『黒い十人の女』監督:市川崑★とてもスタイリッシュかつコミカルな日本のフィルム・ノワール(1961年)!
2010年 12月 11日
風氏役は船越英二。テレビドラマの『時間ですよ』を思い出すお方(とっても面白かった!)だけれど、この1961年のお若い頃も素敵で、役柄の「風さん」にピッタリの飄々とした軽妙さが愉快。奥様の双葉役は山本富士子。これまたモダンでござんすなマダムで素敵!この風さんはテレビのプロデューサーというお仕事で、かつ誰にも優しい(なので誰にも冷たいとも言われる場面もある)。ハンサムで人当りも良く軽く、お仕事上の立場など、モテルお方。美人の奥様が居るのになんと関係のあった(継続中も)女性が他に9人も!プレイボーイと呼ばれる人だと珍しい事ではないのかもしれないけれど。中でも最も古い愛人は女優の石ノ下市子(岸恵子)で、市子は双葉とも今や友人のような関係。二人の会話の中で風氏を殺害する冗談が発端となり、10人の女たちが本当に殺害する計画を企てる。ところが、未亡人三輪子(宮城まり子)は情け深い女性でその計画を本人に伝えて忠告する。自分がそんな目に遭うなどとは寝耳に水の風さんは、妻の双葉に訊いてみる。その二人のやり取りがとても可笑しくて愉快!結局二人でお芝居をして死ぬふりをしようと。双葉の持つピストルは空砲に替えたのだけれど、なかなかタイミングが悪く云えないまま。女たちは揃いその時がやってきた。共犯者である女たちはそれぞれに苦しみを抱えたまま黙秘を続ける。新しい生活を始める人もいれば、三輪子のように自殺してしまう人も。この三輪子はその後も幽霊として登場するのもユニーク。
1961年・日本映画
監督:市川崑 助監督:中村倍也
製作:永田雅一 脚本:和田夏十
撮影:小林節雄 特技撮影:築地米三郎
美術:下河原友雄 編集:中静達治
音楽:芥川也寸志
出演:船越英二、山本富士子、岸恵子、宮城まり子、中村玉緒、岸田今日子、宇野良子、村井千恵子、有明マスミ、紺野ユカ、倉田マユミ、