少女アリエッティ (メアリー・ノートンの『床下の小人たち』より)
2008年 03月 15日
ポッド、ホミリーの両親と少女アリエッティの一家。少女アリエッティは、父親のポッドの語ることに苛立ちを覚えながらも外の世界に興味を抱きながら成長していた。人間に見られた場合の危険を警告されたりもするけれど、お屋敷に泊まりにきた少年とお友達になりたくて、その友情が無害だと信じるアリエッティ。しかし、そのせいで人間たちに発見され、今までの生活は崩壊し命からがら逃げ出し、野原での新たな生活を始めなければならなくなる。ポッドの言葉とアリエッティの気持ちの間で色々なことを考えさせられる。
人間たちは、小人たちが死にそうになっても、見てるだけ。物見高そうに、押し合いへし合いして、見てるだけだ。わしが、死にかけているホミリーのひたいをさすっていようが、ホミリーが、死にかけているわしのひたいをさすっていようがな。
「みんなが互いのために、互いがみんなのために助けあう習わしをもつ借り暮らし」には信じられないことだが、人間は「互いに襲いあう・・・・・。ひとりずつのこともあれば、ときには、集団同士で襲うこともあるそうだ」
このように語る(4作目より)ポッドの人間不信は深まり共存してゆくことが難しくなってしまったことを示唆してる。人間の少年と仲良くしたいと想う少女の気持ちも、この父親の気持ちも、作者のメアリー・ノートンの想いなのだろう。小人は人間ではなく妖精でもあり、住み難いでしょうがどこかでひっそり暮らしているのだろう。時々、物が無くなったりすると、私は”妖精の仕業”と想うことにしている♪
★このお話は児童文学の名作の一つでもあり、英国文学とも言える。純文学から少女小説や少女漫画、絵本...この辺りの括りは難しく重なり合っていたり、繋がりあっていたりする。時々、カテゴリーの分類におかしいと想われるかもしれませんが、好きなだけの素人の私見によるものだと大目にみて下さると幸いです。下の絵はエドワード・ロバート・ヒューズのもので、このお話から浮かびました。こんな風だと素敵だなあ~と想うのです。