あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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アナ・トレント出演映画の久しぶりの日本公開となる『ブーリン家の姉妹』(2008年・今秋全国公開)が楽しみで楽しみでという状態。姉妹もの好きで英国好き、さらにそのブーリン姉妹を演じるのはアン・ブーリンがナタリー・ポートマン、メアリー・ブーリンを演じるのがスカーレット・ヨハンソン。さらに私のお気に入り英国女優さまのおひとりであるクリスティン・スコット・トーマスが姉妹の母親レディ・エリザベス・ブーリン。そして、アナ・トレントはヘンリー8世の最初のお妃キャサリン・オブ・アラゴン役で出演されている。以前に、アン・ブリーンのこと(ずっと私はブリーンと呼んできたのですがブーリンの方が通常のようだと知りました)を少し綴った時にはこの映画のことも知らずにいたのでこんなに嬉しいことはない。ヘンリー8世にはエリック・バナが扮しているらしい。監督はジャスティン・チャドウィックで俳優でもあるお方。『ロンドン・キルズ・ミー』や『セクシャル・イノセント』などに出演、監督としてはテレビ映画や短編などを撮られてもいる。
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原作はフィリッパ・グレゴリーで英国ではロングセラーだというもの。その中での方が映画より、さらに色濃く姉妹の愛憎関係が描かれているのだという。映画を観てみないと何も言えませんので、詳しくは鑑賞後に此方にて綴ろうと想います。私は最新情報のチェックなど、かなり疎く周りの友人たちから教えて頂いたりという幸せ者。映画も書物もいくら著名なお方が絶賛されたり、批判されていても参考にはさせて頂けるけれど自分の想いを抱くことはできないので此処には綴らないという基本が私なりにあります。でも、今作の第一回目の鑑賞では観る箇所、目的が女性オンリー!さらにチューダー朝時代の英国の雰囲気にうっとりしているだろうという予測♪
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そして、もう少し先には『ビクトル・エリセDVD BOX』が11/29に発売される。そこには廃盤状態だった『ミツバチのささやき』(1973年)、『エル・スール』(1983年)がニュー・プリントで、そして初登場となるエリセ監督のデビュー作である『挑戦』(1969年)の3作品が収められているというもの。永遠の少女☆アナ・トレントは作品の中で生き続ける。そして、今のアナ・トレントも女優として生きている。”少女時代のアナ・トレントしか観ない”とか”エル・ニドは終わってた”などというお声も聞いてきたけれど、私は今でもアナ・トレントが好きなので愛し続けるだけ☆
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by claranomori | 2008-10-08 08:00 | 銀幕の少女たち・少女映画
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ジョージ・ロイ・ヒル監督の思春期の淡い恋物語を瑞々しく描いた青春映画である『リトル・ロマンス』(1979年)。私は最初はテレビ放送で観たのだけけれど、私もまだ思春期の頃だったのでとっても思い入れが強い作品。”ベニス”というとヴィスコンティの『ベニスに死す』なのだけれど、”この場所にいってみたいなあ♪”と想ったベニスのあのゴンドラで橋を...と蒼い想いを抱いたもの。そして、13歳同士のおふたりの子役がかわいくて!と言っても、最初は美少女ローレンのことしか記憶にない状態であった。そして、”ダイアン・レイン”は低迷期の90年代作品は飛び飛びなのだけれど最近また素晴らしい。でも、『ラストレター』や『アメリカン・ビューティ』、『ランブルフィッシュ』に『アウトサイダー』辺りはずっと大好きだった。もっとも、愛らしく甘酸っぱいこの『リトル・ロマンス』は70年代末の青春映画の名作としても色褪せないもので、その後幾度か観ている大好きな映画♪
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パリ郊外のアパルトマンで車の運転手の父親と二人暮らしの少年ダニエルはとても頭が良く大人も顔負けの記憶力と数学の知能を持つ。そして、大の映画マニアでもある。ある日、ダニエルのクラスがベルサイユ宮殿に見学に行った折に、同い年のアメリカ人の少女ローレンに出会う。彼女もまた13歳でハイデッガーを読み耽るような少女で哲学と数学が優秀な賢い美少女。たちまち意気投合したふたりはまた再会の約束をして別れた。

そして、ルーブル宮殿にあるチュイルリー庭園でのこと。ダニエル少年は足元に転がったサッカーボールを蹴飛ばしたのだけれど、運悪く近くにいた老紳士に当たってしまう。でも、それがきっかけでこの老紳士(ローレンス・オリヴィエ)とダニエルとローレンも仲良くなってゆく。そして、この老紳士はふたりの恋を結ぶお方でもある。この辺りの、老年期のサー・ローレンス・オリヴィエがまた素敵(最初は知らずに観ていたのに)☆ローレンはもうすぐアメリカに帰国しなけれならない。その前に、是非ともあのロマンティックな『サンセット・キス』の伝説を!と幼いふたりはヴェネチアへ向うのだった。老紳士ジュリアスも同行する。道中色々あるのだけれど、ふたりはゴンドラに乗り、あの”ため息の橋”の下にたどり着き教会の鐘が祝福してくれているかのように、ふたりは永遠の愛を誓いキスをする。そして、ローレンはアメリカへ帰国してしまうのだけれど☆
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リトル・ロマンス/A LITTLE ROMANCE
     1979年・アメリカ映画
監督:ジョージ・ロイ・ヒル 原作:パトリック・コーヴァン 脚本:アラン・バーンズ 撮影:ピエール=ウィリアム・グレン 音楽:ジョルジュ・ドルリュー 出演:ローレンス・オリヴィエ、ダイアン・レイン、テロニアス・ベロナール、アーサー・ヒル、サリー・ケラーマン、ブロデリック・クロフォード

☆こういうことが偶にある...ポール・ニューマンの訃報を今知った。この映画の監督の代表作でもある『明日に向って撃て!』はダニエル少年が大好きな映画。また、この頃のインタビューでダイアン・レインはロバート・レッドフォードが好きだと語っていた...ポール・ニューマンは私もとても好きなので静かに込み上げてくるものを感じています。多くの好きな映画がありますので、それらと共に永遠です☆ご冥福をお祈りしています。
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by claranomori | 2008-09-28 02:14 | 銀幕の少女たち・少女映画
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ニルス・タヴェルニエ監督(お父様はベルトラン・タヴェルニエ監督)が、感動のバレエ・ドキュメンタリー映画『エトワール』(2000年)から歳月をかけ完成させた、バレエとおとぎ話を織り交ぜたファンタジックで切ない恋物語の『オーロラ』(2006年)。パリ・オペラ座のトップダンサーたちと名優たちの夢のような共演!パリ・オペラ座のエトワールであるニコラ・ル・リッシュは画家役で出演。その他、カデル・ベラルビ、マリ=アニエス・ジロまで出演されている!主人公のオーロラ姫に選ばれたのは当時15歳だったバレエ学校生(シルヴィ・ギエムを目指していると語る)のマルゴ・シャトリエ。
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昔、昔、とても踊りの上手な少女がいた。しかし、この稀なる才能を持つ少女は踊ることを禁じられた王国のお姫さま。禁じられても踊り続けるオーロラ姫。王国の実状は破産寸前で傾国を救うために異国の王子との婚約を迫られる。他の王子も美しいオーロラ姫に求婚するために舞踏会を開いたり。けれど、オーロラ姫の愛した人は名も財もない絵描きだった。オーロラ姫は禁じられている踊りをやめず、愛する心に忠実だった。しかし、家臣による企てで絵描きはオーロラ姫の目前で処刑されてしまう...。亡き母の声に導かれるように雲の世界へ舞い上がり画家と一緒に踊る。かつて、姫と弟のソラル王子に助けられたことのある妖精が現れ、恩返しにと側近が王国を乗っ取ろうとしていると告げる。お陰で王国は助かり、成長したソラル王子は自分の王国探しに旅立つ。オーロラ姫は最後に弟のために踊り、そして雲の天上世界へと昇ってゆく☆もう!私の好きな美の世界が凝縮されたような幻想的で華麗なファンタジー映画!
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ニルス・タヴェルニエは役者でもあり(先述の『ミナ』にも出演されている美男子!)、バレエに精通したお方なので愛を込めて描いておられるのだと感動は尽きないもの。関連するお話はまだまだ追記したいので追々に♪忘れてはならない王妃さま役はお美しいキャロル・ブーケが演じている☆
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オーロラ/AURORE
2006年・フランス映画
監督:ニルス・タヴェルニエ 製作:エミリー・ジョルジュ 脚本:ニルス・タヴェルニエ、ジャン・コスモ、マルジョリーヌ・ノノン、マルク・カンタン 撮影:アントワーヌ・ロッシュ プロダクションデザイン:エマニュエル・デュプレ 衣装デザイン:イヴォンヌ・サシノー・ドゥ・ネール 振付:カロリン・カールソン 音楽:カロラン・プティ 出演:マルゴ・シャトリエ、ニコラ・ル・リッシュ、キャロル・ブーケ、フランソワ・ベルレアン、カデル・ベラルビ、マリ=アニエス・ジロ
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by claranomori | 2008-09-03 08:38 | バレエ・ミュージカル
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とても思い入れの強いカナダ映画の『ソナチネ』(1984年)。大好き!な世界観に溢れている。先ず、美少女シャンタル(パスカル・ビュシエール)のお話で始まる。バスの運転手のおじさんとの心の交流が静かに私には伝わるものだった。シャンタルは背骨が曲がっているらしく病院に通院しているリセエンヌ。常にウォークマンを付けている。おじさんが”君はきれいだ”と言ってくれた声を録音し繰り返し聞き微笑む、瞳はキラキラ♪そして、スラリとした少年っぽい女の子ルイゼット(マルシア・ピトロ)はお家でも両親との会話もなく閉ざしている。ある日、”人生の冒険へ出るには今しかない”と家出する少女。彼女もまた、ある船乗りのおじさんとの束の間の心の交流に安堵する。おじさんはフランス語が話せない(舞台はモントリオールなのでフランス語での会話)けれど、おじさんの何か人生に疲れた感じと、思春期の少女の持つ不安感が奇妙なめぐりあいをする...この感じもミシュリーヌ・ランクト監督は巧く描いていると想う。ルイゼットはシャンタルより少し薄めのウォークマンを常に付けている。彼女達はウォークマンをほとんど放さない。まるで、社会の騒音や雑音からわが身を守るかのように。時代を感じる重そうなウォークマン、ローラースケート、80年代的ファッションはこの映画には欠かせない。

そして、最終章。ルイゼットのお父さんは地下鉄の運転手をしている。その電車をふたりで待ち手を振るのだけれど、父親は無反応...ルイゼットの心は曇る。そして、実際に当時のケベックではストライキ問題が大きかったそうだけれど、この映画にも表れている。ふたりは学校の病院から盗み出したお薬を袋に持ち帰りある行動に出る。”誰かが止めない限り、私達は死にます”と手書きで作ったプラカード(ペラペラで小さすぎるのも可愛い)を持参し、いざ、地下鉄へ。ふたりは並んで車内に座り周りの人たちの反応を窺うけれど、ほとんど無反応。読んだ人も本気だとは思ってもいないようだ。終点が近づく中、ふたりは大量のお薬を飲んで眠ってしまう。終点に着いたと同時にストライキ決行のアナウンス。さっさと車掌さんたちは退散してしまい、シャンタルとルイゼットは眠ったまま、その車内に置き去りにされて終わる...。小さな地味な作品かもしれないけれど、私はこの映画が大好き!じめじめしていないし、同世代的な感性のお陰かもしれない。私はウォークマンを持ち歩く勇気がなくて、大人になってからフランス語教室に通っていた時、アルバイトで本屋さんに通うバスの中で座れた時しか使ったことがない。でも、嫌な会話も聞こえないし、自分の世界にいながら社会を歩くことができた。今はiPodや携帯を身軽に常に持ち歩くお若い人々が大勢。時代は変われど、思春期の少年少女の心の空虚さをそれらが埋めてくれるのかもしれない、擬似現実あるいは仮想世界に夢を求める☆
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ソナチネ/SONATINE
1984年・カナダ映画
監督・脚本:ミシュリーヌ・ランクト 撮影:ギイ・デュフォー 音楽:フランソワ・ランクト 出演:パスカル・ビュシエール、マルシア・ピトロ、ピエール・フォト
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by claranomori | 2008-08-28 06:35 | 銀幕の少女たち・少女映画
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『ミナ』は、双子姉妹の映画からいくつかポォッポォッと連想された好きな作品の中のひとつ。双子ではないけれど、全く同じ日に同じ病院で生まれた少女ミナとエテルの儚く揺れ動く思春期から青春期という二度と帰らぬ刻と友情の物語。ロマーヌ・ボーランジェの『伴奏者』の後の主演作でもある。舞台は1970年代のモンマルトル。そこのベンチで出逢ったふたりの少女。ミナは近眼でメガネをかけているそんな自分の容姿が好きじゃない。エテルは少しぽっちゃりした体型を気にしている。傍から見るとそれは魅力と映ることも多いのだけれど、ちょっとしたコンプレックスって誰にでもあるのではないだろうか...特に、この少女たちの16歳という時期なら。私も極度の近眼で小学生からメガネをかけていた。でも、中学生頃からはメガネの似合わない自分の顔を鏡で見ると憂鬱になったりした。そして、次第に授業中のみとなり、よく見えてもいないのにそれ以外の時間はかけずに過ごしてきた。お陰でますます近眼となりよく転んだりしながら今に至る。赤毛であることも多少のコンプレックスでもあった...今はあまり気にしないけれど、きっと誰でもこんな気持ちを抱いたことはあるのだと想う。
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ミナとエテルは最初は喧嘩もしたけれど、次第にお互い惹かれ合うものがあり仲良くなってゆく。そして、ミナは画家を目指して美術学校へ通い始め、エテルはジャーナリストを目指す中、初恋が訪れたり。でも、だんだん大人になる過程のふたりの絆が変わり始める。ミナは感情を内に秘めた頑固で情熱的な画家になる。エテルは現実的で社交的なジャーナリストとなってゆく。全く違う魅力のふたりの女の子の終わりを告げようとする夢多き儚い刻を、70年代のファッション、音楽(ミナはセルジュ・ゲンスブールの大ファン!)も鮮やかにマルティーヌ・デュゴウソン監督が女性監督ならではの感性で描いた胸がキュンとなる映画だった。下町のカフェでダリダの『18歳の彼』が流れるのも、シャンソンやフレンチポップス好きの私は嬉しい。モンマルトルというとダリダは想起されるお方なので。彼女たちの着ているお衣装は、監督とロマーヌがロンドンの古着屋さんで購入してきたものなのだそうだ。また、リタ・ヘイワースやベティ・デイヴィスの映画のシーンが彼女たちの夢の世界の象徴のようにさり気なく織り込まれていたりもする。女の子の友情と儚く過ぎ行く刻を甘酸っぱく感傷的に想い続けてしまうので、やっぱり今でも好きな作品☆
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ミナ/MINA TANNENBAUM
  1993年・フランス映画
監督・脚本:マルティーヌ・デュゴウソン 撮影:ドミニク・シャピュイ 音楽:ピーター・チェイス 出演:ロマーヌ・ボーランジェ、エルザ・ジルベルスタイン、ジャン=フィリップ・エコフェ、ニルス・タヴェルニエ、ステファン・スリマ
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by claranomori | 2008-08-25 07:45 | 銀幕の少女たち・少女映画
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2001年の公開から数年経っているけれど、静かで美しい衝撃を受けたピルヨ・ホンカサロ監督によるフィンランド映画『白夜の時を越えて』(1998年作品)。この作品でしか知らない監督。さらに北欧映画と言えどもフィンランド映画はスウェーデン映画に比べると観た作品もずっと少ない。アキ・カウリスマキの登場も衝撃だった!この作品は双子の姉妹のイレネとヘレナの時を越えた強い絆の物語。成人になった現在のヘレナの登場と彼女についてゆく少女の出会いの冒頭のモノクローム映像から息を呑む。全編を通して描かれる母親と娘、姉と妹、また社会や大人たち...そして、時代を。美しく狂おしいまでに響く音楽はリカルド・アインホルン!この音楽がなければ魅力は半減したと私は想う。個人的にとても相性の良い旋律。
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1960年代の現在のヘレナの場面はモノクロで、回想する子供時代から思春期(1944年のヘルシンキから)はカラーで描かれる。私はこのような時間軸の揺れ動く構成が大好き。母親に捨てられた姉妹は幼少時は施設で育つ。一番上の場面は美しいショットだと想う。幼い頃からダンスが好きでしなやかな動きが自然とできる姉イレネ。そんな姉を優しく見つめる線の細いヘレナ。今想うのは、ふたりはいつも寄り添いながら、補い合いながら静かに生きてきた少女たちだと。施設に母親が突然迎えに現れ、恋人のスペイン人のラモンなるサーカス師の元へ。イレネは見込まれて空中ブランコ乗りの練習をさせられる。しかし、公演時に落下してしまう...次第に心の病気を患い歩けなくなる。母親はというと常に男性がいなければ生きてゆけないような女性(でも素敵な女優さま!)、そんな母親を娘たちはずっと複雑な気持ちで見つめている。母と姉のために、ヘレナは火飲みの芸を身につけ巡業に廻る。現在のヘレナの腕に火傷があるのはそんな経緯からなのだと分かる。フィンランドは独立後もロシアに占領されていた国なので祖母などは特にレーニンを崇拝しており、姉妹の名をイレネはウラジミール、ヘレナはイリチキと名付けていた程。そんな異国の時代、父親を写真でしか知らず生まれて直ぐに母親に一度捨てられた姉妹...しかし、親子の絆、姉妹の絆の深さが痛いほどに伝わる。そして、私は特に妹のヘレナが大好きなのだけれど、彼女はずっと静かに冷静にその瞬間を見つめている。ふたりが母親の情事を目撃した際に、遂に姉イレネは耐え切れずに寒い氷の海へ向かう。その姉を必死で追いかけ負ぶって連れ帰るヘレナ。ふたりは対照的なようでぴったり重なり合うようでもある。想うことは多い。浮かぶ映画や詩篇が巡る連想ゲーム癖を続けているところ...。
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監督がこの映画を描く基とされたものは、シモーヌ・ヴェーユの『重力と恩寵』なのだそうだ。私は未読ながら、監督はこの『白夜の時を越えて』は、ある世代から次世代へと引き継がれる「かせ」をテーマにしていて、また愛情と別離を描いた作品でもあるのだと語る。

”全人類の中で、われわれが100%その存在を認めるのは、
愛情を寄せる者だけである”

このシモーヌ・ヴェーユの言葉が飛び込んで来たのだという!私も稲妻が走るかのように響いた。そして、さらにこの映画が好きに想え、まだまだ色々なことを考えている。

白夜の時を越えて/FIRE-EATER
   1998年・フィンランド映画
監督:ピルヨ・ホンカサロ 脚本:ピルッコ・サイシオ 撮影:チェル・ラゲルルース 音楽:リチャード・アイホーン(リカルド・アインホルン) 出演:エリナ・フルメ、ティーナ・ヴェックスレム、エレナ・レーヴェ、エルサ・サイシオ、ヴァップ・ユルッカ、ホルディ・ボレル
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by claranomori | 2008-08-22 20:14 | 銀幕の少女たち・少女映画
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セーアン・クラーグ・ヤーコプセン監督による1988年のデンマーク映画『エマ』(英国映画のグウィネス・パルトロウ主演の『エマ』も好きなのでまた!)の原題は『エマの影』であるのでただ可愛いエマを讃えるだけの少女映画ではないと想う。初めて観た時は私も若かったもので、エマ(リーネ・クルーセ)の並大抵ではないお嬢様ぶり、大きなおリボンやハイソックスにお靴。綺麗なお洋服、高慢ながら利発な少女の行動をじっと観ていたように想う。しかし、今ではそんなブルジョワのお嬢様の心の空虚さ、そして、対比的な存在であるメルテ(ボリエ・アールステット)や安くて美味しい町一番の食堂”ヌーゼン”の子供たちや人々の姿から感じるところも強い。お金や物質的なものは満ち足りているけれど、両親の愛はヌーゼンの子供たちの両親の方が貧しくとも大きい。
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舞台は1930年代のデンマーク。大西洋横断無着陸飛行の英雄チャールズ・リンドバーグの息子さんが誘拐されたという頃。その大ニュースはデンマークの新聞のトップ記事でも伝えられていた。お仕事ばかりの父親、美容ばかりの母親(当時のアール・デコな美麗なお洋服や小物たちを身に纏っている)。娘エマの言葉にどちらも耳を傾けてはくれない。学校の送り迎えの高級車に運転手(首にされるのだけれどハンサムで素敵!)、数人の使用人たちに家事からエマの面倒まですべて任せている。両親の仲もあまり良さそうではない...。一人っ子のエマはわざとお洋服を汚して帰り踏んづけてはあっかんべえ〜とするわがままさ。呆れた(慣れた)使用人たちは怒ることもなく片付ける。町で真っ黒な小さな子猫を買うエマ。しかし、それもまた動物嫌いの母親に捨てるように言われ、その子猫はヌーゼンの兄弟たちの元へ。寂しいエマだから猫を買ったのだ。お友達らしい人もいないようだし。そこで、先のリンドバーグの記事を見て、”もしも、私がいなくなったなら...?”と考えるのだった。きっと、両親は心配してもっと構ってくれるだろうと。そこから、少女エマの大冒険が始まる!

ゆったりと人々の姿や言葉を観たり聞いたりしながら、心の温かさはお金とは関係ない処にあると伝える。押しつけがましくもなく。メルテ役のボリエ・アールステットがとても人間味のある心の豊かな優しい男性を好演している。こんな人好きだな。彼は実はスウェーデンから職を求めてやってきた異国の人。よそ者扱いで安い賃金での下水道でのお仕事、薄暗く狭い部屋で面倒をみてもらっている女性もいるメルテ。家出をしたエマは一泊だけ(のつもりだったけれど、様子を窺いにお家に帰ると使用人たちの陰口を耳にして心を痛めてまたメルテの元へ)彼の部屋で過ごす。自分のことはロシア人のロシアンコ王女だと嘘をついて。両親はお話を何も聞いてはくれないけれど、メルテは突然現れた12歳の少女の言葉を静かに聞き受けとめる。寛容な人物なのだ。次第にエマの高慢さから彼女の心の孤独さ、その悲しみの中出逢えたメルテとの交流の中でエマの心の優しさが感じられるようになる。偽装誘拐事件を企み、メルテに綺麗なスーツと豪華なホテルでのお食事をプレゼントする。壊れたままのオルガンを修理してエマに弾いてあげる。壊れたオルガンはメルテの壊れた心のように生き返った。これはロリータ映画ではない!12歳の裕福な少女と貧しいが心優しき中年男性との友情、心の通いの物語。まんまと少女の嘘に乗せられ逮捕されてしまうが、”娘に手を触れるな!”と警官に語り彼女を最後まで守る。少女の嘘からの身代金事件だと分かっても、両親の反応も相変わらず大きくも無さそうでエマが可哀想に想う。釈放されエマと再会し抱き上げるシーンで終わる。

その前に好きな場面なのだけれど、エマが”シラミがいる?”と聞くと、メルテは静かに”うん”と答える。そして、エマが彼のその頭に自分の頭をくっつけるシーン。メルテのことを、以前のエマなら汚らしいおじさんだと触れるのも嫌がっただろう。しかし、今は唯一の友人であり理解者を得たかのようにこのシーンは証すように感じた。心温かく少女の孤独な心を埋めてゆく...。好きな映画!監督は子供たちのテレビドラマなどを撮っていた経歴もあるそうだ。デンマーク映画というと『ペレ』という大好きな映画があるのを想い出す☆
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エマ/SKYGGEN AF EMMA
1988年・デンマーク映画
監督:セーアン・クラーグ・ヤーコプセン、脚本:セーアン・クラーグ・ヤーコプセン、イェアン・O・イェンセン、撮影:ダン・ローステン 音楽:トーマス・リンダール 出演:リーネ・クルーセ、ボリエ・アールステット、エゲ・ソフィーエ・スコウボー、ヘンリク・ラーセン


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by claranomori | 2008-08-21 02:29 | 銀幕の少女たち・少女映画
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この『ミミMIMI』はルシール・アザリロヴィック監督の初監督作品で、公私に渡るパートナーであるギャスパー・ノエが製作・撮影・美術を担当した1時間足らずの作品。12歳の少女ミミを演じるのはサンドラ・サマルティーノ。多分この作品のみではないだろうか(演技経験のない少女だとすると、このような役を担った後どうしているだろうか...と考えてしまう)。この作品は同監督の大好きな『エコール』に比べると印象は複雑。好き嫌いという以前に、彼らがこのようなテーマで描き出す社会や幼い少女の危険を想う。
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グリム童話の『赤ずきんちゃん』をモチーフにした、大人たちの森で道に迷った少女(黄色ずきんちゃん)といった作風。しかし、舞台は”現在のパリ”である。愛らしいメルヘンではない。また、原題は『ジャン=ピエールの唇(LA BOUCHE DE JEAN-PIERRE)』なので、この『ミミ』での狼とはおじさんのジャン=ピエールなのだ。

ある日、少女ミミの目前で母親がなにやら幾種類もの薬を飲み自殺未遂を起こす。一人になってしまったミミはソランジュおばさんと一緒に住むことになる。そこにはおばさんの恋人であるジャン=ピエールというおじさんがいる。ミミはおとなしく喋らない。おばさんが留守の時におじさんが話しかけてくる。そして、その優しい(気持ち悪い!)囁きは幼い少女への好色を示すもので、”おばさんには内緒だよ”などと言う。私はこんな場面が好きではない!しかし、これは映画の中の物語ながら現実の日常を描き出したものでもあるのだ。嘗ては病めるアメリカの問題のひとつのような事柄が、今はフランスでもイギリスでも日本でも...。呑気なロリータ映画とは違いここでの緊張感は不快ながらも警告のようにも感じた。今に始まったことでないということはグリム童話やペロー童話などでも語られているのだ。子供の頃、母が読んでくれたこうした童話、自分でページをめくりながら読んだ絵本の世界。私は童話が好きなようですっかりよい大人の歳になった今もよく読み返す。そんな中、それらの中に児童書としての語りとは違ったものがいかに大きいのか!また残酷な物語なのか!と新たな想いを得ている日々。お母さんのところに行きたいミミは薬を飲む(自殺未遂)。幸いにもおばさんとおじさんが病院へ連れて行ってくれたので命は助かった。しかし、安心はならない!帰宅途中のおばさんとおじさん。その車内でおじさんは”いつでも会いにいけるよな”と言い、おばさんは無言...FINとなるけれど、これは《教訓》として。私はその後のミミが気がかりなのだ...。
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ミミ/MIMI
1996年・フランス映画
監督・脚本:ルシール・アザリロヴィック 製作:ルシール・アザリロヴィック、ギャスパー・ノエ 製作協力:アニエスb. 撮影・美術:ギャスパー・ノエ 出演:サンドラ・サマルティーノ、デニス・スクロプファー、ミシェル・トリロ
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by claranomori | 2008-07-22 11:01 | 銀幕の少女たち・少女映画
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ダコタ・ファニングとエル・ファニングのとっても可愛い姉妹♪ダコタ・ファニングは1994年2月23日、エル・ファニングは1998年4月9日のアメリカ・ジョージア州生まれ。既に多くの作品に出演されているけれどまだ14歳と10歳!これからも頑張って欲しいと想う。ダコタ・ファニングは現在の子役スターとして先ずお名前の挙がるお方。おふたりとも、名優方との共演も多く作品も様々なものがある。子役スターから成長し本格的な女優となる、それもスター性を維持しながらというと大変な道程に想う。”天才子役”と謳われて悲運な人生を歩むお方もとても多い。エリザベス・テイラーやジュディ・ガーランド、ジョディ・フォスターのようなお方は天性の資質は当然だろうけれど、やはり演じることへの情熱や努力は尋常ではないのだろう。
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ダコタ・ファニングはやはり『アイ・アム・サム I am Sam』のショーン・ペンの娘役のルーシーに感動した!『コール』でのシャーリーズ・セロンとスチュアート・タウンゼントの娘役、『夢駆ける馬ドリーマー』ではカート・ラッセルやエリザベス・シューと共演、『アップタウン・ガールズ』(結構好きなのです!)ではブリタニー・マーフィと、また『ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ』(怖かった!)ではロバート・デ・ニーロとエイミー・アーヴィングの娘役を!そして、『シャーロットのおくりもの』では姉妹で出演...と凄い☆
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妹のエル・ファニングの方が実は私はさらに好きで、ダコタ・ファニングよりもおとなしそうで線が細い感じ。儚げな中にきらりと光る狂気のような、ちょっと病的な可愛らしさというのだろうか...そんな空気が気に入っている。上から2つ目のお写真は『ドア・イン・ザ・フロア』のもので、一緒に写っている男性の腕は父親役のジェフ・ブリッジス。母親役はキム・ベイシンガーだった。このジョン・アーヴィング原作作品の映画化で初めてエル・ファニングを知った。『きいてほしいの、あたしのこと ウィン・ディキシーのいた夏』は、これまたお気に入りのアンナソフィア・ロブ主演の心あたたまる感動作!エル・ファニングは脇役ながら出演していた。『バベル』にもケイト・ブランシェットを始め豪華キャストの話題作に出演されているし、この可愛いファニング姉妹の活躍はまだまだ続くのだろう。次々と、少女子役は登場される。作品に恵まれるのも大きなもの。大役を巡りオーディションを受けたり大変なのだ。そう言えば、先述の『オードリー・ローズ』のスーザン・スウィフトのアイヴィ役のオーディションをブルック・シールズも受けているし、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のキルステン・ダンストのクローディア役はエヴァン・レイチェル・ウッドとかなり競ったそうだ。私はお気楽な鑑賞者なので、これからも其々の活躍を愉しみにしながら応援している♪
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by claranomori | 2008-07-14 21:37 | 銀幕の少女たち・少女映画
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マーヴィン・ルロイ監督の1956年映画『悪い種子(たね)』(原題は「THE BAD SEED」)。8歳の少女ローダ役のパティ・マコーマックの恐るべき演技力(生意気さ)に天晴れ!ブロンドに三つ網におリボン、可愛らしいワンピース姿とタップ靴、テイーパーティーごっこをするときなどは実に子供らしく愛らしい。しかし、非情なまでに良心に欠け、善悪の区別がなく、人の死や悲しみに微動たりともしない落ち着きぶりが恐ろしい。この”悪い種子”というのは遺伝のことで、この作品では間隔遺伝であるとされている。ナンシー・ケリー演じる母親は美しく上流階級のお方で優雅で心もお優しい。実は、彼女の母親(少女ローダの祖母)は殺人鬼で我が子も殺そうとしていたところ、当時の事件担当者の養女として育てられたのだった。彼女が2歳の時のことながら、幼い記憶が幾度も悪夢に現れるのだった。夢だと想っていたことが父を問いただし真実が分かる。ローダは書き物コンテストで優勝できずに2位だった。その優勝者の男の子は素敵なペンダントを貰う。それが欲しくて仕方がない。奪おうとして抵抗する少年を海で溺死させてしまう。その他にも近所に住むご夫人の置物を死後頂けると約束していたけれど、我慢できずにわざと階段で滑って事故死させてしまう。この少女の性悪なものを感じ取っている雇い人のリロイという男性がローダをからかったりする。そんな彼も納屋で焼け死ぬ...そんな時も常に心の動揺など無く、ピアノを弾いたり遊びに出かけたりするのだ。ああ、恐ろしい!
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原作は共に、ウィリアム・マーチによるものが基になっているけれど未読。『悪い種子(たね)』の方のローダは8歳。そして、レイチェルの方は9歳で此方では父が亡くなっているという設定。大まかなお話の流れはどちらも同じだけれど、少女の印象が大きく違うので良い。個人的にはレイチェル役のキャリー・ウェルズの方が好きなのだけれど、この作品でしか知らない。ローダ役のパティ・マコーマックは演技力のある子役時代から今も女優業を続けておられる。脇役の大人たちも其々個性的。これはサイコスリラーとしてとても秀作だと想う。一見天使のような少女の邪悪な魂...それを遺伝という描き方をしている点も興味深いように想う。
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このパティ・マコーマックは見るからに気が強そうでしっかりした少女。なので、リメイクである『死の天使レイチェル』(1985年)での少女レイチェル(名前はローダからレイチェルに変っている)を演じるキャリー・ウェルズの方がさらに怖さは倍増な私。見た目があまりにも愛らしい少女で、彼女は涙も流す。そんな表面とは裏腹に心の邪悪さがさらに恐怖に感じるのだと想う。こちらの母親役はブレア・ブラウン。どちらも母親が最も悲傷で罪は自分にあると責めるのだ、血のせいだと。でも、掛け替えのない我が子をこれ以上放っておくことも出来ず、人をこれ以上殺めてはならないのだと決断をする。二人共に死へと...しかし...。結末はこの二作品では異なる。
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悪い種子(たね)/THE BAD SEED
     1956年・アメリカ映画
監督:マーヴィン・ルロイ 原作:ウィリアム・マーチ 脚本:ジョン・リー・メイヒン  出演:パティ・マコーマック、ナンシー・ケリー、ヘンリー・ジョーンズ、アイリーン・ヘッカート、イヴリン・ヴァーデン、ウィリアム・ホッパー

死の天使レイチェル/THE BAD SEED
     1985年・アメリカ映画
監督:ポール・ウェンドコス 原作:ウィリアム・マーチ  脚本:ジョージ・エクスタイン  出演:キャリー・ウェルズ、ブレア・ブラウン、デヴィッド・キャラダイン、リン・レッドグレイヴ、リチャード・カイリー
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by claranomori | 2008-06-30 01:02 | 銀幕の少女たち・少女映画