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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『そばかすの少年』 少年そばかすと少女エンゼル♪ 原作:ジーン・ポーター 漫画:竹宮恵子

ジーン・ストラトン・ポーター(1868年~1924年)の『そばかす(そばかすの少年)』の初版は、1904年10月20日にアメリカのダブルデー・ページ社から刊行された。もう100年以上経っているのだ。私はこのジーン・ポーターの原作も、竹宮恵子さまの少女漫画も大好き!主人公の孤児で片腕のない痩せ細った少年は自分の名すら持っていない。20年近く孤児院で育ち、劣等感と孤独と飢えの中生きてきた。ところが、教育も受けていないのに天性の音楽の才能があり美しい歌声を持つ少年。そして、天からの授かりもののような誠実さと勇気を持ち合わせている。孤児院を抜け出し、リンバロストの森の番人となり、その森や沼の生き物たちとお友達になる。親切な大人たちとの出会い、材木を盗もうとする悪人たち、そして、天使のような16歳の美少女エンゼルとの出会いから結婚までを、ジーン・ポーターはご自身の体験を基に描かれたという。とりわけダンカン夫人は実在の親切なご夫人の特徴まで同じで、少女エンゼルはご自分の娘さまを理想化したものとして登場させているのだそうだ。

そばかす少年の腕のない方を少女エンゼルは気味悪がることもなく引き、いつも紳士で真面目で責任感の強いそばかす少年の心の美しさに惹かれている。エンゼルは町の社長の娘さま、身分の違い、生まれの違いをそばかす少年は心に隠し、彼女との清い心の通いに人生の素晴らしさを初めて知る。孤児院にいた大人たちとは違う優しい大人たちがいるのだと知る。そして、初めての労働の喜びを知る。一人だと怖い森の中で自分の書斎を作り出す。名も知らない鳥や蝶や草花たちと親しむ喜びを知る。そんな心美しき少年の成長をリンバロストの森を舞台に描く永遠の物語。エンゼルの凛たる態度が私はとても好き。可愛い天使のような外見だけでは、そばかすは命を投げ出してまでもの愛を抱きはしなかっただろう。『リンバロストの乙女』の中でも、彼らは登場する。やはり誠実で優しいままで☆ジーン・ポーター夫人が当初つけていた題は『舞い落ちた羽根』で『そばかす』に変更されたことを残念に想っておられたそうだ。私も『舞い落ちた羽根』の方がよりロマンティックで好きだなあ...と想う。
『そばかすの少年』 少年そばかすと少女エンゼル♪ 原作:ジーン・ポーター 漫画:竹宮恵子 _b0106921_19452953.jpg
『そばかすの少年』 少年そばかすと少女エンゼル♪ 原作:ジーン・ポーター 漫画:竹宮恵子 _b0106921_19454358.jpg

by claranomori | 2008-09-09 21:02 | 本の中の少女たち・少年たち