あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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<   2008年 03月 ( 18 )   > この月の画像一覧

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『テルレスの青春』はフォルカー・シュレンドルフ監督の1966年の長編デビュー作で、ニュー・ジャーマン・シネマの先駆的作品とされている。原作はロベルト・ムージルの『若いテルレスの惑い』。この書はヒトラー政権下で焚書処分となったものだということ、製作にルイ・マル監督が携っていること、ルキノ・ヴィスコンティ監督も映画化を考えておられたこと、またマチュー・カリエールが撮影当時15.16歳の少年期の主演作だということ...もう、私はこの作品を観ることができた時の感動と衝撃は言葉にならないものだった。『トニオ・クレーゲル』も未公開のままなのでリバイバルかソフト化を気長に熱望している。この『テルレスの青春』は1993年になってようやく日本公開され、たいそう相性の良い優れた作品を発売し続けてくださっているアップリンクからビデオ発売され購入した。このポスターに記されている「少年たちは限りなく美しく、そして残酷になる。」という言葉も実に興味深く魅力的に響く。
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重く深いテーマが底にある。ドイツ・ナチス政権時代という時代背景、また思春期の少年たちの其々の心理描写はモノクロームの冷厳な映像と共に、一際美しく聡明な少年トーマス・テルレス(マチュー・カリエール)の醸し出す姿や眼差しよ!幼少時から舞台に立ち映画デビューから今日まで、特に欧州映画の数々の中で個性的で複雑な役柄を演じ続けているお方。日本では大きなブレイクもないけれど、いまなお健在であることを嬉しく想っている。憂いのある繊細さ、スラリとした長身で美しい容姿には知性と翳りを伴う。褒め讃えることしか思いつかないみたい☆
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寄宿学校の少年たち。ある日、同級生のバジーニがクラスメイトのお金を盗んでしまう。テルレスは成績も優秀な少年でクラスメイトからも敬われる存在ながら、クラスのリーダ的存在のバイネベルクとライティングはバジーニを罰する(リンチである)。次第にエスカレートするイジメにバジーニは言われるがままに従っている。テルレスは困惑するけれど止めることはできず傍観しているのだ。静かに凛々しいテルレスながら居た堪れなくなり、バジーニに校長先生に助けを求めるように忠告する。残酷な私刑なるものはこうした少年たちに限らず、今も大人の世界でも起こっているように想う。この作品ではさらに同性愛的な要素も含まれている。美少年テルレスの静かで空虚な姿はマチュー・カリエールならでは!という役柄に想う。稀なる個性と美を備えた大好きな男優さまの少年時代の名作★

不条理で理解を超えることは簡単に起きる
ごく当たり前にように
それに身構えること
それが僕が学んだすべてです

このように先生達に事を隠していた理由を訊かれる中で、冷静に自分の考えを告げて終える。そして、母親と共にその寄宿舎から去ってゆく。馬車の中で母は優しく微笑み、テルレスも微笑む...。
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by claranomori | 2008-03-30 05:02 | 銀幕の美少年・少年映画
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デヴィッド・ハミルトン(デビッド・ハミルトン)監督の映画『ビリティス』のことも続けておこうと想う。ピエール・ルイスの『ビリチスの歌』を原作に、脚本はカトリーヌ・ブレイヤが担当している。カトリーヌ・ブレイヤというと女性監督でもあり『本当に若い娘』が浮かぶ。とても好きな作品でもないけれど少女や思春期を扱った作品は気になるので観てしまう。この映画『ビリティス』が好きかと尋ねられたなら「好き!」と即答する。英国ロンドン出身のファッション・カメラマンとして既に有名だったデヴィッド・ハミルトンの映画初監督作品。恋愛関係にもあった美しいモナ・クリステンセンを重要なメリサ役で登場させている。主人公の16歳の少女ビリティス役には当時20代半であったパティ・ダーバンヴィル。アメリカ出身の女優さまで主役はこのビリティス役しか知らない。脇役では70年代~80年代の作品で幾つか観ているけれど、最近は全く知らない。冒頭から前半辺りまでただただうっとり♪とソフト・フォーカスな美麗な映像、寄宿舎の少女たちの可愛らしさ、お別れの日の舞台で台詞を言えないビリティス、お花の冠にギリシャ神話の乙女たちのような白いお衣装、水色の制服と白いソックス...流石に隅々まで繊細な拘りを感じさせるもの。少女同士の戯れの中、カメラを持った青年ルカに恋をするのだけれど、その気持ちには戸惑いがある。思春期の少女の性に対する恐怖心というのか、男性への思慕と同時に抱く気持ちなのだ。お話のストーリーよりもその時期の少女の心のひだを美しい映像で綴る。
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ルカ役はデビュー作であるベルナール・ジロドー。実は結構好きな男優さま!知ったのはダニエル・シュミット監督の『ヘカテ』を劇場でドキドキしながら観た時。それ以降『リリィ』までほとんど追っている、何故だか。しかししかし!!ここからは多くの『ビリティス』の映画がお好きなお方と観る箇所がズレているようなのだ。なぜなら、謎の美青年ニキアスとして大好き!!なマチュー・カリエールが登場するので☆もう可愛い少女たちも軽く吹っ飛んでしまう位に大好きな男優さま。いつから好きかというと(訊かれてもいないけれど)、これまた大好きなデヴィッド・ボウイさまが当初演じる予定だった『エゴン・シーレ』を観た時から。リバイバル上映も含めると3度劇場で観ている。そして、可能な限り出演作品は追っている。ベルナール・ジロドーとは後に『地獄の暗号指令』でも再び共演している。その中では主人公はベルナール・ジロドーで、マチュー・カリエールは上司の役だった。ニキアスも両側に男性を侍らせて素敵に登場される役柄だったけれど、ここでもゲイの役(他にもあるけれど)だった。私なりに今もこれからも色々な映画を観続けると想うけれど、このような男優さまは他にはおられない!ヘルムート・バーガーさまの美しさとも違う。知的で繊細すぎる程!容姿のみならずお声も好き。オーバーアクションも知らない。最近は流石にお年を召され主役が減ったけれど、まだ現役で嬉しい。あの冷たい美麗さはどんな役柄でも絵になるのだ。お名前が書かれてあれば観たいと想う男優さまを「男優館」で少しずつ挙げているのだけれど、好きな男優さまというと必ず指折りに入るお方でとっても大好きなのだ。データを調べる折にチェックさせて頂くIMDmというデータベースに『欲望の華』があったけれど、ウィレム・デフォーとレナ・オリン目当てで観たけれどマチュー・カリエールのお姿はなかった...おかしいなあ?と想い再見したけれどやはり出演されていなかった。かと想うと、あまり観たいと想っていなかった『嵐の中で輝いて』に出演されていると知り観るとほんの一瞬、素敵なお姿がリーアム・ニーソンと一緒にドイツ人将校の役で出演されていた。エンドロールで上の方にお名前があったので、見逃していたのかともう一度観てみたけれど、やはりほんの一瞬だけのご出演だった。こんな調子ですっかりと『ビリティス』のお話から逸れ、マチュー・カリエールのお話がまだまだ続いてしまう私。なので、そのうちにと想っていた主演作を続けようと想います♪
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      ♥嗚呼!素敵☆こちらを向かれているのでドキドキ♪

b0106921_22494474.jpgビリティス/BILLITIS
1977年・フランス映画
監督:デヴィッド・ハミルトン 製作:シルヴィオ・タベット、ジャック・ナーアム 原作:ピエール・ルイス 脚本:カトリーヌ・ブレイヤ 撮影:ベルナール・ダイレンコー 音楽:フランシス・レイ 出演:パティ・ダーバンヴィル、モナ・クリステンセン、ベルナール・ジロドー、マチュー・カリエール、ジル・コーレル
※このDVDは英語圏で発売のものです。
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by claranomori | 2008-03-29 23:58 | 銀幕の少女たち・少女映画
19世紀末から20世紀初頭に生きたピエール・ルイス(1870~1925)。耽美派小説を読み耽っていた時期がある。大好きな澁澤龍彦氏の作品群に浸り、生田耕作氏が推奨されるものや翻訳された作品の中でこのピエール・ルイスというフランスの高踏派詩人として、また耽美派作家が気になり作品を幾つか読んだ(絶版で未読のものもある)。最初は『女と人形』(生田耕作コレクション)として。まだ80年代の10代の折のこと...そして、ルイス・ブニュエルの遺作『欲望のあいまいな対象』の映画を観たのも近い時期。そして、すっかりブニュエルにハマる!当時ビデオの定価は高かったのだけれど幾つか購入した(今も大好きな映画たち)★また、これらの映画のお話や感想も追々に(長生きしなくては果てしない)♪そして、この映画化に当り邦題が改定されて出版されたことを知る。そして、今度は文庫で読み再読していたばかり。翻訳は飯島正氏のもの。『私の体に悪魔がいる』と言うものや『女とあやつり人形』という邦題もある。さらに後に成りマレーネ・ディートリッヒの『西班牙狂想曲』も原作は同じだと知る。他にも映画化されているので、このピエール・ルイスの小説の存在の大きさを想う。
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今の感じではピエール・ルイスの作品ではこの作品が一等好きなのかもしれない。でも、それ以前に出版されていた散文詩集の『ビリチスの歌』(1894年)。偶然は必然なのだろうなあ~と想える気もするのは、この時期の私はかなり読書時間が一日の比重として大きく、これらのフランス文学や神話や妖精に関する御本たちを毎日読んでいた。そして、音楽熱も高まっていた時期でもありアルバイトのお給与を頂くとたちまちに消えてゆくのだった。二束三文で古本屋さんに売ってしまって後悔しているものもあるけれど、今も私の好きな大切な世界にそれらの存在は無くてはならないものなのだと痛感している。随分年月は経てども変らない好きな世界を想うと幸せなのだ。また、今もまだまだそんな人生の過程なので、観たり読んだり聴いたりお話したりすることは、私の心の糧となりさらに深まるのだろう。”好き”という言葉は安易に使いすぎて自分でもはて~?と想うことがよくある。でも、私の好きなものたちの中でも、おこがましい様だけれど”好き”という感覚から”無くてはならないもの”、あるいはずっと胸に抱きしめているもののような気持ちになれることが嬉しい☆
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『ビリチスの歌』は古代ギリシャに魅せられ続けたピエール・ルイスの架空の物語。たいそう巧妙なので読んでいるとすっかりまるで”ビリチス”という女性が神話の世界に存在していたと想ってしまうのだ。なので、おかしな具合になるのだけれどこういうロマンティックな幻想は好きなので愉しい。順序からすると、先ずピエール・ルイスの『ビリチスの歌』(訳:鈴木信太郎氏)、そして、フランシス・レイが映画『ビリティス』の音楽を担当したのでそのレコードでサントラを聴いた(正確には母が持っていたポール・モーリアの『映画音楽のテーマ集』で先に聴いていたので、このお花の冠姿の少女たちのお写真はハミルトンのものとも知らずに可愛い!と見ていたのだと後に判明)。そして、映画はずっと後になって観ることができた。デビッド・ハミルトンの長編映画としての第一作に当るものながら、版権の問題なのか他の作品はDVD化されているけれどこちらはまだ...『デヴィッド・ハミルトンBOX』として発売して下さると嬉しいなあ♪と、今は最初に発売された『ビリティス』と、後に『柔らかい肌 禁じられた幼性』(『ビリティス』で良いではないかと想うけれど)と改題され発売されたビデオを幾度か観ている。この映画のこともまた後ほどと想うけれど、この原作の方がさらに好きであるということは今も変らない。挿絵も好きな絵だし、何よりもそれらの詩たちの世界が大好き!なので関連する作品も読み比べてみたりしている。とりわけお気に入りの詩篇たちは訳者も様々とあるので、また少しずつこちらで綴っておこうと想う。そうそう、連想ゲームの続きだというのは、この『ビリチスの歌』の主人公ビリチス(ビリティス)は先述のギリシャの女性詩人サッポー(サッフォー)の存在を識っていた(ビリチスの誕生は紀元前6世紀初頭とされている)。また、父の存在を知らぬ少女ビリチスは同じ年頃の少女ムナジディカとの悲歌を30篇程残している。彼女は美徳も悪徳も備えていたけれど、美徳しか知りたいとは思わないとも(全てピエール・ルイスによる創作なのに)。そして、年老いたビリチスが幼き少女時代の清純、成年期の濃艶な同性愛、後期の頽廃した遊女生活を回顧し、思い出を伝記として綴ったもののようなお話。まるでギリシャの女流詩人ビリチスがサッポーのように存在したかのように想えてしまう...実に素晴らしい☆

ささやかなこの古代恋愛の書は
未来の社会のうら若い女性たちに
恭々しく献げられる
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※この絵は、ピエール・ルイスと同じ時代を生きたハンガリー生まれの画家ウィリー・ポガニー(1882~1955)の『ビリティスの歌』(1926年)より♪


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by claranomori | 2008-03-29 11:30 | 19世紀★憂愁のロマンと美
前述のマリー・ローランサンからの私的な連想ゲーム癖で頭の中が混雑してしまった(偶に起こる)。なので、想いつくままに。古代ギリシャの女流詩人(閨秀あるいは抒情詩人とも呼ばれる)サッフォー(サッポー:Sappho)の詩を、エディット・ド・ボーモンが仏訳したものを刊行し、その中にマリー・ローランサンはいくつかの挿絵を描いている。1950年刊行で僅か180部というものだったそうだ。サッフォーというとエキゾチックなヴァリエテ・フランセの麗人サッフォー(Sapho)も浮かべば、英国のバイロンの詩、ローレンス・アルマ=タデマやギュスターヴ・モローの幾つかの絵画、小説や映画たちもあれこれと浮かぶ。そんな訳でどうしたものか...と想うのだけれど、19世紀フランスのロマン派画家テオドール・シャセリオー(Theodore Chasseriau)の描いたサッフォーの絵をなんとなく暫く眺めていた。
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サッフォー(サッポー)は紀元前612年頃にギリシャのレスボス島に生まれたとされる女性詩人。たいそう裕福な生まれのお方でご主人もおられた。しかし、シチリアへ移りそこで未婚の若い女学生ばかりを集め学校を開き、詩や音楽や舞踏などを教えていたとされている。また、女性結社の指導者ということ、その少女たちとの恋愛のお話も伝えられるけれど明らかではない。サッフォーの残されたものは断片的な詩作にも拘わらず、後世の芸術家たちに大きな影響を与え続けてきたのだから優れた才能の持ち主だったのだろうと想う。”そうだったのだろうなあ~”というような想いを巡らせるのは愉しい。女性同性愛者のレズビアン(レスビアン)という言葉もこのサフィズムとも呼ばれるように、サッフォーとレスボス島、女性教育...という伝説からの由来のようだ。また、ここであれこれと浮かぶものがあるのだけれどまた後で続けようと想う。

サッフォーの伝説の中でも、とてもドラマティックなものに美青年ファオーン(パーオーン)に激しい恋心を抱いていたというものがある。でも、その青年の心を得ることはできなかった。その悲しみからサッフォーはレウカス(レウカディア)の岬から身を投げたという。サッフォーは、その「恋人の身投げ巌」から飛び込んだ者が、もし体を損なうことなく水をうてば、その激しい恋も胸から消えるという迷信を信じてのことだったそうだ。”ギリシャの秋のある静かな夕暮れのことであった”とは、バイロンの「ハロルド卿の巡遊」より。遥か太古の女性詩人のお話が語り継がれてゆき、好きなものたちが繋がって想いを馳せる。ああ、素敵☆
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by claranomori | 2008-03-28 08:50 | 19世紀★憂愁のロマンと美
鎮静剤

退屈な女より もつと哀れなのは かなしい女です。
かなしい女より もつと哀れなのは 不幸な女です。
不幸な女より もつと哀れなのは 病気の女です。
病気の女より もつと哀れなのは 捨てられた女です。
捨てられた女より もつと哀れなのは よるべない女です。
よるべない女より もつと哀れなのは 追われた女です。
追われた女より もつと哀れなのは 死んだ女です。
死んだ女より もつと哀れなのは 忘れられた女です。

堀口大學 訳

この詩はマリー・ローランサンの残した詩集の中で、最も有名なものではないでしょうか。私はこの詩を先に知り、ずっと後になりこの詩に曲をつけて歌われた高田渡さんの歌が存在することを知りました。また、その歌はいつまでも素敵な夏木マリさんもアルバムの中で歌われていました♪

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★一気に想いを綴ることはできない。なぜなら、私はいつも下書きもせずその時の気分で綴ってしまうので滅茶苦茶になってしまうので。今の複雑な気持ちは上手く言葉にならずもどかしいけれど、好きな絵や詩が多数存在する画家のおひとり。今まで挙げたお方はすべてそうだけれど。また、少しずつその背景や関連する事柄が連なりあっているので追々にと想う♪
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by claranomori | 2008-03-25 05:17 | 詩人・作家・画家・芸術家
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              ♥お城の暮らし (1925年)♪
マリー・ローランサン(1883~1956) が好き。何年かに一度か展覧会が日本にもやってくる。誰にも似ていないローランサンの絵の中には詩が溢れている。淡いパステル調の色彩、表情のぼんやりする少女や女性たちを数多く描き残されている。真珠や薔薇、動物たちも共に描かれたものも多い。繊細さと甘い幻想。マリー・ローランサンというお方の永遠の乙女なる夢がそれらに託されているかのよう。父親を知らない少女時代。ギョーム・アポリネールとの恋は有名。破綻後、意気消沈していたという(互いに)。時はベル・エポックな時代から戦争へという時代を生きたお方。アポリネールとの別離からドイツ人のオットー・フォン・ヴェッツェン男爵と結婚するけれど第一次世界大戦勃発。スペインに亡命する。しかし、1921年に離婚に至り、その後再婚することはなく女性たちとの愛に戻り、生涯を共にしたのは家政婦のシュザンヌ・モロー。1956年6月8日、パリのアパルトマンにて死去。遺志により、白い衣装に赤い薔薇を手にし、ギョーム・アポリネールの手紙を胸に置いたお姿で、ペール・ラシェーズ墓地に永眠された☆
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               ♥天使たち (1927年)♪
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by claranomori | 2008-03-25 04:34 | 絵画の中の少女・女性たち
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クロード・ミレール監督の『なまいきシャルロット』『小さな泥棒』に続くシャルロット・ゲンズブール主演での3部作として当初構想されていたという『伴奏者』(1992年・フランス映画)。シャルロットはこの少女ソフィ役にはもう少し成長していたので、リシャール・ボーランジェの出演が決まった折にご自分の愛娘さまであるロマーヌ・ボーランジェを監督に薦め実現したそうだ。この大人への階段を上り始める少女期の心のゆらぎ、ひだを憂いを湛えたロマーヌ・ボーランジェはソフィ役に最適だったと想う。ロマーヌとリシャールの親子共演はその前にディディエ・グルッセ監督の 『神風』(面白い!)で先に実現していた。劇中でも親子役だった。一等大好きなシーンは、お部屋に大きな『なまいきシャルロット』の映画ポスターが貼られているのだけれど、そのポスターをまだ13歳頃のロマーヌが見つめ、シャルロットのポーズをキュン♪と真似てみるシーン!!もうこの場面だけでいい!と想える程に私の心は躍るようだった。それから成長し、この『伴奏者』の撮影当時19歳位になっていたロマーヌ(『野性の夜に』も同時期)は、さらに魅力的になったと想えた。今も素敵♪
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舞台は1942年の冬、ドイツ占領下のパリ。ソプラノ歌手のイレーヌ・ブリス(エレナ・ソフォーノワ)のコンサートに訪れる。質素な佇まいの少女ソフィ・ヴァセール(ロマーヌ・ボーランジェ)はその美しさに心は奪われてしまったのだった!伴奏者に雇ってもらおうとイレーヌの楽屋でも、その美の前での緊張と空腹から気絶してしまう。優しいイレーヌはソフィを豪華なレストランへ連れ出す。そこでも綺麗なドレスに身を纏い振舞うイレーヌの姿、その光景に心がついてはゆかず。ソフィは子供たちにピアノを教える母と二人暮らしの慎ましやかな生活を送っている少女。まるで別世界の光景だったのだ。ソフィの弾く繊細なピアノの音色と視線に心打たれたイレーヌはソフィを伴奏者として専属に決めた。そして、母の反対を押し切ってイレーヌとの同居生活が始まる。イレーヌには夫シャルル(リシャール・ボーランジェ)がいる。初めての伴奏者としての舞台も大成功!しかし、観客の賞賛と喝采はすべてイレーヌのもの。名前すら覚えてもらえぬ伴奏者としての虚しさをも体験する。こうした、イレーヌに対する憧憬と嫉妬の気持ち。ロマーヌの持つ魅力が輝く瞬間だと想う。おとなしいけれど心の奥底に強いものを持つソフィ。ますます評判の高まるイレーヌに次第に憎しみすら覚えるようになる。そして、彼女たちは戦争の影響からロンドンへ移ることになる。さらに、イレーヌの浮気やシャルルの自殺などの悲劇が待っていた...。
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彼女は私に目もくれずに歌う。
栄光も幸運も彼女だけのもの・・・・・・。
私は伴奏者。
今夜は彼女の夜。私のものではない。


ソフィは質素ながらも音楽への情熱が溢れんばかりにいる。伴奏者は主役の陰であることを知っている(20歳の若さで既に体験してしまう)。その音楽や敬愛する者への献身的な心は純粋で激しいものだと想う。イレーヌの美声のみならず、彼女に憧れてもいたのだけれど。

人生は私のわきを通り過ぎて行く。
私はドラマの主人公にはなれない。


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原作はニーナ・ベルベーロワで、舞台はロシア。映画化に当り脚本をミレール監督はパリへと移し主役のソフィの年齢も下げて描かれたもの。ボーランジェ親子は勿論ながら、イレーヌ役のエレナ・ソフォーノワ(エレナ・サフォノヴァ)がまた素晴らしい!このロシアの女優さまを知ったのはニキータ・ミハルコフ監督(名作多数!)の『黒い瞳』。マルチェロ・マストロヤンニやシルヴァーナ・マンガーノがお目当てで観ることになり、今もとても大好きな作品のひとつ☆
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by claranomori | 2008-03-23 10:39 | 銀幕の少女たち・少女映画
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イングマール・ベルイマン監督の1982年作品である『ファニーとアレクサンデル』に出演していた可愛い少年バッティル・ギューヴェ!その妹役のファニーを演じていた少女ペルニッラ・アルヴィーン(Pernilla Allwin)も可愛い♪兄妹役ながら撮影当時11.12歳頃の同い歳のふたり。長い大作映画はヴィスコンティで慣れてはいるものの、これは凄い!でも、5時間強という長さなのだけれど最後まで魅入ってしまったのだから相性の良さを感じる。ベルイマン映画はどれも好きだと想っているけれど深いテーマや宗教的な色合いが濃いので幾度か観ては新たな発見や想いが巡るという繰り返しが続いている。劇場版の3時間強というものもあるそうだ。
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このアレクサンデル少年はベルイマンの少年時代ともいえるようで、父はプロテスタントの上級聖職者であったというので、この映画の中で主教を見つめるアレクサンデルと重なり合うようだ。また、ベルイマンは子供時代から人形劇がお好きで舞台装置なども作って遊んでおられたという...やはり並みの子供とは想えない。そんな場面も印象的に描かれている。私はセーラー服姿の少年少女たちが好き♪殊に少年のセーラー姿には異常に反応してしまう。そして、このバッティル・ギューヴェ君の顔立ちや瞳の愛らしさと共に、何ともいえぬ足の線の美しさが決定打!この映画でしか知らない少年だけれど大好きなのだ。
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大人たちもベルイマン作品の常連の俳優方を始め素晴らしいし、映像の美しさは全編を貫き澄み渡っていた。撮影はこれまた大好きなスヴェン・ニクヴィスト!!この幼いファニーとアレクサンデルが絶対服従の拷問を受けたりする。彼らを救うかの存在である骨董品店を営むユダヤ人のイサク・ヤコビという人物の存在。ユダヤ人の狂人イスマエルとアレクサンデルの幻視。キリスト教徒と異教徒のこと、美しい自然の景色、まるで不思議な夢の世界のよう。家族や人間ドラマを描いているのだけれど、愛や苦悩と共にどこかおとぎ話のようにも感じる。静寂で透明で美しい!さらに大好きな『叫びとささやき』は赤の色彩が印象的だけれど、この 『ファニーとアレクサンデル』は雪や森の風景、衣装や髪の色(美術)など...白と黒という色彩(特に白かな?)が私には強く残っているベルイマンのカラー作品☆

ファニーとアレクサンデル/Fanny och Alexander
b0106921_23273737.jpg1982年・スウェーデン映画
監督・脚本:イングマール・ベルイマン 撮影:スヴェン・ニクヴィスト  音楽:ダニエル・ベル 出演:バッティル・ギューヴェ、ペルニッラ・アルヴィーン、グン・ヴォールグレーン、エヴァ・フレーリング、アラン・エドワール、ハリエット・アンデション、レナ・オリン、クリスティナ・ショリン、アンナ・ベルイマン
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by claranomori | 2008-03-19 23:37 | 銀幕の美少年・少年映画
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このディエゴ・ベラスケスの1656年の『ラス・メニーナス(侍女たち)』の絵を見たのは子供の頃で、多分百科事典についていた「世界の名画」か何かだったのだと想う。なにか奇妙な印象を受けたものだ。このスペインのフェリーペ国王時代の宮廷画家の残した名画は未だに解き明かされていない謎があるのだという。それは、スペインの児童文学作家のエリアセル・カンシーノの『ベラスケスの十字の謎』の中で書かれていて知ったこと。気になる人物がこの絵には多い。先ずはマルガリータ王女(マルガリータ・テレサ)。ベラスケスはいくつかこの幼い王女の肖像画を残している。この頃はまだ6~7歳頃のもの。王女の周りの侍女たちの中でも右から二人目の強面の女性は強烈な印象を残す。マリバルボラ(バルバラ・アスキン)という女性でドイツからスペイン宮廷に連れてこられ、王妃から格別に目をかけられ、自身の召使を持つことを許される程の好待遇を受けていたという。また、最も右に描かれている愛らしい小さな少年はニコラス・ペルトゥサトで、マリバルボラにもたいそう可愛がられていた。イタリアのミラノ生まれながら、背が伸びない体ゆえに1650年にスペイン宮廷に連れてこられた。彼は未来を透視する能力があり、1675年に執事となり、敬称ドンをつけドン・ニコラスと呼ばれるようになったそうだ。この絵の中の皆を看取り亡くなったという。この時代、背が伸びないという(小人)ことから、こうして幼い頃に両親から捨てられ異国へ連れてゆかれていた人たちが多くいたのだ。ベラスケスは他にも小人の肖像も描いている。なんとも不遇なお話だと想うけれどこうした待遇を受けることのできた人たちもいて良かった。彼らの能力を理解する国王や王妃、王女たちの心によって違うだろうけれど。
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この絵もベラスケスによる1953年のマルガリータ王女の肖像画(2歳頃)。この王女は僅か21歳の若さでお亡くなりになっている。幼少時から婚約していた11歳年上のハプスブルク家のレオポルト一世と結婚(1666年)。しかし、血族結婚が繰り返されていたゆえに生まれた子供たち(4人のうち3人)は生後間もなく死に至っている。そしてご自身の生涯(1651年8月12日~1673年3月12日)も21年という短いものだった。僅か14歳で嫁ぐというようなこの時代の王女たちや、国を超えて血族関係の結婚も繰り返されたことなど、哀しい宿命の王女たちを想う...。

★この絵にはベラスケス自身もおられる。胸に騎士団の十字の紋章をつけた画家として。しかし、この「永遠の時」を封じ込めたという絵を完成させたのは1656年。ベラスケスがサンティアゴ騎士団になる夢を果たしたのはその三年後のことだそうだ。よって、この絵の胸の十字は誰かが書き加えたものなのではと謎とされているそうだ。ベラスケスは常々「絵画は光への歩みである」と語っていたという。ああ不思議☆
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by claranomori | 2008-03-18 23:38 | 私の好きな王宮物語と運命
ジェーン・カンピオン監督というと、『ピアノ・レッスン』で一躍有名になられたオーストラリアの女性監督。マイケル・ナイマンの音楽も。そして、嘗ての作品も観る機会に恵まれたのだけれど、この『彼女の時間割』は1984年の短編映画(27分)でモノクロ映像。特に初期の作品は少女が主役のものが多い。今でも描かれるのは女性たち。とりわけ、初期の少女たちは美少女でもなく妙に太っていたり、赤毛や眼鏡の少女たち...と監督の意図的な選択が感じられる。この『彼女の時間割』での14.15歳のスクールガールたち(中にはタシュカ・バーゲンもいた)の、少女の刻の通過儀礼が描かれている。舞台設定は60年代でビートルズに夢中のパムとステラ。パムのお家に招待されたステラとその家族。パムの両親は一緒に暮らしているけれど、もう2年も会話がない。パムの姉はなんだか凶暴だ。そんな中でのお食事の場面はヒンヤリしている。ステラはどんな風にキスをするのかしら~と夢心地。パムと抱き合いキスをする。また、グロリアは兄と一緒に遊んでいる中で一線を越えてしまう...あまりにも性的なことに無知ゆえのゲームのようだけれど、兄の子供を身ごもり学校からそのような少女たちが集まる施設学校へ移される。兄はようやくこういうことがいけないことだと知った。でも、グロリアはどうもまだハッキリしないようで彼女の心の空虚さをも感じた。カメラワークの美しさと最後の歌が印象的で好き。その音楽を担当しているのはアレックス・プロヤス!80年代的なNew Waveサウンドと歌うパムの言葉、電気ストーブたちと膝を抱えた少女たち。この感覚はとても私にも伝わるものだった。大人になる前の少女の時間...。

寒いわ 寒いわ 寒いわ
ここはとても寒いわ
寒いわ 寒いわ 寒いわ
溶けてしまいたい
逃げられないの
この寒さから
この氷の湖は寒いわ
果てしがない
寒いわ 寒いわ 寒いわ
ここはとても寒いわ
溶けてしまいたい


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     ♥ステラ~パム~グロリア☆ラケットをギター代わりに歌う♪

この映画が好きというよりもこういう描き方をするのがカンピオン流の少女たちだと想っているので興味を抱く。でも、同時に少し不気味でもある。作品を追ってずっと観ているのだけれど、メグ・ライアンを主役にした『イン・ザ・カット』の中でも目を逸らしたくなる場面もあるけれど、やはりカンピオンが描く女性像であり斬新で心に残るものではある。好き嫌いの分かれる作品が多いのではないだろうか。『エンジェル・アット・マイ・テーブル』の感想は以前に綴ったので、また今度は『ルイーズとケリー』や『スウィーティー』のこと、ホリー・ハンターとアンナ・パキンが素晴らしい!!『ピアノ・レッスン』やニコール・キッドマン主演の『ある貴婦人の肖像』のこともと想う♪
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「美人を主人公にすると外見ばかりに関心が向いて、その人物の内面を見ようとしなくなる。それと、もしかしたら私は、美人ばかりを主人公にしたがる映画の伝統に逆らいたいのかもしれない」

このようにカンピオン監督は語っていた。そして、私はどんな少女でも少年でも外見も境遇も様々だけれど、すべての彼らの通過儀礼の刻、その限られた時間の少年少女たちがたまらなく好きなのだと想う。その決して戻ることのできない過ぎ行く儚い時間(時に死と共に)を忘れることができない。

※上の3人の歌う場面は冒頭でのもの。アレックス・プロヤスの音楽(詩)の場面の映像は特に秀逸で好きなのですがそのシーンはビデオのジャケットにもなく掲載できずに残念です。
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by claranomori | 2008-03-17 23:22 | 銀幕の少女たち・少女映画