あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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前述のウィリアム・ゴールディングの『蝿の王』の原作をハリー・フック監督が映画化した1990年のイギリス少年映画。この映画を観直してから書こうかと想いながら、どうも気が進まず、脳裏に焼きついている美しいジャック少年役を演じるクリス・フュール君のお姿を眺めていました。こんなに美しい少年が悪のリーダーとなってゆくので、かなり衝撃でした。この映画(原作共に)を観ずに少年映画もないでしょうが、やはりヘヴィです。原作では舞台は近未来でしたが、ハリー・フック監督映画では舞台をアメリカに置き換え、陸軍幼年学校の生徒たちを乗せた飛行機が墜落し、漂流する24人の少年たちを描いています。やはり最後は救出されますが、少年ラルフの涙が観る者の心に焼き付いているのではないかと想います。
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この映画出演しか知らないブロンドの髪の美少年クリス・フュール君。ラルフ少年役のバルサザール・ゲティ君は成長した現在も俳優を続けている。この美しいジャック少年(原作を後で読んだものでこのジャック少年の姿はどうしてもクリス・フュール君となってしまいます)が次第に"蠅の王"を掲げる野性派のリーダーとなり残忍になる。『蝿の王』とは聖書の中に出てくる言葉。「ベルゼバブ」という大悪魔はヘブライ語で「蝿たちの王」となるそうです。なので、ジャック率いるグループは「悪魔」の象徴で、対して、ラルフ少年を中心に"ほら貝"を「秩序」の象徴ということのようです。最初は規則を作り助け合って共同生活を誓う少年たち。次第にジャックをリーダーに野蛮になってゆく。ラルフやジャックたちより年少の子供たちは豚のお肉が食べたいのでジャックのグループに入ってゆく。漂流生活を想像しただけで私のような者は直ぐに死に至るだろうと想う。大人が誰も居ない中で何とか生き延びなければならない。お腹も空くし食べなければ体力は維持できない。サバイバルの世界...ああ!苦手。死んでしまう少年たち。最後に救出されてもラルフ少年の涙が全てを物語っているかのように、やはり、「無垢の終焉、人の心の暗黒」を知ってしまった少年の心。以前は"戦争ごっこ"だったのだろうけれど、現実には遊びではないことを知ってしまった少年の心。けれど、このラルフ少年の涙に私は希望を見い出したい!と願う。彼がそこで助かって良かったと笑顔で終えるよりも、失ってしまったもの(あるいは内在している醜悪な人間の姿)、その喪失感が涙で噎ぶのだと。人間なんて所詮こんなものだ!とは想いたくは無い...。

蝿の王/LORD OF THE FLIES
1990年・イギリス映画
監督:ハリー・フック 製作:ロス・ミロイ、ルイス・アレン 
製作総指揮:ルイス・アレン、ピーター・ニューマン
原作:ウィリアム・ゴールディング 脚本:サラ・シフ
撮影:マーティン・フューラー 音楽:フィリップ・サルド
出演:バルサザール・ゲティ、クリス・フュール、ダニュエル・ピポリー、バジェット・デイル、ゲイリー・ルール、アンドリュー・タフト、エドワード・タフト、マイケル・グリーン

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by claranomori | 2010-11-24 00:50 | 銀幕の美少年・少年映画
b0106921_15403421.jpg★少女が大好きながら少年も欠かせない。それは映画に限らず児童文学なども。けれど、少女が主役のお話の方をやはり優先してしまうので、後回しになり読んだり観たりする機会が随分遅くなることも多い。このウィリアム・ゴールディングの『蝿の王』は、イギリスのハリー・フック監督の映画を先に観て、後に原作を読んだ。けれど、どちらも大好きな作品とは思わない。でも、「少年少女愛好」も年月と共に重度になっているようなので、この作品に触れない訳にはゆかないと思う。やや気が重いけれど...。

ウィリアム・ゴールディング(William Gerald Golding:1911年9月19日~1993年6月19日)は、イングランド南西部コーンウォル、セント・コラム・マイナーに、学校教師の父と婦人参政権運動家の母を両親に、次男として生まれた。ウィリアム・ゴールディングが本格的な作家活動に入る以前は、オックスフォード大学に在籍し(1934年には『詩集(Poems)』を出版している)、翌年卒業後はロンドンで社会事業に従事しながら、演劇活動(脚本や俳優として)もしていた。1939年からはビショップ・ワーズワス校の教壇に立ち、英語と哲学を教えていた。けれど、1940年、海軍に入隊。1944年6月"D.Day"のノルマンディー上陸作戦に参加。作家ウィリアム・ゴールディングはこの5年間の軍隊経験が生んだとも云える。1945年には教師として復職しながら作家活動も平行していたそうだ。『蝿の王』は戦争体験の傷跡が持たらした結実(1954年刊行)。

『蝿の王』は、ロバート・マイケル・バランタイン(Robert Michael Ballantyne :1825年4月24日~1894年2月8日)の『さんご島の三少年』(1857年)を下敷きに、無人島に不時着陸した飛行機に乗った少年たちの、次第に野蛮になってゆく様を描いた小説で、数々の出版社から拒否され、フェイバー社から1954年に刊行された後も、国内で論議沸騰というウィリアム・ゴールディングの作家デビューは衝撃的であったという。本人自ら「寓話作家」を自認してもいる。

第二次大戦前は、私は社会的人間の完全性を信じていた。しかし、戦後は信じられなくなった

無人島に漂着した少年たちが、12歳のラルフを中心に生き延びること(救援されることを望みに)を目標に、島での生活を始めるけれど、次第に無垢を喪失し悪に目覚め統制が崩れてゆく。預言者的な存在のサイモンやピギーが殺され、獣性をあらわに示すジャックのグループの力が増してゆき、ラルフもギリギリまで追いつめられる。ジャックは聖歌隊の隊長だったけれど、狩猟隊を率いて豚肉を見せては小さな子供たちを仲間に加え、その暴力性と共に勢力を帯び、グループの独裁者となってゆく。

ロバート・マイケル・バランタインの『さんご島の三少年』のラルフ・ローヴァー(15歳)、ジャック・マーティン(18歳)、ピーターキン・ゲイ(13歳)の少年たちは、常に一致団結し助け合って、外に在る「悪」が少年たちを恐怖に陥れるように描かれているけれど、そのヴィクトリア時代の『さんご島の三少年』から100年近い年月の経過、戦争という、"ごっこ"ではない現実を体験してしまったゴールディングは、同じ名の少年たちでも、殊にジャックの描写を大きく変え、「悪」が子供たちの中に内在する恐怖として描いた。大人たちから解放され孤島の生活を最初は喜ぶラルフながら、英国海軍により救出された最後に涙に噎ぶ。それは「無垢の終焉、人の心の暗黒」を知ってしまった少年の心ゆえ。この最後の少年の涙の深さが私を捉えている何かなのだと想う。子供は決して純真な天使ではないのだと...けれど、根源悪なのだろうかと想いながらも、否、社会や大人たちの影響によって無垢が終焉となってしまう現実ではないだろうかと、私はまだ子供たちの純真な真っ白な尊い存在を信じていたいのか、絶対的に根源悪であるとは想いたくは無いのです。そんな事をいつも考えさせられながら、少年少女小説や映画を観ている気もします。

また、海洋小説としては、児童文学の代表作でもあるロバート・L・スティーヴンソンの『宝島』や、ジュール・ヴェルヌの『海底二万里』、アーサー・ランサムの『ツバメ号』(『ツバメ号とアマゾン号』で始まる)シリーズ、そして、フランシス・コッポラ監督の『地獄の黙示録』の基となるジョゼフ・コンラッドの『闇の奥』等も関連想起する。

1990年のハリー・フック監督の映画『蝿の王』のことを続けます!映画ブログは今後、此方で継続しようと想います。やはり「少年映画」(殊に美少年は大好きです!)も沢山好きな作品があります。私の好きな世界...自分でもまだまだその旅路の最中なので、音楽や文学、その他雑多に気ままに綴ってゆきますが、どうぞ宜しくお願いいたします♪
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by claranomori | 2010-11-23 23:29 | 文学と映画★文芸・史劇