は引退を決意し風氏との生活を選ぶ。風さんは仕事も妻も無くなってしまうことに...一時は彼女たちに殺される妄想に悩むこともあったけれど、思いもよらぬ展開で人生が狂ってしまったようだ。けれど、身から出た錆というところだろうか。市子の引退パーティーに双葉とすっかり仲良くなった元愛人たちも駆けつけた。最後の場面は不思議な余韻を残し、車を運転する市子の表情は暗く涙を浮かべているよう...この終え方や、白黒の陰影、女性たちのワンピースやお着物など、ヨーロピアンな雰囲気を感じる作風に思う。今観てもまったく古くない!名画とはそういうものなのだけれど、この『黒い十人の女』は1961年の作品だと思うと、やはり驚いてしまう!流石の市川崑である!岸恵子である!山本富士子である!そして、市川崑監督の奥様の和田夏十の脚本!芥川也寸志の音楽!カメラワーク...すべてにおいてスタイリッシュでモダン!今の映画では味わえない美学で大好き☆

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黒い十人の女/TEN BLACK WOMEN
1961年・日本映画
監督:市川崑 助監督:中村倍也 
製作:永田雅一 脚本:和田夏十 
撮影:小林節雄 特技撮影:築地米三郎
美術:下河原友雄 編集:中静達治 
音楽:芥川也寸志
出演:船越英二、山本富士子、岸恵子、宮城まり子、中村玉緒、岸田今日子、宇野良子、村井千恵子、有明マスミ、紺野ユカ、倉田マユミ、
森山加代子、永井智雄、大辻伺郎、伊丹一三、佐山俊二、中川弘子、浜村純、伊東光一、ハナ肇とクレージーキャッツ
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by claranomori | 2010-12-11 11:50 | キネマの夢・シネマ万華鏡
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★前回観たのは桜が満開の折に久しぶりに市川崑監督の『細雪』(1983年)に三度感動。「桜」は綺麗で可愛く儚げ。そして桜の木から想像されるイメージは実はあまり愉快ではない私。毎年家族で行ったお花見の想い出たちと、すっかりお花見から遠ざかってしまった私の心が「桜」を見ると不思議な感覚を覚えるような。なので、実は春はあまり好きな季節ではなくなってしまった。「桜」というと谷崎潤一郎、あるいはもう少し怖い所では坂口安吾などが浮かぶ。

『細雪』は谷崎潤一郎の原作。3度映画化されているけれど、私は世代的にこの1983年の市川崑監督の作品が好き。さらに、長女:鶴子役の岸恵子さんが子供の頃から好きで今も大好きな女優さま。嘗て観た時と年齢も環境も変わっているので、感動もまた違ったものだった。でも、最後は涙が溢れていた。京都の嵯峨での宴、見事な桜吹雪の映像はいつ見ても圧巻!そして、4姉妹のそれぞれの性格、テンポの良い会話、美しい関西弁、美しいお着物、髪飾り、家具等、そして豪華な俳優陣(故人も多い)...を堪能。特に、長女:鶴子と次女:幸子(佐久間良子さん)のやり取り、言葉も仕草も素晴らしい!昭和13年という戦争が近づく頃の昭和、大阪の船場。

三女:雪子役の吉永小百合さんの内に秘めた演技も美しいと思った。四女:妙子役の古手川祐子さんも、みんな今から思うととてもお若い。もう20数年以上前の作品なのだ。洋画を観る方が多いのだけれど、日本の映画も好きな作品はいつまでも色褪せることは無い。邦画は情けない程、昭和で止まったままだけれど、また観たくなる日本映画のことも追々に。

すっかり日本も変わったけれど、忘れたくないものって大切にしたいと思う。温故知新、好きな言葉。この映画を観てさらに強く胸に言い聞かせている気がする。子供の頃、おじいちゃんのお家に行くと、母がよく「本家に挨拶に行って来るからついておいで。」と言われてトコトコ付いて行った。「本家」って何だろう?と思いながら。昔の人は今の少子化と違い兄弟姉妹が多いから羨ましい。でも、それぞれの立場や家族、色んな葛藤や言い争いもあるのだと思う。「みんな、ええようになったらええなぁ~。」と最後に岸恵子さんが見事に語る。名台詞!

東宝の50周年記念作品というだけあって、脇役の方も名優さんがいっぱい。三宅邦子さんや白石加代子さん、根岸明美さんも好き。江本さんも出ていたのだった。お久役の三條美紀さんも好きなので再会出来て嬉しく思えた。嘗て綴ったものに加筆したものですが、やはりこの映画が大好き!

細雪
1983年・日本映画 
監督:市川崑 原作:谷崎潤一郎 脚本:日高真也、市川崑
撮影:長谷川清 美術:村木忍 編集:長田千鶴子
音楽:大川新之助、渡辺俊幸 助監督:吉田一夫
出演:岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、古手川祐子、伊丹十三、石坂浩二、岸部一徳、三條美紀、江本孟紀、仙道敦子、常田富士男、小坂一也、三宅邦子、根岸明美、白石加代子、細川俊之、浜村純

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by claranomori | 2010-11-27 19:12 | 文学と映画★文芸・史劇