サラ・ベルナール(SARAH BERNHARDT)に募る想い
2007年 05月 02日
私は映画がとても大好きで、子供の頃はテレビの洋画劇場、そして母に連れられて劇場体験、10代半ばから友人や一人で劇場へ向かうようになった。そして、今は随分当時とは状況も変わり、ビデオやDVD、衛星放送とさらに私の関心は深まるばかり。映画やお芝居を観に行く事が大好きだった母から往年の俳優や名画の名を耳にして来たこと、今の私の大切な財産のように思う。マレーネ・ディートリッヒはそんな母から教えて貰い、世代が違うのでピンとこないお方が多かった当時ながら、デイートリッヒはその美しさから即と魅せられてしまった。ある日、母が語ってくれた、「昔は女優という職業は軽蔑されていた、芸人という仕事はね。」というような...他にその時何をお話しただろう。私は”女優”が大好き!今では好きな女優を挙げると限りなく続く。残念ながら多くの映画創設期の作品、サイレント作品は知らない。DVDになったりして少しそれらの世界をモニター越しに辛うじて体験できるのみ。そして、当時の写真や映画人方のお話を活字で読むことが僅かながらの私の今のところ。しかし、それだけでも嬉しく楽しくてしかたがない。
時代がもう少し違えば...と、動く映像を想像する。19世紀末の大舞台女優サラ・ベルナール。”ベル・エポックの半神”とも”聖なる怪物”とも言われ、”神秘の窓”、”黄金の声”とその瞳と美声を讃えられてきた。1844年~1923年の生涯。第二帝政期にコメディ・フランセーズにデビューして以来、20世紀初頭まで数多くの芸術家や作家たちに影響を与え、正しく彼らのミューズ、美神であった。サラ・ベルナール自身が芸術家であることも大きい。ただ美しい被写体としてのモデルではなかったのだから。複雑に変化する表情、卓越した演技力、動き...そんな舞台を観ることができたなら、と夢うつつ。アルフォンス・ミュシャが有名になったのもサラ・ベルナールの後押しがあってのこと。写真家のフェリックス・ナダールを魅了し、オスカー・ワイルドの『サロメ』も演じており、かのオーブリー・ヴィンセント・ビアズリーの線描にも影響を与えたという。幾度と演じたと言われるアレクサンドル・デュマ・フィスの『椿姫』(映画版も製作されている)を想像し募る想いは果てしなく。