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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『ルネ』(1802年)孤独な青年ルネ 著:フランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアン★フランス・ロマン主義の父

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★フランス・ロマン主義の先駆者であるフランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアン(François-René de Chateaubriand :1768年9月4日~1848年7月4日)は、貴族出身のフランス、ブルターニュの港町サン=マロ生まれの作家であり政治家。フランス革命という激動の時代、北アメリカへ、またドイツへ亡命し貴族軍に加わったり、イギリスへ亡命...そしてパリへの帰還と波乱。早くに父を、愛する母と姉を立続けに失った孤独は作品にも色濃く反映されている。幼少時からのメランコリーはフランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアンとして貴族の末っ子に生まれたことも大きいだろう。激動の時代の王権に圧迫された地方貴族である。そして、森と海のコンブールの城館で少年時代を過ごしたことも。またカトリックへの回帰とパリ帰還の1800年は、シャトーブリアンの作家としての転機の年であったようだ。

シャトーブリアンの『ルネ』(1802年)という小説が大好きなのですが、この作品は『アタラ』(1801年)から続くものでもあるのだけれど、私の好きな「ロマン主義」、とりわけ「フランス・ロマン主義」というと欠かせない作家であり作品のひとつがこの『ルネ』なのです。

ルネは生まれると同時に母を失い、孤独と瞑想とメランコリーの中で、ただ姉アメリーだけを慕い育つ。幸福を求めて旅に赴くが挫折する。自殺を考えるが姉に引き止められる。やがて、修道院に入った姉アメリーは弟ルネを愛していたことを無意識の中で叫ぶのであった。彼ら二人が姉弟の間を越えた愛情(近親相姦)を抱いていたことに気づいたルネ。暗い宿命に囚われ絶望のなかヨーロッパを捨てアメリカへ渡る。

「早く吹き起こってくれ、ルネを別の生の世界へ運んでくれる待望の嵐よ!」こう叫びながら、私は顔を火照らせ、風に髪を吹き乱し、雨も霧氷も肌に感じず、わが心のデモンに恍惚と魅せられ、懊悩にさいなまれながら、あたかもその魔に取りつかれでもしたかのように、大股で歩きまわったのでした。

この激烈な青春のあがき。孤独とメランコリーに心打たれる。壮麗な美文は「言葉の魔術師」とも讃えられ、逆に、その誇張された文体と自己讃美をスタンダールは「偽善者の王」と呼んだとも。どちらにしても、解放された自我の悲劇を美麗に描いたシャトーブリアンは、「フランス・ロマン主義の父」となったのである。殊に青年層に大きな共感を生み、「ルネ病」あるいは「世紀病」と呼ばれ流行ったというけれど、きっと、私もその時代に生きていればそれらの病に至っていたであろう。
by claranomori | 2010-11-09 06:56 | 19世紀★憂愁のロマンと美