あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『格子なき牢獄』 少女ネリー(コリンヌ・リュシェール)と気高きイヴォンヌ先生(アニー・デュコー)♪

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ずっと以前にテレビで観た1938年のフランス映画『格子なき牢獄』の少女ネリーを演じたコリンヌ・リュシエールの表情が焼きついていた。私も歳を重ねたお陰で今回の2度目の鑑賞で、さらにこの映画が深く沁み入ったように想う。少女ネリーを演じるのは、当時新人だったコリンヌ・リュシェールで役柄と同じ17歳の頃のもの。舞台となるのは少女感化院(私立更生院から更生教育院へと変わる)で過ごす少女たちと先生たち。男性は保険医マルシャル(ロジェ・デュシェーヌ)のみで他は全て女性たち。少し以前綴った『制服の処女』が過ぎるようでもあるけれど趣は異なる。ここに連れて来られる少女たちは盗みをはたらいた罪、家庭環境の問題から親に放り出された少女...と問題を抱えた若き少女たち。院長のアペル先生は彼女たちを腐った人間と規則と厳しい体罰により性根を鍛えなおすというような方針で長年営んでいた。不服を言う者は監禁室に閉じ込められる。しかし、新しい院長が任命され公立となる日がやって来た。新しい院長は若く美しいイヴォンヌ先生(アニー・デュコー)。イヴォンヌ先生はこれまでの教育方針を一変する。心に残る言葉が幾つかある中、”少女時代の思い出は一生つきまといます”と彼女たちに手を上げることを禁止する。”罰するのではなく更生させるのです”と、それまで歌うことすら禁じられていた少女たちが歌を歌いながら作業をする場面も美しい。脱走していた少女ネリー(コリンヌ・リュシェール)が連れ戻された。イヴォンヌ先生はネリーの瞳を信じ、あるお使いを頼む。それはネリーが外出して町へ出ることなのでアペル先生は猛反対。帰ってくるはずはないと想っている。でも、信用されて用事を頼まれ陽光を浴び外を駆ける姿のネリーは愛らしい少女でその笑顔は爽やかなもの。遅くなったけれどちゃんと戻り頼まれたものを持って帰って来たのだ。ネリーは信用されてとても喜ぶ。次第にネリーは更生してゆく。そして、イヴォンヌ先生を信頼し慕っている。しかし、その先生の婚約者だとはまったく知らずに保険医マルシャルを愛するようになるのだった。
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監禁室の鉄格子は外され、お食事もシャワーも改善されてゆく。少女たちはそれぞれ幾年かをここで過ごせば社会へ出てゆくのだ。その教育にイヴォンヌ先生は夜もろくに睡眠を取らずに励む。婚約者のマルシャルとの関係は次第にうまくゆかなくなる。聖女(聖職者)か妻になるかとの選択。イヴォンヌ先生はマルシャルを愛しているけれど、この感化院に永住することを決意する。”格子なき牢獄”とは少女たちだけではなく、実は永住する先生達のことでもある、そのことの方がずっと今の私は胸に突き刺さるものだった。婚約者を諦め、更生したネリーが巣立つ日。ネリーが出てゆくと門がまた閉まる...FIN。イヴォンヌ先生のお心の高潔さ、気高き聖職者としての信念に胸を打たれる。また、少女ネリーが”先生の婚約者だと知っていたら彼を愛しませんでした...”と先生への忠誠を告げる場面も感動的!彼女のその言葉は嘘ではないから。悪知恵の働く少女ルネの存在も物語に欠かせない。この古いモノクロームのフランス映画を観ながら浮かぶ緑の自然、まるで囚人のような黒い服装の少女たちと院内...モノクロ映画でも色が浮かび、黒の陰影から伝わるもの、音楽から伝わるものを一心に浴びるようであった。優れた作品は色褪せぬ。でも、一躍スターになったというコリンヌ・リュシェールはその後、第二次世界大戦のドイツ占領下のフランス時にドイツ軍の愛人となり、投獄され病死したという。まだ29歳の若さで。戦争による悲劇が女優の人生、ひとりの人間の生を絶ったのだと想うと感慨深く、またこのテーマにぶつかる私をなんだろうとも想う。

格子なき牢獄/PRISONS SANS BARREAUX
        1938年・フランス映画
監督:レオニード・モギー 監督:レオニード・モギー、ハンス・ウイルヘルム 撮影:クリスチャン・マトラ、クロード・ルノワール 音楽:ウィル・グロス 出演:アニー・デュコー、コリンヌ・リュシエール、ロジェ・デュシェーヌ
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by claranomori | 2008-11-02 09:08 | 銀幕の少女たち・少女映画