あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『別れの唄』(1885年) 詩:エドモン・アロークール(EDMOND HARAUCOURT) 訳:西条八十

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『別れの唄』

出発するということは、いくらか死ぬことである、
愛するひとに対して、死ぬことである、
人間は一々の時間の中に、一々の場所の中に、
自分を少しずつ残してゆく。

それはいつも願望の喪失であり、
詩の最終の言葉、
出発するということは、いくらか死ぬことである。
出発なんか、至高の別離すなわち死の別れにくらべれば
遊びのようなものであるが、
その死の時まで、人間はさよならを言うたび、
自分の死を、そこに植えてゆく、
だから、出発するということは、いくぶん死ぬことである。

詩:アロークール 訳・西条八十

★エドモン・アロークール(Edmond Haraucourt:1856年10月18日~1941年11月17日)はフランスの詩人、小説家、劇作家、オペラなど歌劇にも造詣の深いお方だったようだ。私は小説も好きだけれど、詩集がとても好きなのですが、エドモン・アロークールの詩はこの一つしか知りません。この西条八十氏の訳による『別れの唄(Rondel de l'adieu)』は母が持っていた『愛の名詩集』を死後譲り受け、知ることのできたものです。なので、とても古びています。けれど、古びた風情も好きです。両親の死後、多くの詩や小説、映画や音楽、友人たちから勇気づけられ今があります。本当に古びた詩集ながら今ではとても愛おしいもの。中には私の好きな作家が多く、持っている詩集もあるのですが、もっと新しいものなので、訳者も違います。西条八十(1892年(明治25年)1月15日~1970年(昭和45年)8月12日)というお方も好きな詩人(童謡など)でもあります。

このエドモン・アロークールというお方の作品はあまり邦訳されたものがなくて、このすっかり大好きになってしまった『別れの唄』以外の詩も読みたいのですが困難な現状です。図書館に『原人ダアア』があったので今度お借りしたい候補の一冊になっています。嘗ては『或る原始人』『人間と性の歴史』として刊行されていたものの最も新しいものです。人間の生というものを深く探求されていたお方のように感じます。

エドモン・アロークールと同時代を生きておられた西条八十。この『別れの唄』はエドモン・アロークールの初期の作品『L'ÂME NUE』(1885年)に収録されているもの。直訳では「裸の魂」なるこの作品が嘗て邦訳されていたのかも知らないのですが、フランス文学の授業でも名前すら出てこなかったので、日本ではあまり知られていない作家のようです。何かご存知のお方が居られましたら教えて頂けると嬉しいです。
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by claranomori | 2010-10-30 07:33 | 19世紀★憂愁のロマンと美