あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『ぜんぶ、フィデルのせい』の少女アンナ(ニナ・ケルヴェル:NINA KERVEL)♪

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『ぜんぶ、フィデルのせい』(2006年・イタリア/フランス合作映画)での、9歳の少女アンナ役のニナ・ケルヴェル(Nina Kervel)の仏頂面や目つき、動きがなんとも印象的だった。そして笑うとこちらまでほっとする。他の映画を観に行く予定の日にもう時間がないのでと想い勝手に二本立てコースで観てきたもの。この少女アンナは監督であるジュリー・ガヴラスの体験も脚本に関係しているのだろうなあ...と想いながら観ていた。ジュリー・ガヴラス監督の長編デビュー作だという。また、私はそのお父様であるコスタ=ガヴラス監督作品にとても感動したことも綴ってしまう。イヴ・モンタン主演の『戒厳令』をテレビで観た時のあのよく分からないけれど深刻で考えなくてはならないことがこの世の中にはあるのだというようなずっしりとした想いが甦る。観終えたあとも、しばらく膝を抱えて考えていたように想う。また、イヴ・モンタンが渋いので作品を追っていると、ガブラス監督とは『Z』や『告白』と組んでいると知る。また、ジャック・レモンとシシー・スペイセクの『ミッシング』、ジェシカ・ラングの『ミュージックボックス』...と社会派を貫き通している監督なのだ。そんな父や作品を観て育ったジュリー・ガブラスの作品なのだなぁ!と想え、少女アンナと弟のフランソワ(とっても!可愛い~♪)と両親や1970年の社会を感じていた。
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貴族出身の弁護士の父、編集者の母と弟と4人、何不自由なく裕福に暮らしていたアンナ。綺麗なワンピースやコートを着て、名門のカトリック女学校に通う。しかし、伯父(反政府運動をしていた)が亡くなり叔母と従姉妹ピラル(この少女も可愛い♪)がやって来る。次第に両親は共産主義に目覚め出し、狭いアパートへ引越し、アンナは学校の大好きな宗教の時間に参加できなくなり、家にはなにやらひげ面のおじさんや青年、女性たちが出入りするようになる。母は女性解放運動を始め女性達に別室でインタビューをし録音している。アンナは”キョーサンシュギ”とか”ダンケツ”とか”チューゼツ”とか...訳の分からない言葉を耳にするたびに困惑する。ミッキーマウスも取り上げられ、ギリシャ人のお手伝いさんが作るご飯も今までとは違うし、段々と服装もヒッピー・スタイル風へと変ってゆく。それでも、彼女なりに”何?””何故?”と思考するのだけれど、”団結すること”と”人と同じことをすること”の違いは分からないのだ...そんな苛立ちの中、不機嫌な仏頂面の姉と違い、ほんわかとその空気に馴染んでいくかのような弟フランソワの存在。子供のことや主義のことで両親が喧嘩したりもする。”ぜんぶ、フィデルのせい!”というのは、革命家フィデル・カストロのことから題されているのだ。ソミティッラ・カラマイの原作を読んでいないのだけれど、原作に無いチリのアジェンデ政権誕生とクーデターによる崩壊のエピソード、またローマでの4年間をパリでの3年間に変え、9歳の少女の視点から大人たちの世界を見るといった脚本になったそうだ。
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「今でも、あのクーデターのときのアジェンデの写真を見ると感動する。アンナの父の仕事がどうなのかを想像するとき、どうしてもチリの歴史を抜きにすることができなかったの。」

ジュリー・ガブラス監督はこのように語る。父コスタ=ガヴラスが映画『ミッシング』を作った時、11歳だったジュリー・ガブラスの体験が影響しているのは当然なのだ。アンナの母親マリーにはジュリー・ドパルデュー(ジェラール・ドパルデューの娘さま)、父フェルナンドにはステファノ・アコルシ、可愛い弟フランソワはニナ・ケルヴェル同様に映画初出演のバンジャマン・フイエ、従姉妹の少女ピラルはラファエル・モリニエール...と素敵な登場人物たち。”人と人が手をつなぐ”と輪が出来るのだ。終盤、弟の手を引き必死に早歩きして進んでゆくアンナの姿。学校を変りたいと思うようになり、知らない子供たちばかりがそれぞれ楽しそうにはしゃいでいる姿が映し出される。転校生のアンナはキョロキョロしてひとりで立っていると、横の6人の少女たちがその輪に入れてくれ7人の少女たちはグルグルと手を取りながら笑顔で輪を結んで楽しそう...またしてもジ~ンとしてしまい席を立つのは最後になってしまった。ただの少女映画ではない!とっても感動した☆
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ぜんぶ、フィデルのせい/LA FAUTE A FIDEL!         
     2006年・イタリア・フランス合作映画
監督・脚本:ジュリー・ガヴラス 原作:ソミティッラ・カラマイ 撮影:ナタリー・デュラン 音楽:アルマンド・アマール 出演:ニナ・ケルヴェル、ジュリー・ドパルデュー、ステファノ・アコルシ、バンジャマン・フイエ、ラファエル・モリニエール
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by claranomori | 2008-03-02 00:54 | 銀幕の少女たち・少女映画