あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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<   2008年 05月 ( 15 )   > この月の画像一覧

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『フィオナの海』はジョン・セイルズ監督がアイルランドを舞台に描いた心に響く美しい珠玉の映画。少女フィオナを演じるのはこの作品で映画デビューの演技経験のない愛らしい少女ジェニ・コートニー。でも、ただ可愛いというのでもなく、この幻想的でファンタジックでもあるお話の主人公にピッタリの妖精のような不思議な魅力を湛えた少女。この当時10歳頃のよう。私はこのような伝承民話や妖精伝説ものがとても好きな上に、可愛い少女が主役で、かつ家族と自然との深い繋がりを描いたものはたまらなく好き!アイルランドというと『ライアンの娘』(名作!)を想い出したり、ケルト神話、イングランドとの闘いの歴史も関係しているので、そうした歴史的背景も。
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原作は英国のロザリー・K・フライの小説『ロン・モル・スケリーの秘密』を基に、ジョン・セイルズ監督が脚本・映画化されたもの。時代は1940年代。祖父母と従兄弟と暮らしている少女フィオナ。その島に辿り着いた時、一人で船に乗るこの少女をアザラシが見つめていた(この映画の原題は『ローン・イニッシュの秘密』で、ローン・イニッシュとはゲール語で”アザラシの島”という意味)。嘗てそのローン・イニッシュ(今は無人島)でフィオナの家族は暮らしていたのだけれど、母親を病気で亡くした家族はその島を離れることになる。その途中にフィオナの弟ジェミーは海にさらわれてしまい、行方不明となっていた。優しくあたたかくフィオナを迎える祖父母と従兄弟。祖父がフィオナに色々な昔話をする。そんな中、不思議な力で海にさらわれたジェミーのお話も。祖父は半ば彼の生存を諦めているけれど、フィオナはきっと弟が生きていると信じる。そして、そのローン・イニッシュを訪れると、不思議な男性タッドに出会う。彼はフィオナの父の従兄弟で皆からは変わり者とされている。このタッドがフィオナに、”祖先にはアザラシの妖精セルキーと結婚した者がいる。その時から、家系には妖精の血を濃く受け継いだ黒い髪の者が生まれるようになり、弟のジェミーもその中の一人なのだ”と語る。フィオナの信じる心は美しく尊い!もう何だか泣けてくるのだけれど、その純粋な気持ちは再度島を訪れた時に、お花を摘む少年をフィオナは見つける!正しく弟ジェミーだった。彼の名を叫んだけれど彼は揺り籠に乗って海を漂いながら行ってしまうのだった。祖父母は今住んでいる家を立ち退かなくてはならない。フィオナは嘗て住んでいたローン・イニッシュに家を再建しようと相談する。そうして、家族が戻ってきたらきっと、弟ジェミーも帰ってくると信じて。そして、嘗ての家を修復し嵐の夜に一家はローン・イニッシュに渡った。すると、夜になり揺り籠に乗ったジェミーがアザラシに導かれて家族の待つ浜辺に帰ってきたのだった☆
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生きるもの、生命のあるものは全て尊い存在だと想う。いつの間にか、すっかり地球で権威を振るう人間はもしかすると最も野蛮な生き物かもしれない...なんて想ったりしてしまう。こうした珠玉の一編を鑑賞することで、自然の尊さ、緑や大地、草花や生き物たちと共に生きているのだと心洗われる感銘で胸がいっぱいになる。なので、私は妖精を信じているのだけれど...まだ逢えない。こうした風土、自然との共存というか調和の歴史を持つアイルランド。私の好きな井村君江さまが語っておられた。

すべての生き物や自然のなかに、人間と同じ命を感じるアニミズム(物活論)の精神は、八百万の神を信じるわが国と共通するものである。これは、いわば草木など自然の森羅万象に精霊を見るパンセイズム(汎神論)の考えと言ってもいいであろう。

フィオナの海/THE SECRET OF ROAN INISH      
         1994年・アメリカ映画
監督・脚本:ジョン・セイルズ 製作:マギー・レンジー、サラ・グリーン 原作:ロザリー・K・フライ 撮影:ハスケル・ウェクスラー 音楽:メイソン・ダーリング 出演:ジェニー・コートニー、ミック・ラリー、リチャード・シェリダン、ジョン・リンチ、スーザン・リンチ、シリアン・バーン
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by claranomori | 2008-05-29 23:27 | 銀幕の少女たち・少女映画
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ホリー・ハンター:HOLLY HUNTER
1958年3月20日 アメリカ・ジョージア州生まれ
本名:Holly P. Hunter

★結構知らない内に出演作品を観ているのだけれど、このお方が気になり始めたのは『ピアノ・レッスン』。こんな深く難解であろう静かに燃え上がるような女性を演じることもできる女優さまなのだ!!と感涙したものです。今もお歳を重ねる毎に素敵♪

●代表作●
セービング・グレイス (2007)
美しい人 (2005)
ビッグホワイト (2005)  
Mr.インクレディブル (2004)  声の出演
カレの嘘と彼女のヒミツ (2004)  
サーティーン あの頃欲しかった愛のこと (2003)
カンヌ 愛と欲望の都 (2002) 
ムーンライト・マイル (2002)
デブラ・ウィンガーを探して (2002)  
オー・ブラザー! (2000)
タイムコード (2000)
アメリカン・ジャスティス (2000)  
美しき家政婦/ウーマン・ウォンテッド (1999)
彼女を見ればわかること (1999)
マンハッタンで抱きしめて (1999) 
普通じゃない (1997)  
クラッシュ (1996)  
コピーキャット (1995)  
ホーム・フォー・ザ・ホリデイ (1995)  
ザ・ファーム/法律事務所  
しゃべりすぎた女 (1993) 
ピアノ・レッスン (1993)  
愛を奏でて (1992)  
ワンス・アラウンド (1990)  
オールウェイズ (1989)  
恋のランゲージ (1989)  
沈黙の裁き (1989)
ミス・ファイヤークラッカー (1989)  
赤ちゃん泥棒 (1987)
ハロー・マイ・トレイン (1987)
ブロードキャスト・ニュース (1987)
ルイジアナの夜明け (1987) 
スイング・シフト (1984) 
スヴェンガリの魔力 (1983) 
バーニング (1981)
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by claranomori | 2008-05-27 20:49 | 女優館★銀幕の名花たち
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『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』は、2003年のアメリカ・イギリス合作映画。キャサリン・ハードウィックの初監督作品。脚本は監督とイーヴィ役で映画デビューのニッキー・リードの共同によるもの。後から知ったのだけれど、このお話はニッキー・リードの体験から描かれた実話のようなもの。実際の体験はニッキー・リードは少女トレイシーであったという。でも、その彼女がトレイシーを演じるには既に経験してしまっている事柄も含めて、今作ではイーヴィ役となったそうだ。トレイシーを演じるエヴァン・レイチェル・ウッドが好きなもので観たのだけれど、その母親役のホリー・ハンターがまたとっても素晴らしかった!この女優様はお歳を重ねる度に好きになっている。エヴァン・レイチェル・ウッドの初めての汚れ役。最初は驚いたけれど、美少女子役から確実に成長されているお姿に感動してしまった。アメリカの13歳...そして、私はどうしても自分のその頃を思い出してしまう。今の日本の13歳の少女たちと私の時代とは違う。また、その頃の私はこの映画の中のトレイシーでもなくイーヴィでもなかった。でも、彼女たちの求める愛や優しさ、ゆらぎの刻、心の虚無感のようなものは感じることができる。男の子たちもそうなのかもしれない。
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真面目で清純な少女トレイシーは学校での人気者の少女イーヴィに憧れている。イーヴィは映画スターのジェニファー・ロペスみたいなセクシーなファッションとメイクで、男の子達の視線を釘付けにしている少女。トレイシーは両親の離婚後、母親と兄との3人暮らしで、自作の詩を作っては母に読むのが好きな多感な少女。でも、お部屋に飾ってあるテディ・ベアやバービー人形に嫌気がさし始めるのだった。そして、それまで着ていた清楚なお洋服を脱ぎ捨て、腹部を見せたTシャツやローラインズ・ジーンズ、スパイク・ヒールの靴に興味を示し、ボディ・ピアスや派手なメイクをするようになる。すべては憧れのイーヴィに近づくためのこと。母親の死後、保護者の下に暮らすイーヴィがトレイシーの家に招かれ一緒に生活するようになり、二人は親友の仲になってゆく。そして、18歳と歳を偽り舌にピアスをつけたり、ドラッグにも手を出し、ボーイフレンドも出来る...それでも、彼女たちの心は空虚なのだ。その痛さがヒリヒリする。この映画が名作だとも思わないのだけれど、お気に入りのエヴァン・レイチェル・ウッド、ホリー・ハンターの母娘の絆や葛藤の姿(母メラリーの恋愛なども含めて)に引き込まれていたようだった。ホリー・ハンター凄い!と再確認していた。
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撮影当時14歳のニッキー・リードは、13歳の時にこの脚本に参加している。エヴァン・レイチェル・ウッドは一つ年上なので撮影当時15歳頃。この役柄で遂にゴールデン・グローブ賞にもノミネートされ評価を得て良かった。でも、その後、マリリン・マンソンの彼女となりそのロマンスを伝え聞いた時嫉妬した(当然の如くマリリン・マンソンに!)。でも、幸運なマリリン・マンソンを祝福しよう!まだ恋愛が続いているのかは知らないのだけれど。エヴァン・レイチェル・ウッドは子役時代からサンドラ・ブロックの娘役(ニコール・キッドマン共演の)『プラクティカル・マジック 』、ケヴィン・ベーコンと共演の『ウィズ・ユー』、少し大きくなって『ひみつの番人』(大好き!)、アル・パチーノの娘役の『シモーヌ』、さらに美しさの増す中、ケイト・ブランシェットの娘役の『ミッシング』、ジョーン・アレンの娘役『ママが泣いた日』、エドワード・ノートンと共演の『ダウン・イン・ザ・バレー』、豪華キャストによるコメディ『ハサミを持って突っ走る』...と追いながら、これからも応援するのです☆今、20代に突入した彼女のこれからの作品、演じる役柄をいつまでも観ていたいと思うご贔屓のエヴァン・レイチェル・ウッドちゃん♪

★また、他のエヴァン・レイチェル・ウッドちゃん作品について追々追記してゆきます(こればっかり言っていますが果てしない旅のようでもあります)♪

サーティーン あの頃欲しかった愛のこと/THIRTEEN    
       2003年・アメリカ/イギリス合作映画
監督:キャサリン・ハードウィック 脚本:キャサリン・ハードウィック、ニッキー・リード 衣装デザイン:シンディ・エヴァンス 音楽:マーク・マザースボウ 出演:ホリー・ハンター、エヴァン・レイチェル・ウッド、ニッキー・リード、ジェレミー・シスト、デボラ・カーラ・アンガー、キップ・パルデュー
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by claranomori | 2008-05-27 10:57 | 銀幕の少女たち・少女映画
『少女のための恋愛辞典』
家のない子も恋をする


キスと二つ並べて書いてみる。キスキスである。さかさに読むと、スキスキとなる。これもとてもいいな、と男の子は考える。漢字で書くと「好き」という字は女ヘンに子という字。つまり、女の子である。これも、とてもいいな、と男の子は考える。
男の子は、ことし十五歳である。

ラブと二つ並べて書くとラブラブ。さかさに読むと、ブラブラである。何だか知らないけれど、ちよっと恥ずかしい、と男の子は考える。

ブリジット・フォンテーヌが唄っている。

世界のひとが
みんなさむさにふるえている
だから
どこかで火事がある

ハートが燃えると恋なのに、家が燃えると火事なのです。
「家は、恋をすることができないのかな」
と男の子は考えこんでしまった。

(中略)

ダミアはシャンソンで、
「海で死んだ人は、みんな、かもめになってしまう」
と唄いましたが、かもめになれなかった溺死の少女は、いまも海の底に沈んでいます。
だから、ひとは誰でも青い海を見ていると、かなしくなってしまうのです。

寺山修司 『少女のための恋愛辞典 家のない子も恋をする』
写真:沢渡朔 『人形たちの夜』より

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★これは寺山修司氏が子供の頃に、アンブロース・ビアスの『悪魔の辞典』を愛読されており、中に、《恋愛》=患者を結婚させるか、あるいはこの病気を招いた環境から引き離すことによってのみ、治すことのできる一時的精神異常。と記されていたこと、この本のもつ冷ややかな調子に反発し、おとなになったら、ぼくの辞典を作ろうと思ったそうです。でも、できやしないので、恋愛についてのノートに「少女のための恋愛辞典」とつけてみたそうです。因って、これは寺山修司によるアンブロース・ビアスへの回答でもあるというもの。

私もアンブロース・ビアスの『悪魔の辞典』を持っていた。真っ黒な妖しげな御本でちゃんと読まずに古本屋さんに売ってしまった。私よりさらに幼い弟が私の本棚を見ては不気味そうに、こっそり母に告げ口していたらしい。「お姉ちゃん、だんだんおかしくなってる。大丈夫かな...」って。母も多分にそういう意味ではおかしな人だったので、そんな弟の心配心をまた私にこっそり嬉しそうに話すのでした。”シャンソン”というフランスの歌謡を教えてくれたのも母でした。でも、この詩には”ブリジット・フォンテーヌ”という名が出てくる!私のこの趣味サイト『BRIGITTE』とはブリジット・フォンテーヌのお名前から拝借しているもの。なので、この詩はとっても大好き!寺山修司作品には数え切れない程の好きな詩や物語、映画がある私。なので、このブログが続く限り(多分息絶えるまで終わりなどはないと想うのですが)、また追々にと想っています。末永くよろしくお願い致します☆
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by claranomori | 2008-05-23 02:11 | 愛の花束・日本の抒情・文学
フェルナン・クノップフ (1858~1921)はベルギーを代表する象徴主義画家。フランス語を話す上流階級の出身のお方で、フランドルのデンデルモンドに近いシャトーに生まれ、その後ブリュージュに移り6歳まで過ごす。その後はブリュッセルで育つ。行った事のないブリュージュに憧れている私。クノップフは、「当時は観光客からも見放された、現実としての死の町であったブルージュで、私は子供時代を過ごしたが、遠い昔の、しかし正確な想い出を大切なものとして持ち続けている。」と語っている。ギュスターヴ・モローにも近い神秘主義は魅惑的だ。ペラダンとも関連していて”薔薇十字会”に参加もしている。1891年に初めて英国を訪れ、以降、親交の深かったバーン=ジョーンズやロセッティとの関連...もうかなり好き!!ヒュプノス(ヒプノス)のことも欠かせない。この辺り、神話からラファエル前派まで絡んでくる世界。私はこのような美があまりにも好きなのだけれど手短に。ヒュプノスの両親は”夜”と"闇”。また、双子の兄弟はタナトス”死”であり、ヒュプノスは”眠り”である。このヒュプノスがいくつもの作品の中に見られる。また、クノップフはグスタフ・クリムトにも影響を与えたお方でもある。
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        ♥私は私自身に対してドアを閉ざす (1891年)♪
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また、クノップフの理想の女性像であったのだろうとされる妹マルグリットの存在、女形の様な男性像などのアンドロギュノスたち。幻想的で夢幻の世界。とっても大好きな作品のひとつである「ステファヌ・マラルメの詩」あるいは「花を聴きながら」(1898年)と題されたもの。静寂なナルシスムとも言えそうで夢想的かつ優美すぎる☆少女の肖像画もあるのでそれらも♪
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            ♥マルグリットの肖像 (1887年)♪
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          ♥ジャンヌ・ケフェルの肖像 (1885年)♪
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           ♥イヴォンヌ・シュイの肖像 (1890年)♪
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by claranomori | 2008-05-20 01:50 | 19世紀★憂愁のロマンと美
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マリアンヌ・フェイスフル様が大好き!なので、関連した映画も観ることになる。最も代表作で主役となると『あの胸にもういちど』。劇場公開の主演というと、とても久しぶりの『やわらかい手』(6月観に行く♪)も楽しみにしているところ。このサラ・ドライヴァー監督の『豚が飛ぶとき』(1993年)も重要な役で出演されているファンタジックで素敵な映画。このタケコプターのようなものを頭につけているお姿も愉しい!マリアンヌ・フェイスフルが演じるのはどこか寂しげな女性リリー。もう一人のおしゃまな可愛い少女ルーシー(レイチェル・ベラ)のお二人は幽霊なのだ。
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寂れた風情の港町の片隅に小さなアイルランド系のバー”エリンの薔薇”というお店がある。そこで働くダンサーのシーラ(マギー・オニール)が、一階に住む家主マーティ(アルフレッド・モリーナ)にお店の物置から持ち帰った古いロッキング・チェアをプレゼントする。マーティはあまり生気がなく、子供にジャズ・ピアノを教えてどうにか生活している男性。この古い椅子にリリーとルーシーの二人の幽霊が棲んでいるのだった。アンティークなドレスを纏った少女ルーシーとリリーはこの椅子の上で死に至り、今はマーティの家にやって来た。このリリーは嘗て”エリンの薔薇”のマダムで、お店も活気に溢れていた頃。マーティはこの嘗てのマダム、リリーは病気で死んだのだと聞かされていた。まあ、突然幽霊が現れて慌てふためくマーティながら、そうした繋がりから嘗ての友人や家族の姿が幻の如く現れる。そんな中、頑固者の父親の幽霊とも再会する。しかし、マーティは気づかない。二人の幽霊に誘われて散歩に出かけたりする。そんなお話をシーラにしても彼女は信じない。でも、二人が現れる!
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リリーは嘗ての”エリンの薔薇”が低俗なお店に成り下がったことを嘆き、霊力を使ってぐちゃくちゃにしたりする。嘗てのリリーの夫フランク(シーモア・カッセル)は暴力的な人で、熱病で先に死んだルーシーはそのフランクが妻リリーを殺すのを見ていたという。だんだんと事の真相が明らかにされるけれど年月が経っている。リリーは残した娘キャスリーンにせめてお金を贈りたいのだという。そうして、娘探しにを始めるマーティとシーラ・・・。このような”幽霊譚”をユニークでファンタジーの世界に描きながら何かしら伝わるものは何だろう!と想う。音楽を担当しているのはジョー・ストラマー!サラ・ドライヴァーやジム・ジャームッシュの音楽的センスにもいつも共感してしまう。また、不思議なのに自然な感じ、詞的にすら感じるこの映画は、エイズで亡くなったサラ・ドライヴァーの友人でもあったハワード・ブルックナー監督を偲んで撮られたものなのだそうだ☆

豚が飛ぶとき/WHEN PIGS FLY
    1993年・アメリカ映画
監督:サラ・ドライヴァー 製作総指揮:ジム・ジャームッシュ、デニス・ウィグマン 脚本:レイ・ドビンズ 撮影:ロビー・ミューラー 音楽:ジョー・ストラマー 出演:アルフレッド・モリーナ、マリアンヌ・フェイスフル、レイチェル・ベラ、マギー・オニール、シーモア・カッセル
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by claranomori | 2008-05-16 23:57 | 銀幕の少女たち・少女映画
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1988年にサイモン・ターナーのプロデュースの下、élレーベルよりデビューした女の子デュオのBAD DREAM FANCY DRESS♪カリーとキャッツというニックネームしか知らないけれど、いつも(と言ってもこの時期のみのデュオだけれど)このお二人の並びは決まっているようなので、勝手に向かって左のお方がカリーさんで、そのお隣がキャッツさんだと思い込んでいる。ヘタウマな可愛らしさって大好き!ポップなのだけれどちょっと狂ってる感じはサイモン・ターナーのお得意なところでもある。デビュー・シングル『CURRY CRAZY』(10インチ)のB面曲は『UP THE KING OF LUXEMBOURG』で、サイモン・ターナーが自ら作り上げた架空の王国。私はサイモン・ターナーがとても好きなので、彼のこうした捻じ曲がったポップセンスと実験的で不可思議なアンダーグラウンド・ポップやデレク・ジャーマンの映画音楽なども其々に魅力的でお気に入り。来日時に2枚のアルバムにサインを頂くことができた。それらは宝物!一枚はキング・オブ・ルクセンブルグ名義のもの、もう一枚はデレク・ジャーマンの『カラヴァジオ(カラヴァッジョ)』のサントラ。とてもハンサムで素敵なお方なのに背負った感じがなくてお優しいお方だった。”キング・オブ・ルクセンブルグはサイモン・ターナーとはイコールじゃないんだよね”とかにこやかに仰いながら不思議なサインを頂いた。そんな思い出が巡りながらこの曲の歌いだし♪

静粛に!
彼の美しさ  身のこなし キング・オブ・ルクセンブルグを讃えよ

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同じくアルバムは1988年に発売された(唯一のアルバム)。そのオープニング曲は『THE SUPREMES』という曲で始まる。ダイアナ・ロスがお若い頃に在籍していたガールズ・グループ名と同じ。

昔々あるところに二人の少女がいました
二人はいつも一緒で 大の仲良しでした
彼女たちがそんなに仲良しだった理由は
二人とも同じ夢を持っていたからです


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また、アルバムのタイトルでもある『CHOIRBOYS GAS』という曲も素敵♪

バルコニーの日溜りにすわり
すいかずらの花の香りが漂う
鐘の音とコーラスが聞こえてくる

CHOIRBOYS GAS
CHOIRBOYS GAS
日曜は教会へゆくの
ひざまづき 目を閉じて
"神よ、男の子を与えたまえ”って祈るの


こんな歌詞たちが私の心に届く。楽曲は60年代的なノスタルジックさが随所に感じられ、歌詞は少女時代の心象風景が織り込められながらもどこか皮肉っぽくてユニーク!この聖歌隊の少年たちが裏ジャケットにぼやけながら写っている。私は此処にも即反応してしまうのだった!最初はウェストミンスターの聖歌隊(少年合唱団 )だと想っていたのだけれど、襟の赤い縁の丸みからしてケンブリッジのキングス・カレッジの聖歌隊の少年たちではないかと今は想っている(違っていたら教えてください~!)♪
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by claranomori | 2008-05-15 21:36 | 私的少女音楽★愛しき歌姫
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3月にケイト・ブランシェット扮する『エリザベス:ゴールデン・エイジ』を観てあの神々しさに胸高鳴り、今もあの白馬に乗り指揮をするお姿などなどが浮かびうっとり。その後、何処かに仕舞い込んでいた『英国王妃物語』を引っ張り出し再読していた。この約2ヶ月はそんなことも常に頭と心の何処かに共にいた。ようやく少し整理されたようなので忘れるので綴っておこうと想う。エリザベス一世のお母様であるアン・ブリーン(アン・ブーリン:1507年~1536年)は、サー・トマス・ブリーンの次女として、ロンドンのロッチファド・ホール、あるいはノリッジのブリックリング・ホールで生まれたとされている。共に父トマスの所領である。母は名門二代目ノーフォーク公トマス・ハワードの娘エリザベスであり、このことからヘンリーの5人目の王妃キャサリン・ハワードとは従姉妹の関係にある。信じ難くも腹立たしい程に、この好色家ヘンリー八世の6人の妻(王妃)たちは皆悲運な生涯を終えている。中でも、このアン・ブリーンとキャサリン・ハワードは断頭の刑に処されている(権力を武器にした手回し)。※宗教改革問題なども大きく関係してもいる。

アンは宮廷の誰からも可愛がられ、ルイ十二世の娘クロードの保護のもとに教育を受ける。音楽、舞踏、刺繍、そしてラテン語に至るまで、宮廷マナーとともに磨きをかけたアンは、1522年まで(27年まで説もある)フランスに滞在。1527年には王妃キャサリン付きの女官として出仕していたそうだ。見違える程のレディーに成長したアンを見初めたヘンリーは、アンとの結婚のためキャサリン王妃との結婚を無効にし、最初は気の進まぬアンだったそうだけれど1529年頃から関係をもち、1533年9月7日、アンはグリニッジ宮殿で女子を出産(後のエリザベス一世である!)。ヘンリーは男子が生まれてくるものとばかり思っていたので落胆は大きかった。その後、男子を授かるが流産してしまう。前回以上の落胆のヘンリーを前に、アンは悲鳴に近い声をあげたという。お二人の関係は急激に冷め出しヘンリーは他の女性へと...。載冠まで済ませた王妃アンとの別離の方法は、前回同様に”結婚の無効”による方法しかなく、その無効理由に腐心した。しかし、信じられないけれど、このヘンリーはアンをロンドン塔に閉じ込め、宮廷の男性たちとの不倫を理由に収監させたのだ(狂っている!)。アンは無実の手紙も書いているけれど、その逮捕から二週間後(1536年5月15日)、王妃姦通の裁判が開かれ、その不公平な仕組まれた裁判の結果、アンは断頭の刑に処されてしまう。5月19日、29歳の生涯を終えた。そして、ヘンリーはその処刑から僅か10日後に、予てから関係のあったジェイン・シーモアを3人目の妻とする。ロンドン市民も流石に仰天したという!この不品行の悪名高きヘンリーは、イングランド王最初の梅毒を患った王としての記録を残しているそうだ。因果なことに、長男エドワード六世の夭逝は、ヘンリーの悪行の祟りであるとも。きっと、そうに違いない。
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映画『1000日のアン』がどうしても思い出されるのだけれど、この中でアン・ブリーンを演じるジュヌヴィエーヴ・ビジョルドのお姿が浮かび涙する(もう泣いてばかりいる!)。憎きヘンリー八世を演じるのは英国の名優リチャード・バートン(上手いので彼は許せるけれど)、そして、最初の王妃キャサリン・オブ・アラゴンを演じるのはギリシャの名女優であり歌手でもあるイレーネ・パパス。その他豪華な顔ぶれによる名作(1969年映画)!
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また、ブリティッシュ・ロック史に名を刻む天才キーボード・プレーヤーのリック・ウェイクマン(よく、アラン・リックマンと言い間違えてしまう)のYES加入後1973年の1stソロ・アルバム『ヘンリー八世と六人の妻たち』も浮かぶ。私はキース・エマーソンよりもリック・ウェイクマンの方が相性が良いみたい。というのも、YES加入前(その後も)からデヴィッド・ボウイ様のアルバムに参加していたり、ストローヴスというバンドがトラッドフォークの流れで好きなことによるのだと想う♪

≪追記≫
※アン・ブリーンと呼んでいたのですが、ブーリンの方がポピュラーだと知りましたので、この記事のタイトルをブーリンに変更致しました。秋に公開の『ブーリン家の姉妹』も楽しみです♪(2008.8.31)
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by claranomori | 2008-05-12 20:45 | 私の好きな王宮物語と運命
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私はフランソワ・トリュフォー監督作品がとっても好きで、多分フランスの監督だと一等好きなのだと想っている。作品はソフト化されたもの、上映されたものは一応全部観ているほど。この『トリュフォーの思春期』は最初はテレビ放送で観たもの。トリュフォー監督に限らず、フランス映画には独特の思春期映像の優しさ、あたたかさ、美しさがあると想っている。他のお国にも勿論あるけれど。此処は「少女愛惜」と題しているけれど、私は子供たち、少年少女たちが好き!ある限られた刻、思春期という時期に私の心の何かが捉われ続けているようなのだ。なので、実はあまり”ロリータ”という言葉やイメージはどうでも良くて、”思春期”という言葉や”少女”や”少年”、”子供たち”が好きなよう。小説にしても、”少女小説”(少年少女に向けられている)の方をより好んでいるように想う。※矛盾するようながら、愛読書のナボコフの『ロリータ』は少女小説ではない。
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この『トリュフォーの思春期』は1976年作品で映画初出演の子供たち(赤ちゃんや幼児たちも)ばかり♪中でも少年パトリック(ジョリー・デムソー)とジュリアン(フィリップ・ゴールドマン)は印象的だった。特に私は最初から黒髪のどこか寂しげな美少年ジュリアンが気になった。でも、この映画は、出演している2歳から14歳までの100人を超える子供たちの日常をそれぞれ描き出してゆく。中にはトリュフォーの娘さまのイバ・トリュフォーも♪
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    ♥長い髪の可愛い少女マルチーヌ(パスカル・ブリュション)♪
音楽はフランス映画の歴史に欠かせないモーリス・ジョーベール!挿入歌にはシャルル・トレネの『日曜は退屈』が使われている(昨日、永瀧達治さんのシャンソン・トーク会でもトレネのお話が少しされた。それも私のツボである少年愛に触れられたことでトキメク瞬間だった♪)。そうそう、この作品の原題は”おこづかい”という意味。トリュフォー監督のご自身の少年時代の回顧でもあるのだろうけれど、観ている私もすんなりと思春期に戻ってゆくような優しいメルヘン的な映像詩が綴られているように想い大好きな映画!素人子役たちをこんなに沢山起用してこんなに素晴らしい映画にされた。トリュフォーの子供たちに対する深い愛情がどれだけのものか!!と胸を打つ。ジュリアン少年が身体検査で体中に傷があることで、彼が親からの虐待を受けていたことが分かる。多分、私がこうした子供の虐待による傷(心も)を映像で最初に観たもの。なので、劇中の子供たちと同じ様に私もとっても驚き、困惑したものだった。思春期の淡い恋心や友情も織り込まれながらも、このような描写もある。そこにトリュフォーの訴えかけてくる力を感じる。それはとても辛辣でもありリアルに感じるもの。なので、好きなのだと想う。ただの少年少女映画を作って儲けようなどとは微塵も想ってはおられない。他の作品からも窺えるけれど、トリュフォーの心、映画への愛、その強さが私の心に突き刺さる☆
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トリュフォーの思春期/L' ARGENT DE POCHE
        1976年・フランス映画
監督:フランソワ・トリュフォー 脚本:フランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマン 撮影:ピエール=ウィリアム・グレン  音楽:モーリス・ジョーベール 出演:ジョリー・デムソー、フィリップ・ゴールドマン、リシャール・ゴルフィー、シルヴィー・グレゼル、パスカル・ブリュション、イバ・トリュフォー

※一番上の少年少女たちの画像を見ては嬉しくて仕方の無い私...”ヘンタイ”かもしれない。でも、大人が主人公の恋愛映画もコメディもフィルム・ノワールも時代劇も好き。その辺のバランスは自分なりにとってはいるつもり。音楽もシャンソンも好きだけれどロックも好き!BRIGITTE内の各コンテンツで、これからも私の心に届く愛するものを大切に想い綴ったりしてゆこうと想っています。本来は美しいものに溺れて息絶えたいような者なのですが、今を生きている。贅沢にも長生きしたいと想っている。根性無しなのですぐに折れそうになる。そんな時にいつもエネルギーを得ては生き返る。それは愛する音楽や美しいものたち。結局は”愛”という処の旅の途中なのだと想っています。”愛”などと軽々しく語るにはまだまだ青二才!
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by claranomori | 2008-05-09 11:32 | 銀幕の美少年・少年映画
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美の極致

何度見るも感慨はあらたであろう。トーマス・マンの59年前の短編は、ここに色鮮やかにその1911年の時代を甦らせた。
 
夏のベニスのそのホテルの美しさ。華麗豪華とはいうまい。古さびた大理石の美しさでもない。あじさいのピンクブルゥのやさしさの中に沈む夏の日の倦怠。この映画では美術は決定的であり、しかもその美は人間の内面に残酷苛酷である。

初老の作曲家アッシェンバッハは、美少年のタジオに、生涯求めて得られなった美を知った。魂は奪われた。どこまでも跡を追った。少年は14歳。その年齢はものを知る知らぬのけじめもつかぬ冷たい早春。まして乙女ならぬ同性のその少年の気づく気づかぬその意識のいけにえとなってゆく作曲家。
 
夏の海はけだるく、いちご売りの声が長く尾を曳く。少年はひとりロビィで手すざびのピアノ”エリーゼのために”をくり返し弾いていた。これを聞く作曲家は思わず若き日の遊び女の弾いたその同じ曲を思い浮かべ、あわててその思い出をかき消した。魂の愛が、肉体の美を少年に求めたか。
 
初めてホテルでこの少年を見た日に流れていたメリイ・ウィドゥのあの”ヴィーリア”の曲のやさしさが、やがて夏も終わりを告げるその去りゆく夏のベニスをコレラが犯し、作曲家はひたすらタジオの安否に心を痛めた。
 
いま遠く渚にたたずむそのタジオを見つめ、哀れすでに病に犯された作曲家は、その時ひとりさびしく息をひきとった。愛する者は敗者なのであろうか。そしてこの愛の残酷が、この映画を見終わった貴方にどうひびき、どのように理解され得ることか。

淀川長治 (パンフレットより)


★「なんでもない日のお茶会」(私は音楽担当で毎月スタッフ参加させて頂いている大好きなイベント♪)で、不定期に私と司会のレベッカ様との映画トークのコーナー「映画大好き!Cinema Chouchou」というまったりコーナーを設けてくださっているのですが、第五回目を昨日終えました。GWということもありお若い可愛らしい少女や麗しいお方の夏っぽい装いを前にドキドキしながら始めました(打ち合わせは無し)。でも、私をいつもお優しくさり気なく誘導くださるレベッカ様と、あたたかな眼差しでお聞きくださるお客様たちのお陰で愉しく終えることができました。まだまだ後何時間でもお家では相方にお喋りは続く程に、大好きな映画『ベニスに死す』。出来るだけ、レンタル屋さんにもあり、購入可能な好きな映画をと心掛けています。次は秋頃の予定です。お若いお方がヴィスコンティ映画やビヨルンの美しさ!また、名優ダーク・ボガードやシルヴァーナ・マンガーノをご存じなくて当然だと想う。いったいどんな反応が得られるのか...と想っていましたが、やはりビヨルンの美しさは時空を超えたもの。”観てみたい”と想ってくださったお方がいてくださってとても嬉しかったのです。また、既にご覧のお方と後でお話させて頂くことも出来ました。そして、私の拙いお喋りをあたたかく見守ってくださりサポートしてくださる友人たちがブース周辺や最前列にいてくださったこと。皆様に感謝しています。ありがとうございます☆
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by claranomori | 2008-05-05 08:45 | ♥ルキノ・ヴィスコンティ