あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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by Claranomori | 2015-09-14 06:30 | わが麗しの夢幻音楽の旅
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音楽

音楽がきこえてくると、
私のまわりの世の中が消えてしまう。
そして
すべての愛しいものは
ひとしお 愛らしくなってゆく。
幻想のなかで、花は燃え咲き
その森の樹木は
陶酔に重い枝をもちあげ
声をのんでたたずんでしまう。

詩:ウォルター・デ・ラ・メア 訳:三井ふたばこ

先述のウォルター・デ・ラ・メアの妖精詩に続きまして、今回はこの『音楽』と題された詩を。「音楽」とは私にとっても欠かせないものです。そして世界中の文学の中に好きな小説や詩集があります。映画や絵画にも音楽が私にはあります。それは感じる、響くという楽の調べです。なので、楽器を奏でる音楽だけではないのです。また、私の好きな「少年少女詩」には往還する少女世界でもあります。私は音楽がきこえてくると、私のまわりの世の中が消えてしまう。そして すべての愛しいものは ひとしお 愛らしくなってゆく。というこの詩が今も大好きなのは、その美しき音楽を愛したゆえに、今の私が在るのだということを心から感じているからです。もう逃れること、後戻りも出来ない私の人生にとって、なんとも美しき孤独を知ってしまったことでしょう。正しく、私の心の旅路であり、孤独であるけれど愛する世界が導いてくださるのです。平坦でないがゆえに、人生も孤独も尊いものだと想っています。それにしても、やはりウォルター・デ・ラ・メアの独自の夢幻的な世界が好きです。

少年少女を愛おしく想う心は何処から来るのか自分でもよく分かりません。ただ可愛いという世界だけではなく。このブログの「クララの森」とはそのような私の好きな美しき世界の表象でもあります。「少女愛惜」とは少年少女を愛おしく想うことと同時に、その儚き刻が束の間の時間であるけれど愛惜の念に於いて結晶のように時の流れと共に私の心の中に在り続けるのだという想いです。なので、少女愛好家と称される方々とは何かが違うと感じることも多い(正否などなく)。もっと乙女ちっくな記事を望んで頂いているお方も居られるそうですが、私の心に見えるもの、感じることに出来るだけ素直に綴っているつもりです。こんなブログながらも共鳴してくださる方々、コメントを頂けることに感謝しています。ありがとうございます!


少数派ブログながら参加してみました♪
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by claranomori | 2012-03-07 11:53 | 詩人・作家・画家・芸術家


風も吹かない
日も照らない―
だのに 白雪が
そっと舞いおちる―
小枝も大枝も
広葉も棘も
みんな凍って
ひっそり さみしい。
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ささやきながら、寄りそいながら、
空に舞い、舞い、
敷居に石に、
そして屋根にも―どこにでも
雪は 粉の水晶片を積みあげて
どんな木でさえ 山にする。
一日の終りに
一本の冬の日差しが
淡く、かすかに
西空から消えゆくまで。
そして おぼろな月の出るあたり
火の羽根に覆われて、
一羽のこまどりが
さみしい調べを さえずりつくす。

詩:ウォルター・デ・ラ・メア 挿絵:ドロシー・P・ラスロップ 訳:荒俣宏
『妖精詩集』 夢の世界
より

★この『雪』はウォルター・デ・ラ・メアの1922年刊行の『妖精詩集』の中に収められている好きな詩の一つです。挿絵はドロシー・P・ラスロップで、各詩に寄りそうように一緒にあります。ニュースで東北及び首都圏の雪空、雪の中を歩く人々の姿を拝見いたしました。大阪は昨日から今日も雨模様。同じ日本に生きる人々なので、やはり気になります。私が雪掻きのお手伝いが出来るのでもないのですが...。ウォルター・デ・ラ・メア(Walter De La Mare:1873年4月25日~1956年6月22日)はイギリスのケント州チャールトン生まれの作家。幻想文学、詩集、児童文学と多岐に渡る独自の夢幻的世界を美しく綴る作家です。

ウォルター・デ・ラ・メアは幼な心を謳いあげた"幼な心の詩人"と謳われるお方。この『妖精詩集』の訳者である荒俣宏氏のあとがきには、西條八十や佐藤春夫、三好達治もウォルター・デ・ラ・メアを愛したのだとあります。また、江戸川乱歩は、デ・ラ・メアの名言「うつし世はゆめ、よるの夢こそまこと」を座右の銘にしていたのだそうです。

デ・ラ・メアの作風をひとことで述べれば、"夢の中に暮らす幼年期の感性"、ともあり、私はそうだからこそ、ウォルター・デ・ラ・メアの詩や物語が好きなのだと想えます。年々実年齢だけは増してゆく中で、どうしても幼き頃の風景たちが私の人生には不可欠のようなのです。夢の世界と現実の世界を往来できる作品に出合うと嬉しいです。

現実を見つめると重く悲劇的な気分に陥ります。殊に東日本大震災以降、否、おそらくあの終戦後(敗戦後と云うより)から日本の心は闇の中に沈むばかりだったのではないかと感じます。けれど、黙して耐えながら曙光を求め願い続けて来たのも日本人ではないだろうか、とも想います。雪の寒さの中ですが、どうか東北の皆様、頑張ってください☆
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by claranomori | 2012-01-21 18:05 | 神話・お伽噺・妖精譚
★今日もまた怖い夢をみた。夢の中で頓服を飲む自分の姿があった。ニュースや被災者の方々のメッセージから考えさせられることはあまりにも多い。1週間を経た頃だっただろうか...ある少女の表情が焼きついて離れない。津波に流され全壊したお家にご家族の方と向かい、想い出たちを持ち帰ろうとされていたようだった。ご両親と小さな弟さんが一緒だった。その少女は俯き青ざめていたように感じた。少女は10歳前後ではないだろうかと思う。さらに幼い少年は笑顔を見せてくれていた。一言に「子供」と言っても様々な性格があり環境も異なる。こんな悲劇の中でさえ、すべて公平ではない。私がその少女の姿に何かシンパシーを感じてならないのは何故だろうと考えてしまう。きっと、学校ではお友達と一緒で笑顔の愛らしい少女だろう。また、違うニュースの映像では、流れ着いたがれきの中にランドセルがあった。ランドセルには私もとても思い出があるので反応してしまう。6年間の小学校生活を共にした愛しき赤いランドセルだった。

私の幼い日の風景が巡る。確か小学二年生だったと思う。国語の時間にオスカー・ワイルドの『しあわせの王子』のお話を先生が読んでくださった。私は授業中にお話を聞き泣いてしまうことが幾度かあった。最も古い記憶は幼稚園で、多分その次がこの『しあわせの王子』。オスカー・ワイルドはとても大好きな作家なので、幾度か読み返すのだけれど、年齢によってこの有名な童話の魅力も異なるような。自分で購入したものは、『幸福な王子』と題されているワイルド童話の名作が詰まったもの。以前に『王女の誕生日』のことを綴ったけれど、やはり、どのお話も好き!
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オスカー・ワイルドの童話ではもっとも有名な作品なので読まれたお方も多いと思う。私が幼き日に感動した心と今では妙な妄想と共に作品は深まるばかり。けれど、美しい王子の像の、その体の一部である宝石や金箔をツバメに頼み、貧しい人々に与えるという崇高な心。また、エジプトへ向かう予定だったツバメは遂には寒い季節となり死に至る。輝く王子の像はすっかり灰色の像、その王子の足元にツバメの亡骸が...。もう美しくはない王子の像は見捨てられ、広場の像は市長の像に変えられる。像を炉で溶かすけれど、壊れた鉛の心臓だけは溶けない。議員や鋳物工場の人たちはその鉛をツバメの死骸を捨てた塵山に投げ捨てる。けれど、神さまは天使に「町中で一番尊いものをふたつ持ってきなさい」と言い、天使は鉛の心臓と死んだツバメを持ち帰り、天国の神さまの庭で彼らは共に。

「わたしが行くのはエジプトではありません。死の家に行くのです。死は眠りの兄弟です。そうじゃありませんか?」

そしてツバメは幸福な王子のくちびるにキスをし王子の足元へ落ちて死んでしまう。その瞬間に、何かが壊れたような、ぴしりという奇妙な物音が像の内側で響く。それは、鉛の心臓が割れた音であったという場面に心奮える感動を覚えたのは、大人になって読み返した折のこと。私は古典と呼ばれる文学に魅了され続けていて、好きな作品を読み返すことも多い。殊に19世紀辺りまでの作品。なので、最近の作品に疎い。けれど、本を読むという中で得られる、なんとも言えない心の彷徨や時間軸や空間を浮遊するかのような、あのトキメキ!温故知新という言葉も大好きなので、どうしても古い時代に心が赴くようなのです。

※アイルランド生まれのオスカー・ワイルド(Oscar Wilde)の童話集、『幸福な王子』の初刊は1888年。19世紀末に残され今も読み継がれる作品。上の絵は同じく19世紀の英国に生きたウォルター・クレイン(Walter Crane)による挿絵です。
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by claranomori | 2011-03-31 09:51 | 童話・絵本・挿絵画家
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★ロザムンド・ピルチャー(ROSAMUNDE PILCHER:1924年9月22日、コーンウォール生まれ)の1982年刊行の小説『メリーゴーラウンド』。『空っぽの家』も好きだけれど、この『メリーゴーラウンド』の主人公である美しく聡明な23歳の娘プルーの感性と意志、そして二次的な主人公の少女シャーロット。両親の愛が希薄なこの10歳の幼い少女シャーロットを想いながら読み、またその少女を見つめて思考する娘プルーの心の動きに涙した。プルーはロンドンの画廊に勤めていて、婚約寸前だった。或る日、コーンウォールに住む叔母の怪我の看病に向かうことになる。プルーはそこでダニエルという青年画家と出会う。その出会いは偶然から生まれる必然的なものであるかのようである。複雑な人間関係、社会との鬩ぎ合い。原始的で美しい自然の残るコーンウォールという舞台で、ロザムンド・ピルチャーの優しい語り口と視線で、プルーの青春を描いた小説。

彼女は漫画新聞を手にして、赤い革のバッグを肩からかけていた。顔は青白く、髪は短く、長くほっそりした首を出していた。この外観と眼鏡と禁欲主義的にみじめな表情とで少女は少年のように見え、わたしはプラットフォームで見かけたごわごわした真新しい制服に身をちぢこめ、必死で涙をこらえながらでっぷり太った父親たちから寄宿学校がどんなに楽しいところかを聞かされていた少年たちのことを思い出した。

このお話の中の少女シャーロットはこんな少女のようなのだ。以前綴った「ジョン・シンガー・サージェント:JOHN SINGER SARGENT」というお気に入りの画家の作品の中の一つ、『カーネーション、リリー、リリー、ローズ(Carnation,Lily,Lily,Rose)』という大好きな絵の中。白いお洋服を着た少女が二人。後ろ姿の方の少女がこの『メリーゴーラウンド』に登場する少女シャーロットのイメージ。ダニエルがテイト・ギャラリーで見つけた絵としても描かれています。不思議な運命の糸で結ばれたプルーとシャーロットの人生は、メリーゴーラウンドのように回り始めてゆく♪
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『メリーゴーラウンド』 作:ロザムンド・ピルチャー 訳:中山富美子

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by claranomori | 2011-02-18 20:32 | 本の中の少女・少年
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★ルイス・キャロル(Lewis Carroll:1832年1月27日~1898年1月14日)は、イングランド北西部チェシャー州ダーズベリ出身のイギリスの数学者、論理学者、写真家、作家、詩人であり、19世紀に生きた少女愛好家。 本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジソン 。そのルイス・キャロルの詩人としての最初の作品とされるのは13歳の折(1845年頃)のもので『ぼくの妖精』というもの。「汝すべからず」と、少年チャールズ・ラトウィッジ・ドジソンは、既にルイス・キャロルであったようです♪

ぼくの妖精 

ぼくについてる妖精が
眠っちゃいけないって言うんです
あるとき怪我して叫んだら
「泣いたりしてはいけません」

つい楽しくてニヤリとすれば、
笑っちゃいけないって言うんです
あるときジンが飲みたくなると
「ものを飲んではいけません」

あるときご飯を食べたくなると
「ものを食べてはいけません」
勇んで戦に馳せ参じたら
「喧嘩をしてはいけません」

悩み疲れてぼくは訊く
「していいこと なにかあるの?」
妖精しずかに答えていわく
「質問してはいけません」

《教訓》 汝すべからず

訳:高橋康也

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by claranomori | 2010-11-28 13:47 | 19世紀★憂愁のロマンと美
b0106921_15403421.jpg★少女が大好きながら少年も欠かせない。それは映画に限らず児童文学なども。けれど、少女が主役のお話の方をやはり優先してしまうので、後回しになり読んだり観たりする機会が随分遅くなることも多い。このウィリアム・ゴールディングの『蝿の王』は、イギリスのハリー・フック監督の映画を先に観て、後に原作を読んだ。けれど、どちらも大好きな作品とは思わない。でも、「少年少女愛好」も年月と共に重度になっているようなので、この作品に触れない訳にはゆかないと思う。やや気が重いけれど...。

ウィリアム・ゴールディング(William Gerald Golding:1911年9月19日~1993年6月19日)は、イングランド南西部コーンウォル、セント・コラム・マイナーに、学校教師の父と婦人参政権運動家の母を両親に、次男として生まれた。ウィリアム・ゴールディングが本格的な作家活動に入る以前は、オックスフォード大学に在籍し(1934年には『詩集(Poems)』を出版している)、翌年卒業後はロンドンで社会事業に従事しながら、演劇活動(脚本や俳優として)もしていた。1939年からはビショップ・ワーズワス校の教壇に立ち、英語と哲学を教えていた。けれど、1940年、海軍に入隊。1944年6月"D.Day"のノルマンディー上陸作戦に参加。作家ウィリアム・ゴールディングはこの5年間の軍隊経験が生んだとも云える。1945年には教師として復職しながら作家活動も平行していたそうだ。『蝿の王』は戦争体験の傷跡が持たらした結実(1954年刊行)。

『蝿の王』は、ロバート・マイケル・バランタイン(Robert Michael Ballantyne :1825年4月24日~1894年2月8日)の『さんご島の三少年』(1857年)を下敷きに、無人島に不時着陸した飛行機に乗った少年たちの、次第に野蛮になってゆく様を描いた小説で、数々の出版社から拒否され、フェイバー社から1954年に刊行された後も、国内で論議沸騰というウィリアム・ゴールディングの作家デビューは衝撃的であったという。本人自ら「寓話作家」を自認してもいる。

第二次大戦前は、私は社会的人間の完全性を信じていた。しかし、戦後は信じられなくなった

無人島に漂着した少年たちが、12歳のラルフを中心に生き延びること(救援されることを望みに)を目標に、島での生活を始めるけれど、次第に無垢を喪失し悪に目覚め統制が崩れてゆく。預言者的な存在のサイモンやピギーが殺され、獣性をあらわに示すジャックのグループの力が増してゆき、ラルフもギリギリまで追いつめられる。ジャックは聖歌隊の隊長だったけれど、狩猟隊を率いて豚肉を見せては小さな子供たちを仲間に加え、その暴力性と共に勢力を帯び、グループの独裁者となってゆく。

ロバート・マイケル・バランタインの『さんご島の三少年』のラルフ・ローヴァー(15歳)、ジャック・マーティン(18歳)、ピーターキン・ゲイ(13歳)の少年たちは、常に一致団結し助け合って、外に在る「悪」が少年たちを恐怖に陥れるように描かれているけれど、そのヴィクトリア時代の『さんご島の三少年』から100年近い年月の経過、戦争という、"ごっこ"ではない現実を体験してしまったゴールディングは、同じ名の少年たちでも、殊にジャックの描写を大きく変え、「悪」が子供たちの中に内在する恐怖として描いた。大人たちから解放され孤島の生活を最初は喜ぶラルフながら、英国海軍により救出された最後に涙に噎ぶ。それは「無垢の終焉、人の心の暗黒」を知ってしまった少年の心ゆえ。この最後の少年の涙の深さが私を捉えている何かなのだと想う。子供は決して純真な天使ではないのだと...けれど、根源悪なのだろうかと想いながらも、否、社会や大人たちの影響によって無垢が終焉となってしまう現実ではないだろうかと、私はまだ子供たちの純真な真っ白な尊い存在を信じていたいのか、絶対的に根源悪であるとは想いたくは無いのです。そんな事をいつも考えさせられながら、少年少女小説や映画を観ている気もします。

また、海洋小説としては、児童文学の代表作でもあるロバート・L・スティーヴンソンの『宝島』や、ジュール・ヴェルヌの『海底二万里』、アーサー・ランサムの『ツバメ号』(『ツバメ号とアマゾン号』で始まる)シリーズ、そして、フランシス・コッポラ監督の『地獄の黙示録』の基となるジョゼフ・コンラッドの『闇の奥』等も関連想起する。

1990年のハリー・フック監督の映画『蝿の王』のことを続けます!映画ブログは今後、此方で継続しようと想います。やはり「少年映画」(殊に美少年は大好きです!)も沢山好きな作品があります。私の好きな世界...自分でもまだまだその旅路の最中なので、音楽や文学、その他雑多に気ままに綴ってゆきますが、どうぞ宜しくお願いいたします♪
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by claranomori | 2010-11-23 23:29 | 文学と映画★文芸・史劇
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★メアリー・シェリー(シェリー夫人)の本名は、メアリー・ウルストンクラフト・ゴドウィン・シェリー(Mary Wollstonecraft Godwin Shelley:1797年8月30日~1851年2月1日)で、イギリスのロンドン生まれ。ゴシック小説『フランケンシュタイン』(副題は『あるいは現代のプロメテウス』)を書いた女性作家。それも初刊(匿名なれど)は18歳構想の20歳の折のこと。この小説のお話と平行するかのように、このメアリー・シェリーというお方の生涯に付き纏う「生」と「死」もまた奇怪である。

メアリー・シェリーの父はウィリアム・ゴドウィンで、急進的な思想家でアナキズム思想の創始者。母はメアリ・ウルストンクラフトで『女性の権利の擁護』という本を書いたフェミニズムの創始者。けれど、母は娘メアリーを出産した10日後に死んでしまう。この母と同じ名を持つ娘メアリーは、16歳の折に英国ロマン派の詩人パーシー・ビッシュ・シェリーと恋におちる。けれど、シェリーには妻がいたので二人は駆け落ちをする。シェリーの友人のバイロンと共にスイスのレマン湖で過ごす中で、この『フランケンシュタイン』の構想が生まれたようでメアリーは18歳だった。完成初刊は20歳で、執筆時は妊婦で生まれた娘はクララという。けれど翌年死去。それまでにも、17歳で最初の娘を出産しているけれど未熟児で10日余りの命であった。18歳で男児を出産、名はウィリアム。三人目の子供となるクララの死後、一年も経たない間に息子ウィリアムも死去。22歳で出産した男児パーシー・フロレンスだけは健康に育った。けれど、メアリー24歳の折、夫のシェリーが僅か30歳の若さで水死(5人目の子供を流産してもいる)。そもそも不倫であった二人。シェリーの妻ハリエットが入水自殺をし、まだ20日しか経たぬ内に二人は結婚となった(メアリー19歳)。なんとも奇妙な死がメアリーの傍らには常に在るかのように...。

『フランケンシュタイン』(1818年)のお話。科学者ヴィクター・フランケンシュタイン博士が人造人間を生み出すことに成功するが、描いていた美しい姿ではなく醜悪な怖い容姿であった。けれど、この生み出された怪物の心は優しく人間と同じ言葉を話し(流暢にフランス語を話し、ゲーテなどの書物も愛好していた)、感情も持っていた。ただ醜悪な容姿が他者との距離を生んでいた。友達がほしいのに誰も彼に近寄らない。創始者であるフランケンシュタインへ、外見の醜さゆえに人から避けられ怖がられ嫌われることの悲哀を訴える。そして、そうした鬱積が憎悪となってゆく。果ては、ロシアの船の中フランケンシュタインを殺し自らも死へと赴く...。

色んな見方ができる小説に想う。ケン・ラッセル監督の映画『ゴシック』やゴンザロ・スアレス監督の『幻の城』、ケネス・ブラナー監督の『フランケンシュタイン』に、ビクトル・エリセ監督の『ミツバチのささやき』の挿話...これらの大好きな映画の場面たちが私には同時に浮かぶのですが、このメアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』は科学の進歩への警告とも感じられますが、副題にある『あるいは現代のプロメテウス』がまた妙なのです。神話に登場するプロメテウスは、泥土から人間を創造した職人で、神々に反抗的な傲慢な性格でもあった。ユピテルの厳命に背き鍛冶場から火を盗み人間に与えた。激怒したユピテルはプロメテウスを山の頂に縛りつけ、大鷲に肝臓をついばませる。けれど、肝臓は夜の間に元通りになるので永久の苦痛を強いられた。最後には英雄ヘラクレスが大鷲を退治しプロメテウスを救う。また、プロメテウスの最初に造った女性の人間はパンドラである。パンドラが天からの箱を開けるとあらゆる禍いが溢れ出し地に落ちる。慌てて蓋をし残っていたものは「希望」だけだったというお話。

そして、盗んだ火から苦しむことになるプロメテウスは、さながらメアリー・シェリーの姿にも想える。シェリーの妻の自殺で晴れてシェリー夫人となったこと。罪は罰として我が身に返って来るもの。まだ10代の若きメアリーはシェリーを愛していたのだし、後の禍いは運命だったのだろう。そして、その後の自身の運命を予期していたとも想えない。けれど、何かメアリーには母親の死から以後、生と死、人間が生まれるということに希望と同時に不穏なものをも抱いて生きていたのではないだろうか...とも想う。
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by claranomori | 2010-11-12 19:38 | 19世紀★憂愁のロマンと美
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★1974年(公開は1975年)の超豪華キャストによるアガサ・クリスティ原作の映画化。「オリエント急行」を映画の中で拝見でき、この英国俳優を中心に私の好きな方々が揃っていてそれだけでも堪能できるもの。アガサ・クリスティものというと機会があれば観るようになっている。最初はTV放映で観たのだけれど、まだアガサ・クリスティ女史という推理作家のことも知らない頃だった。『そして誰もいなくなった』か『ナイル殺人事件』、この『オリエント急行殺人事件』のどれもテレビが初見なので最初に観たものがどれだか記憶が曖昧でもある。ミス・マーブル・シリーズやおしどり探偵・シリーズも観ているけれど、このような豪華キャスト・シリーズの映画化はやはり華やかで味わいが違う。他の作品も追々に感想を綴る予定。今のところ、一等好きなのは『ナイル殺人事件』かもしれない。

この映画のことを思い出したのは、2年半程前に綴った『ピクニックatハンギング・ロック』からの連想ゲーム癖によるもの。あの寄宿学校の厳格な学園長を見事なまでに演じておられたレイチェル・ロバーツが忘れがたい。撮影はこちらが先だけれど、公開は同じ年の1975年。レイチェル・ロバーツはこの『オリエント急行殺人事件』の中でロシア貴族に仕えるドイツ人の召使であり、同性愛者という役柄でもある。英国の優れた女優様であったのに1980年に自殺された、その理由は知らないけれど残念である。ミステリーがミステリーを呼び、現実と虚構の狭間で揺れ動く私の頭の中では何故か、こうしてインプットされてしまっている。また、この映画でベルギー人の名探偵エルキュール・ポワロを演じるのはこれまた名優アルバート・フィニであり、レイチェル・ロバーツとは共にお若い頃『土曜の夜と日曜の朝』(アラン・シリトー原作)で共演されていた。こうした名優が揃うと次々と連なるので愉快!

この『オリエント急行殺人事件』で、イングリッド・バーグマンが3度目のオスカーを獲得されている(2度は主演女優賞で今作では助演女優賞を)。そのスピーチも大女優なのに謙虚な素敵なお姿であった(リアルタイムではなく『アカデミー賞特集』の番組にて)。私の友人に熱狂的なミステリー・ファンがいる。その点、私ときたらお気楽な映画好きなので、あまり緻密な分析など出来ないけれど、アガサ・クリスティ御本人がまだ存命中に作られたこの映画は、1930年代という時代を華麗に表現していると思う。お美しい女優陣のお衣装やアクセサリーも見どころ。最後はジーンと切ないものを残し美しい。ジャンルなど関係なく、何か物悲しさを湛えた作風は大好きなのだと想う。

【あらすじ】1930年、ニューヨーク、ロングアイランドに住む大富豪アームストロング家の3歳になる一人娘が誘拐された。20万ドルという巨額の身代金が犯人に支払われたにもかかわらず、幼児は死体となって発見された。悲報のショックで夫人も亡くなり、アームストロング自身もピストル自殺を遂げてしまう。事件後6ヵ月目に犯人が逮捕されたが、莫大な金力とある種の秘密勢力を利用して証拠不十分で釈放されるという結果に終わった。それから5年後の1935年。イスタンブールからパリ経由カレーに向かうアジアとヨーロッパを結ぶ豪華な大陸横断国際列車オリエント急行には様々な国からの乗客が乗っていたが、その中には名探偵エルキュール・ポワロの姿もあった。2日目の深夜、折りからの雪で線路が埋まり列車が立往生している中、ポワロの隣の客室にいたアメリカ人富豪ラチェットが身体中を刃物で刺されて死んでいるのが発見される。鉄道会社からの依頼で事件の究明に乗り出したポワロは、一等寝台の車掌と12人の乗客たちの尋問を開始する…。

オリエント急行殺人事件/MURDER ON THE ORIENT EXPRESS
1974年・イギリス映画
監督:シドニー・ルメット 原作:アガサ・クリスティ 脚本:ポール・デーン 撮影:ジェフリー・アンスワース 音楽:リチャード・ロドニー・ベネット 出演:アルバート・フィニー、イングリッド・バーグマン、ローレン・バコール、ジャクリーン・ビセット、マイケル・ヨーク、アンソニー・パーキンス、ショーン・コネリー、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、リチャード・ウィドマーク、ウェンディ・ヒラー、ジョン・ギールグッド、ジャン=ピエール・カッセル、レイチェル・ロバーツ、コリン・ブレイクリー

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by claranomori | 2009-08-27 22:20 | 文学と映画★文芸・史劇
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『情愛と友情』

滅びゆくカトリック貴族を描くイギリスの本格文芸ドラマ
『僕はあの夏、美しい青年に愛された。』

3月18日(水)、ウォルト ディズニースタジオ ホームエンターテイメントより、『ラブ・アクチュアリー』・『ハリー・ポッター』シリーズ出演、アカデミー賞受賞のエマ・トンプソン主演、『パフュームある人殺しの物語』でその名を一躍有名にしたベン・ウィショー主演の本格派イギリス文芸ドラマ『情愛と友情』がDVDリリース!

『情愛と友情』は、アメリカでベストセラーとなったイギリス文学の傑作「Brideshead Revisited」(イーヴリン・ウォー著)を映画化した作品として注目を集め、豪華実力派俳優が出演、また、『キンキー・ブーツ』でその力量が高く評価された監督ジュリアン・ジャロルドら、イギリス出身の英知が結集し深遠なテーマを綴った秀作です。

【作品情報】
『情愛と友情』
3月18日(水)発売・同日レンタル開始!
3,990円(税込み)
発売元:ウォルト ディズニー スタジオ ホーム エンターテイメント
予告
公式サイト

◆本作のDVDリリースを記念しまて、1名様に『情愛と友情』DVDのプレゼントを実施致します。◆

ご希望のお方は以下のBRIGITTE内の「お問い合わせフォーム」よりお願い致します。
→「お問い合わせフォーム」はこちら♪

件名欄に→『「情愛と友情」DVD・プレゼント希望』、お問い合わせ内容欄に→お名前・ご住所・お電話番号 をご記入して送信してください。

締め切りは3月末日とさせて頂きます。
当選者の方には4月初旬に発送を持ちましてご連絡させて頂きます。

どうぞ宜しくお願い致します。

(C)Buena Vista Home Entertainment, Inc.
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by claranomori | 2009-03-03 00:00 | お知らせ