私はロリータ・ヴォイスが好きでもあるけれど、心に響き長年ずっと好きであり続けている声は多いようでそうでもない。甘く囁く可憐な歌声の裏側の女王さまのようなリディア・ランチは今も好き。最初に知ったのはブライアン・イーノがプロデュースした『NO NEW YORK』というコンピレーション・アルバム。リディア・ランチは1959年6月2日のニューヨーク生まれ。この『NO NEW YORK』の中では、TEENAGE JESUS AND THE JERKSというバンドで収録されていた。活動は1976年から1979年頃まで。なので、この当時は10代だったのだ。ここにも”恐るべき子供たち”が存在していた。小柄ながら貫禄があり、この頃から今もアイラインで黒く縁取られている眼光はよく見ると悲しい目をしているように感じる時もある。”ゴスロリ”なる言葉の存在する前に、彼女のスタイルはそんな感じ。しかし、リディア・ランチはパンクやロックというジャンルから自由に飛び交う。ジャズやクラシック、あるいはポエトリー・リーディングからノイズまで。でも、あのどんよりと黒く甘いロリータ声は変わらない。不思議な魅力!私は暗黒ロリータ・ヴォイスの元祖だと勝手に決めている。
その後の活動は色々なプロジェクト、ソロ、コラボレーション、朗読、写真展...と幅広い。リディア・ランチから想起される交流の深いアーティストは、ジェームス・チャンス、ジム・フィータス、マーク・アーモンド、ロバート・クィン、エクシーヌ・サーヴェンカ、ニック・ケイヴ、ローランド・S・ハワード、サーストン・ムーア、キム・ゴードン...と私の好きなアーティストばかり。リディア・ランチのアルバムの全てが好きでもないけれど、私は彼女の声が大好き!あのお声は作った猫なで声ではない。時に叫び、時に嘆き、時に悲しくやさしい。以前、何かの雑誌のインタビューで読んだこと。かなり衝撃的だった。彼女はご自分のことが好きではないと。また、父親に性的虐待を受けて育った少女だと。正確に言葉は覚えていないけれど...。リディア・ランチのヴォイスやパフォーマンスの静と動は独自の表現方法である。どんな音の中でも彼女の声に耳を傾けるのが好き☆下の画像は1989年のHARRY CREWS。キム・ゴードンのベース、サンディ・メイのドラム、そして、リディア・ランチのギター!ライヴ録音のようなトラッシュ感。あまり聴いていないけれど、ジャケットの色合いとキム・ゴードンが可愛い♪