『エコーとナルキッソス』 ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス:JOHN WILLIAM WATERHOUSE
2007年 11月 18日
『ナルキッソス』というカラヴァッジオの作品も好きなのだけど、この『エコーとナルキッソス』はとても思い入れの強いもの。どちらも欠かせないものだから。エコーはお喋り好きのニンフ。しかし、ユノに恨まれてしまった。ユノはユピテルの正妻で最高女神ともされている、ギリシャ神話のヘラと同一視することもできる、ややこしいけれど、ユピテルの姉というお話もある。このユノは結婚生活や出産を司る女神として信仰される一方、とても猜疑心が強く嫉妬深い性格でもあった。エコーはユノにより、話しかけられる最後の一言を繰り返す意外は口が聞けなくされてしまう。そんな彼女が美少年ナルキッソスに恋焦がれてしまうのだけれど、お可哀相に愛の言葉が出ない。彼女の心中はさぞかしもどかしくお辛かっただろう...。そんなエコーが近づくと少年は逃げてしまった。絶望したエコーの体は消え失せてしまい声(山彦)のみとなる。神は冷酷なナルキッソスに罰を与える。水に写る自らの姿に恋をするように...それは決して実らぬ報われない恋。彼の涙が水面に落ちその像をかき乱す。やつれた彼は水鏡に別れを告げる、「さようなら」...と。それを見ていたエコーの声が森に響く、「さようなら」...と。力尽きたこの美少年は死して水仙(ナルシス)のお花に姿を変えた☆悲しくも美しい...どうしてもこんな世界が大好き!