エヴァとステファンとすてきな家族 (ルーカス・ムーディソン監督)
2007年 11月 26日
エヴァとステファンとすてきな家族/TILLSAMMANS
2000年・スウェーデン/デンマーク/イタリア合作映画
監督・脚本:ルーカス・ムーディソン 撮影:ウルフ・ブラントース 出演:エンマ・サミュエルソン、サム・ケッセル、 リーサ・リンドグレン、ミカエル・ニュクビスト、アクセル・スーベルアニア・ルンドクヴィスト、イシェカ・リードベリィ
”何故、コミューンを舞台に描かれたのですか?”という問いに以下のように語っておられた。私はとても興味深くこのインタビューを拝読した。そして、ファミリー映画やコメディ風味の映画を楽しみながらも考えさせられることは多分にある。”家族”という意味合いは色々あるけれど、とても大切なことなのだと想う。ヒット作を侮ってはいけない。レアな作品だけが価値があるのではない。音楽もすべてのことに共通する個人的な想いだけれど。
僕はこの時代のムーブメントにおいて、何が「善」で何が「悪」だったかという概念を理解したかった。それから理想が現実という壁にぶつかった時にどうなるのかということにも興味があったんだ。僕にとっての「善」は、公私共における反抗精神、連帯、共有という考え方。そして「悪」とは、何でも理論化する態度と原理主義だ。フリーラブと言えば聞こえがいいが、そのせいで人が嫌な思いをしたら、それはもう「良いもの」とは言えない。人を傷つけたり、遂には”社会を変えられるかもしれない”というムーブメントの持つ可能性までメチャクチャにしてしまう独善的支配だ。例えば、原理主義者はアバという、労働者階級に絶大な人気を誇る音楽が大嫌いだ。もし彼らが心を開こうと努力していたら、もっと変革の可能性はあったと思うんだ。
この映画の中で、コミューンを形成するのは非独善的な人々であり、政治意識の強い”普通の人々”。でも実は僕が、最も親しみを感じているのはコミューンきっての原理主義者エリックなんだ。エリックは愚直で、バーダー・マインホフ(西ドイツ赤軍)に参加したがったりもする。だけど、僕には彼の心中がよくわかる。エリックが抱える多くの憤りや反逆心は僕自身がもたらしたものだから。
ルーカス・ムーディソン監督(インタビュー記事より)