あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『人形』

わたしは彼女に人形を一つ与えた
ばら色の頬をした蝋人形
その腕は 小さな釘でとめられて
脚はといえば 折りたためる

わたしたちが一緒にいるとき
彼女は人形を 二人の間に寝かせる
それは ふたりの子ども
夜ともなれば 彼女はその子を揺りかごであやし
寝かせるまえに 乳房をふくませる

彼女は人形に 小さなテュニックを三枚織ってやった
そして アフロディテの祭りには
宝石をふたりで贈った
花束も添えて

彼女は人形の貞節に気を配り
一緒でなければ 外へも出さない
とりわけ 太陽の光にはあてさせない
小さな人形が 蝋の雫になって溶けるから

伊東淑子:訳 宇野亜喜良:挿絵  『ビリティスの唄』より

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★19世紀末のまだ若き才人ピエール・ルイスが書いたギリシャの女流詩人ビリティス。いまだに巧妙なトリックにかかったままであったりする私。しかし、これはピエール・ルイスの翻訳でもなく偽書であり、架空の物語。でも、そのお話は21世紀を生きる私が愛する世界であるということに我ながら慄く!お人形を愛する気持ちと少女の同性愛の瞬。その後の悲痛な唄もあるけれど、この訳は好きなもののひとつ。表紙や挿絵が宇野亜喜良氏であったこと、翻訳者の中に女優の岸田今日子さんのお名前があったもので飛びついた御本。古い翻訳の雰囲気がより好きではあるけれど、この御本も時折取り出して読んでいる。ああ、少女ムナジディカも愛おしい☆
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by claranomori | 2008-09-25 21:15 | 19世紀★憂愁のロマンと美
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デヴィッド・ハミルトン(デビッド・ハミルトン)監督の映画『ビリティス』のことも続けておこうと想う。ピエール・ルイスの『ビリチスの歌』を原作に、脚本はカトリーヌ・ブレイヤが担当している。カトリーヌ・ブレイヤというと女性監督でもあり『本当に若い娘』が浮かぶ。とても好きな作品でもないけれど少女や思春期を扱った作品は気になるので観てしまう。この映画『ビリティス』が好きかと尋ねられたなら「好き!」と即答する。英国ロンドン出身のファッション・カメラマンとして既に有名だったデヴィッド・ハミルトンの映画初監督作品。恋愛関係にもあった美しいモナ・クリステンセンを重要なメリサ役で登場させている。主人公の16歳の少女ビリティス役には当時20代半であったパティ・ダーバンヴィル。アメリカ出身の女優さまで主役はこのビリティス役しか知らない。脇役では70年代~80年代の作品で幾つか観ているけれど、最近は全く知らない。冒頭から前半辺りまでただただうっとり♪とソフト・フォーカスな美麗な映像、寄宿舎の少女たちの可愛らしさ、お別れの日の舞台で台詞を言えないビリティス、お花の冠にギリシャ神話の乙女たちのような白いお衣装、水色の制服と白いソックス...流石に隅々まで繊細な拘りを感じさせるもの。少女同士の戯れの中、カメラを持った青年ルカに恋をするのだけれど、その気持ちには戸惑いがある。思春期の少女の性に対する恐怖心というのか、男性への思慕と同時に抱く気持ちなのだ。お話のストーリーよりもその時期の少女の心のひだを美しい映像で綴る。
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ルカ役はデビュー作であるベルナール・ジロドー。実は結構好きな男優さま!知ったのはダニエル・シュミット監督の『ヘカテ』を劇場でドキドキしながら観た時。それ以降『リリィ』までほとんど追っている、何故だか。しかししかし!!ここからは多くの『ビリティス』の映画がお好きなお方と観る箇所がズレているようなのだ。なぜなら、謎の美青年ニキアスとして大好き!!なマチュー・カリエールが登場するので☆もう可愛い少女たちも軽く吹っ飛んでしまう位に大好きな男優さま。いつから好きかというと(訊かれてもいないけれど)、これまた大好きなデヴィッド・ボウイさまが当初演じる予定だった『エゴン・シーレ』を観た時から。リバイバル上映も含めると3度劇場で観ている。そして、可能な限り出演作品は追っている。ベルナール・ジロドーとは後に『地獄の暗号指令』でも再び共演している。その中では主人公はベルナール・ジロドーで、マチュー・カリエールは上司の役だった。ニキアスも両側に男性を侍らせて素敵に登場される役柄だったけれど、ここでもゲイの役(他にもあるけれど)だった。私なりに今もこれからも色々な映画を観続けると想うけれど、このような男優さまは他にはおられない!ヘルムート・バーガーさまの美しさとも違う。知的で繊細すぎる程!容姿のみならずお声も好き。オーバーアクションも知らない。最近は流石にお年を召され主役が減ったけれど、まだ現役で嬉しい。あの冷たい美麗さはどんな役柄でも絵になるのだ。お名前が書かれてあれば観たいと想う男優さまを「男優館」で少しずつ挙げているのだけれど、好きな男優さまというと必ず指折りに入るお方でとっても大好きなのだ。データを調べる折にチェックさせて頂くIMDmというデータベースに『欲望の華』があったけれど、ウィレム・デフォーとレナ・オリン目当てで観たけれどマチュー・カリエールのお姿はなかった...おかしいなあ?と想い再見したけれどやはり出演されていなかった。かと想うと、あまり観たいと想っていなかった『嵐の中で輝いて』に出演されていると知り観るとほんの一瞬、素敵なお姿がリーアム・ニーソンと一緒にドイツ人将校の役で出演されていた。エンドロールで上の方にお名前があったので、見逃していたのかともう一度観てみたけれど、やはりほんの一瞬だけのご出演だった。こんな調子ですっかりと『ビリティス』のお話から逸れ、マチュー・カリエールのお話がまだまだ続いてしまう私。なので、そのうちにと想っていた主演作を続けようと想います♪
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      ♥嗚呼!素敵☆こちらを向かれているのでドキドキ♪

b0106921_22494474.jpgビリティス/BILLITIS
1977年・フランス映画
監督:デヴィッド・ハミルトン 製作:シルヴィオ・タベット、ジャック・ナーアム 原作:ピエール・ルイス 脚本:カトリーヌ・ブレイヤ 撮影:ベルナール・ダイレンコー 音楽:フランシス・レイ 出演:パティ・ダーバンヴィル、モナ・クリステンセン、ベルナール・ジロドー、マチュー・カリエール、ジル・コーレル
※このDVDは英語圏で発売のものです。
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by claranomori | 2008-03-29 23:58 | 銀幕の少女たち・少女映画
19世紀末から20世紀初頭に生きたピエール・ルイス(1870~1925)。耽美派小説を読み耽っていた時期がある。大好きな澁澤龍彦氏の作品群に浸り、生田耕作氏が推奨されるものや翻訳された作品の中でこのピエール・ルイスというフランスの高踏派詩人として、また耽美派作家が気になり作品を幾つか読んだ(絶版で未読のものもある)。最初は『女と人形』(生田耕作コレクション)として。まだ80年代の10代の折のこと...そして、ルイス・ブニュエルの遺作『欲望のあいまいな対象』の映画を観たのも近い時期。そして、すっかりブニュエルにハマる!当時ビデオの定価は高かったのだけれど幾つか購入した(今も大好きな映画たち)★また、これらの映画のお話や感想も追々に(長生きしなくては果てしない)♪そして、この映画化に当り邦題が改定されて出版されたことを知る。そして、今度は文庫で読み再読していたばかり。翻訳は飯島正氏のもの。『私の体に悪魔がいる』と言うものや『女とあやつり人形』という邦題もある。さらに後に成りマレーネ・ディートリッヒの『西班牙狂想曲』も原作は同じだと知る。他にも映画化されているので、このピエール・ルイスの小説の存在の大きさを想う。
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今の感じではピエール・ルイスの作品ではこの作品が一等好きなのかもしれない。でも、それ以前に出版されていた散文詩集の『ビリチスの歌』(1894年)。偶然は必然なのだろうなあ~と想える気もするのは、この時期の私はかなり読書時間が一日の比重として大きく、これらのフランス文学や神話や妖精に関する御本たちを毎日読んでいた。そして、音楽熱も高まっていた時期でもありアルバイトのお給与を頂くとたちまちに消えてゆくのだった。二束三文で古本屋さんに売ってしまって後悔しているものもあるけれど、今も私の好きな大切な世界にそれらの存在は無くてはならないものなのだと痛感している。随分年月は経てども変らない好きな世界を想うと幸せなのだ。また、今もまだまだそんな人生の過程なので、観たり読んだり聴いたりお話したりすることは、私の心の糧となりさらに深まるのだろう。”好き”という言葉は安易に使いすぎて自分でもはて~?と想うことがよくある。でも、私の好きなものたちの中でも、おこがましい様だけれど”好き”という感覚から”無くてはならないもの”、あるいはずっと胸に抱きしめているもののような気持ちになれることが嬉しい☆
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『ビリチスの歌』は古代ギリシャに魅せられ続けたピエール・ルイスの架空の物語。たいそう巧妙なので読んでいるとすっかりまるで”ビリチス”という女性が神話の世界に存在していたと想ってしまうのだ。なので、おかしな具合になるのだけれどこういうロマンティックな幻想は好きなので愉しい。順序からすると、先ずピエール・ルイスの『ビリチスの歌』(訳:鈴木信太郎氏)、そして、フランシス・レイが映画『ビリティス』の音楽を担当したのでそのレコードでサントラを聴いた(正確には母が持っていたポール・モーリアの『映画音楽のテーマ集』で先に聴いていたので、このお花の冠姿の少女たちのお写真はハミルトンのものとも知らずに可愛い!と見ていたのだと後に判明)。そして、映画はずっと後になって観ることができた。デビッド・ハミルトンの長編映画としての第一作に当るものながら、版権の問題なのか他の作品はDVD化されているけれどこちらはまだ...『デヴィッド・ハミルトンBOX』として発売して下さると嬉しいなあ♪と、今は最初に発売された『ビリティス』と、後に『柔らかい肌 禁じられた幼性』(『ビリティス』で良いではないかと想うけれど)と改題され発売されたビデオを幾度か観ている。この映画のこともまた後ほどと想うけれど、この原作の方がさらに好きであるということは今も変らない。挿絵も好きな絵だし、何よりもそれらの詩たちの世界が大好き!なので関連する作品も読み比べてみたりしている。とりわけお気に入りの詩篇たちは訳者も様々とあるので、また少しずつこちらで綴っておこうと想う。そうそう、連想ゲームの続きだというのは、この『ビリチスの歌』の主人公ビリチス(ビリティス)は先述のギリシャの女性詩人サッポー(サッフォー)の存在を識っていた(ビリチスの誕生は紀元前6世紀初頭とされている)。また、父の存在を知らぬ少女ビリチスは同じ年頃の少女ムナジディカとの悲歌を30篇程残している。彼女は美徳も悪徳も備えていたけれど、美徳しか知りたいとは思わないとも(全てピエール・ルイスによる創作なのに)。そして、年老いたビリチスが幼き少女時代の清純、成年期の濃艶な同性愛、後期の頽廃した遊女生活を回顧し、思い出を伝記として綴ったもののようなお話。まるでギリシャの女流詩人ビリチスがサッポーのように存在したかのように想えてしまう...実に素晴らしい☆

ささやかなこの古代恋愛の書は
未来の社会のうら若い女性たちに
恭々しく献げられる
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※この絵は、ピエール・ルイスと同じ時代を生きたハンガリー生まれの画家ウィリー・ポガニー(1882~1955)の『ビリティスの歌』(1926年)より♪


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by claranomori | 2008-03-29 11:30 | 19世紀★憂愁のロマンと美