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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『ミミ MIMI』 (ルシール・アザリロヴィック監督)

『ミミ MIMI』 (ルシール・アザリロヴィック監督)_b0106921_1012478.jpg
この『ミミMIMI』はルシール・アザリロヴィック監督の初監督作品で、公私に渡るパートナーであるギャスパー・ノエが製作・撮影・美術を担当した1時間足らずの作品。12歳の少女ミミを演じるのはサンドラ・サマルティーノ。多分この作品のみではないだろうか(演技経験のない少女だとすると、このような役を担った後どうしているだろうか...と考えてしまう)。この作品は同監督の大好きな『エコール』に比べると印象は複雑。好き嫌いという以前に、彼らがこのようなテーマで描き出す社会や幼い少女の危険を想う。
『ミミ MIMI』 (ルシール・アザリロヴィック監督)_b0106921_10133242.jpg
グリム童話の『赤ずきんちゃん』をモチーフにした、大人たちの森で道に迷った少女(黄色ずきんちゃん)といった作風。しかし、舞台は”現在のパリ”である。愛らしいメルヘンではない。また、原題は『ジャン=ピエールの唇(LA BOUCHE DE JEAN-PIERRE)』なので、この『ミミ』での狼とはおじさんのジャン=ピエールなのだ。

ある日、少女ミミの目前で母親がなにやら幾種類もの薬を飲み自殺未遂を起こす。一人になってしまったミミはソランジュおばさんと一緒に住むことになる。そこにはおばさんの恋人であるジャン=ピエールというおじさんがいる。ミミはおとなしく喋らない。おばさんが留守の時におじさんが話しかけてくる。そして、その優しい(気持ち悪い!)囁きは幼い少女への好色を示すもので、”おばさんには内緒だよ”などと言う。私はこんな場面が好きではない!しかし、これは映画の中の物語ながら現実の日常を描き出したものでもあるのだ。嘗ては病めるアメリカの問題のひとつのような事柄が、今はフランスでもイギリスでも日本でも...。呑気なロリータ映画とは違いここでの緊張感は不快ながらも警告のようにも感じた。今に始まったことでないということはグリム童話やペロー童話などでも語られているのだ。子供の頃、母が読んでくれたこうした童話、自分でページをめくりながら読んだ絵本の世界。私は童話が好きなようですっかりよい大人の歳になった今もよく読み返す。そんな中、それらの中に児童書としての語りとは違ったものがいかに大きいのか!また残酷な物語なのか!と新たな想いを得ている日々。お母さんのところに行きたいミミは薬を飲む(自殺未遂)。幸いにもおばさんとおじさんが病院へ連れて行ってくれたので命は助かった。しかし、安心はならない!帰宅途中のおばさんとおじさん。その車内でおじさんは”いつでも会いにいけるよな”と言い、おばさんは無言...FINとなるけれど、これは《教訓》として。私はその後のミミが気がかりなのだ...。
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ミミ/MIMI
1996年・フランス映画
監督・脚本:ルシール・アザリロヴィック 製作:ルシール・アザリロヴィック、ギャスパー・ノエ 製作協力:アニエスb. 撮影・美術:ギャスパー・ノエ 出演:サンドラ・サマルティーノ、デニス・スクロプファー、ミシェル・トリロ
by claranomori | 2008-07-22 11:01 | 銀幕の少女たち・少女映画