『さらば愛しき女よ』(1975年) 主演:ロバート・ミッチャム 宿命の女:シャーロット・ランプリング
2010年 11月 06日
ミステリーや犯罪映画(広義のフィルムノワール)が好きなのは、やはりジャン・ギャバンを筆頭にアラン・ドロンやイヴ・モンタン、リノ・ヴァンチュラやジャン=ポール・ベルモンド、ロベール・オッセンやジャン=ルイ・トランティニヤン...というフランス映画のフィルムノワールの名作たちを知らず知らずに観返しているうちに、本家の40年代以降のアメリカのフィルムノワール作品も遡って観るようになって行き、ふと気づけばすっかり好きになっているようなのだ。
「犯罪の陰に女あり」なのもツボなのだと想う。そして、好きな女優たちがそのドラマの鍵を握ることも多いのは、ミステリアスな魅力の知的でクールな美女たちが多いことも深く関係していると想う。
その昔、ベルマが歌手としてつとめていた『フロリアンの店』を訪ね、マーロウはフロリアンの持主で未亡人のジェシー(シルヴィア・マイルズ)の家を訪ねたが何の手がかりも得られなかった。オフィスに戻ったマーロウを遊び人風の男リンゼイ・マリオが待っていた。ある重要人物が盗まれた宝石の回収現場に立ち合ってほしいという。マーロウはキナ臭いものを感じたが、仕事がないよりはましだった。夜、取引相手を待つマーロウは突然何者かに後頭部を殴られ気絶した。
宝石の線から、コレクターとして知られる市の実力者ロックリッジ・グレイルの邸宅を訪ねたマーロウは、悩ましい曲線で迫るグレイルの若妻ヘレン(シャーロット・ランプリング)と出逢い、その美しさに眼をみはる。彼女がマーロウに依頼したのは宝石のことではなく、ボーイフレンドだったマリオを殺した犯人を挙げることだった。オフィスへ戻ったマーロウを3人の暴漢が襲った。監禁されたマーロウ、次々と展開する数日後、ジェシーから連絡が入りベルマがマロイに会いたいという。
約束した場所へ乗り込んだマーロウとマロイに殺し屋たちの機関銃の乱射が浴びせられた。辛くも危機を脱した2人。事件のカギがブルネットのトバク船にあると推理したマーロウはマロイと乗り込む。ナルティ警部補もその後を追った。激しい銃撃戦の末ブルネットの船室に乱入した2人は、そこにヘレン・グレイルの姿をみた。「ベルマ…!」思わずつぶやくマロイ。グレイル夫人こそ、マロイが6年間も獄中で想い続けた可愛い女だった。
素性の卑しい女が玉の輿に乗った。一時、愛を語らい、共に犯罪を犯した相棒が出所して自分を捜し始めたとき、女は自らの過去を知る関係者たちを次々消さなければならなかった。ヘレンと彼女を利用して立身を計るブルネットこそ真の犯人だった。突如、グレイル夫人がマーロウを消すようにマロイをけしかけた。操られるようにマロイが近づいた時、その背後で銃弾が炸裂した。ナルティだった。マロイが倒れたせつな、マーロウの拳銃が火を吹きグレイル夫人の胸を血に染めた...。
あらすじを読んだだけではこの映画の魅力は味わえない!ロバート・ミッチャムとシャーロット・ランプリングの魅力、気だるく甘いムードは知らない40年代のアメリカへ連れて行ってくださる。また、犯罪映画の多くの優れた音楽が大好きでもある。シルヴィア・マイルズやハリー・ディーン・スタントンもここでも個性を印象強く焼きつけている。
1975年・アメリカ映画
監督:ディック・リチャーズ 原作:レイモンド・チャンドラー 脚本:デヴィッド・Z・グッドマン 撮影:ジョン・A・アロンゾ 音楽:デヴィッド・シャイア
出演:ロバート・ミッチャム、シャーロット・ランプリング、ジャック・オハローラン、ハリー・ディーン・スタントン、シルヴィア・マイルズ、デヴィッド・キャラダイン、レインボー・スミス、シルヴェスター・スタローン
※新しく設けたカテゴリーですが、映画は幅広く好きなもので、少年少女映画や文芸作品だけでは「心の映画」が綴りきれないもので、今後は、「心のミステリー映画(かなり厳選しての大好きな作品を優先してゆきます)」も、宿命の美女たちと共に此方で綴ってゆこうと想います。