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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『不良少女モニカ』 17歳の少女モニカ(ハリエット・アンデション:HARRIET ANDERSSON)♪

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イングマール・ベルイマン監督の1952年映画『不良少女モニカ』はいったい何だろう!!と私は衝撃を受けたもの。原題の『モニカとの夏』の方がノスタルジックでメランコリックだろうか。強烈なインパクトをモノクロームの映像と共に感じる。この作品で映画デビューしたハリエット・アンデション(ハリエット・アンデルセン)は撮影当時19~20歳頃。この17歳の少女モニカは自由奔放でわがまま、でも、今という刻の空気を全身で感じている、社会に反抗する象徴のようでもある。新しい女性、これからの女性!という感じでこの躍動感のようなものは途轍もなくダイナミック!そして、生き生きとした若さに溢れた圧倒的な存在感なのだ!
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1955年にナボコフの『ロリータ』が、そして1956年にはブリジット・バルドーの『素直な悪女』が登場するけれど、それ以前の1952年のスウェーデンからこの17歳の少女モニカは登場していたのだ。両親は仲が良いけれど父親はいつも酔払っている。兄弟たちも多い家族でモニカは今にも家から飛び出したい様子。ある日、陶磁器の配達をしている19歳の青年ハリーと出会い恋をする。ハリーは母を亡くし病気の父との暮らし。ハリーはボートを借り、モニカの夢でもある旅に出ることにする。短い北欧の夏のひととき。二人は若い。モニカははすっぱな魅力に溢れた少女(不良という言葉も出てくる)、ハリーは真面目で今後のことを考えエンジニアになる勉学をする。そんな若い二人に子供が生まれる。お腹の中にいる頃は無邪気な様子で幸せそうだったモニカながら、いざ誕生すると家で毎日赤ん坊を抱いての生活などまっぴら!となってしまう。ハリーは三人で少しでも豊かにとお仕事と勉学に励んでいる。二人の心の距離は離れる一方。そんな折、モニカが他の男性と浮気をしているところをハリーは目撃してしまう。もう修復不能となり、さっさとモニカは出て行き、ハリーは残された赤ん坊を抱いて、あの幸せなモニカとの夏を回想する...。
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モニカに感情移入は全くできない私。でも、この存在感はなんだろう!!とずっと想っている。終盤、他の男性とデート中にジュークボックスから音楽が流れ、モニカの顔のアップが続く。最初は目が合うような感じでドキリ!と息を呑む程凄い...何?モニカが問いかけてくるかのようでもある。そして、モニカは”私はモニカ。これが私。”という毅然たる表明のようにも想える。また、ラストでハリーの顔のアップが鏡に映る...目の下にヤツレタ疲れが顕著で切ない。それでも回想する、あの夏の日を。ハリエット・アンデションの見事な演技力と存在感に圧倒される。ベルイマン一家のお一人として、また数々の難役を演じ続けている素晴らしい女優様として健在なり☆

不良少女モニカ/SOMMAREN MED MONIKA
       1952年・スウェーデン映画
監督・脚本:イングマール・ベルイマン 原作:ペール=アンデシュ・フーゲルストルム 撮影:グンナール・フィッシェル 音楽:エリック・ノードグレーン 出演:ハリエット・アンデルセン(ハリエット・アンデション)、ラーシュ・エクボルイ、オーケ・グリュンベルイ、ベント・エクルンド
by claranomori | 2008-06-28 09:40 | 銀幕の少女たち・少女映画