ロマンティシズム溢れる大好きな映画!不治の病(白血病)に冒された少女ステラ(パメラ・ヴィロレッジ)の余命は僅か2ヶ月か3ヵ月。診察を待つ中に、ピアニストの中年男性リチャード(リチャード・ジョンソン)もいた。そんな出会いからお話は始まる。嘗ての栄光から遠のいた苦悩のリチャードは可哀相なこの少女の病気を知っても、自分のことで精一杯でなにもできはしない...と。しかし、暗い表情の中に刻まれた深い皺のリチャードに笑顔で接するステラ。桜色の頬と澄んだ瞳の無邪気な表情をしたパンタロン姿のステラが忘れられない私。ステラは幼い頃に母と死別し、愛人と失踪してしまった父を探しているのだった。そんなステラの心(強く尋常ではないであろうファザー・コンプレックス)はリチャードの姿に何かを感じたのだろう。ふたりはバスでモン・サンミッシェルの美しき海岸へと向かう。人恋しいステラは余命僅か。リチャードはピアニストだけれど今は仕事がなく惨めな生活に自信喪失していた。これも運命的な出会いというもので、この天使のような少女との出会いから、再起してゆく勇気と力を得るのだった。ステラは自分にもうすぐ死が訪れることを知っている。でも、残された時間を精一杯生きる。リチャードのために命あるかぎり...。
「もしも、もしもよ、私がコンサートに行けなかったら、これを持っていてね。」とステラは小箱に入った星をリチャードに渡す。ステラとはラテン語で”星”を意味するのだという。リチャードから買ってもらった綺麗な純白のドレスを着て最前列で彼のコンサートを聴きたかったのだけれど、もう弱りきってしまったステラは舞台の袖で見つめていた...「さようならリチャード。私はあなたの中に永遠に生き続けているのよ。」とステラは逝ってしまった。人生に絶望していたリチャードに命を吹き込んだ少女。ああ、またしても号泣!ステルヴィオ・チプリアーニの音楽が美しくロマンティックで素晴らしく、さらにこの映画を彩る。18歳の命、父親と同じ位の歳のリチャードとの出会い。”死”がテーマでありながらも湿っぽく感じない。ステラの表情は愛くるしいまま残っているし、「ステラに捧げるコンチェルト」のメロディ、美しい自然の景色、生を謳う普遍的なテーマ...色々とその理由は考えられるように想う。
ラストコンサート/DEDICATO A UNA STELLA
1976年・イタリア映画
監督:ルイジ・コッツィ 撮影:ロベルト・デットーレ・ピアッツォーリ 音楽:ステルヴィオ・チプリアーニ 出演:パメラ・ヴィロレッジ、リチャード・ジョンソン、リカルド・クッチョーラ
※日本ヘラルドが製作資金協力した映画だそうなので、イタリア/日本合作映画と表記するべきなのかもしれません。