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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『ローズ メリー ローズ』 生と死で繋がった3人の女性★著:マリー・ルドネ (1987年)

『ローズ メリー ローズ』 生と死で繋がった3人の女性★著:マリー・ルドネ (1987年)_b0106921_16291711.jpg『ローズ メリー ローズ』というご本に偶然出会えたのは90年代の初め頃。作者はマリー・ルドネ (Marie Redonnet)で、フランスでは1987年に刊行され日本語訳は1990年に発行されたもの。マリー・ルドネは元々詩人であるのでこの小説もやはり詩的な香りが簡潔かつ清々しい文体から感じられる。また、女性作家ならではの感性が私には強く感じられ一気に読み終え、今も記憶に残っている少女メリーを思い浮かべたりする。

タイトルにある3人の女性は生と死で繋がったような運命の姉妹のようでもある。老女ローズ、12歳の少女メリー、そして赤ちゃんのローズ。この赤ちゃんの母親は少女メリーで16歳で出産し死に至る。老女ローズが少女メリーを洞穴で見つけたのだけれど、メリーの12歳のお誕生日にローズは死んでしまう。この小説には精密な描写はなく、その他の登場人物たちはローズとメリーの名を混同して語る(記憶されている)辺りは不思議な気分でもある。少女の初潮で始まり出産時の出血で死に至る、その血はこのお話にとても重要。また赤い血と同様に、白のイメージや風景、そして老女ローズが唯一持っていた「伝説の本」という存在も。僅か16歳で死に至るという少女メリーながら、老女ローズから少女メリー、そして生まれてきた娘ローズという生命の流れ、尊さのようなものが印象的で重苦しい読後感など皆無だった。

この『ローズ メリー ローズ』は、『スプレンディド・ホテル』(1986年)と『フォーエバー・バレー』(1987年)に続くもので、これらは三部作とされているけれど前2作は未読。いつか読んでみたいと思っているところです。
『ローズ メリー ローズ』 生と死で繋がった3人の女性★著:マリー・ルドネ (1987年)_b0106921_16293735.jpg
~作者のマリー・ルドネ (Marie Redonnet)です♪~

by claranomori | 2010-08-03 18:01 | 本の中の少女たち・少年たち