デンマーク映画 『EMMA エマ』のお嬢様エマ(リーネ・クルーセ:LINE KRUSE)♪
2008年 08月 21日
ゆったりと人々の姿や言葉を観たり聞いたりしながら、心の温かさはお金とは関係ない処にあると伝える。押しつけがましくもなく。メルテ役のボリエ・アールステットがとても人間味のある心の豊かな優しい男性を好演している。こんな人好きだな。彼は実はスウェーデンから職を求めてやってきた異国の人。よそ者扱いで安い賃金での下水道でのお仕事、薄暗く狭い部屋で面倒をみてもらっている女性もいるメルテ。家出をしたエマは一泊だけ(のつもりだったけれど、様子を窺いにお家に帰ると使用人たちの陰口を耳にして心を痛めてまたメルテの元へ)彼の部屋で過ごす。自分のことはロシア人のロシアンコ王女だと嘘をついて。両親はお話を何も聞いてはくれないけれど、メルテは突然現れた12歳の少女の言葉を静かに聞き受けとめる。寛容な人物なのだ。次第にエマの高慢さから彼女の心の孤独さ、その悲しみの中出逢えたメルテとの交流の中でエマの心の優しさが感じられるようになる。偽装誘拐事件を企み、メルテに綺麗なスーツと豪華なホテルでのお食事をプレゼントする。壊れたままのオルガンを修理してエマに弾いてあげる。壊れたオルガンはメルテの壊れた心のように生き返った。これはロリータ映画ではない!12歳の裕福な少女と貧しいが心優しき中年男性との友情、心の通いの物語。まんまと少女の嘘に乗せられ逮捕されてしまうが、”娘に手を触れるな!”と警官に語り彼女を最後まで守る。少女の嘘からの身代金事件だと分かっても、両親の反応も相変わらず大きくも無さそうでエマが可哀想に想う。釈放されエマと再会し抱き上げるシーンで終わる。
その前に好きな場面なのだけれど、エマが”シラミがいる?”と聞くと、メルテは静かに”うん”と答える。そして、エマが彼のその頭に自分の頭をくっつけるシーン。メルテのことを、以前のエマなら汚らしいおじさんだと触れるのも嫌がっただろう。しかし、今は唯一の友人であり理解者を得たかのようにこのシーンは証すように感じた。心温かく少女の孤独な心を埋めてゆく...。好きな映画!監督は子供たちのテレビドラマなどを撮っていた経歴もあるそうだ。デンマーク映画というと
エマ/SKYGGEN AF EMMA
1988年・デンマーク映画
監督:セーアン・クラーグ・ヤーコプセン、脚本:セーアン・クラーグ・ヤーコプセン、イェアン・O・イェンセン、撮影:ダン・ローステン 音楽:トーマス・リンダール 出演:リーネ・クルーセ、ボリエ・アールステット、エゲ・ソフィーエ・スコウボー、ヘンリク・ラーセン