『クリスマス・キャロル』 チャールズ・ディケンズ:CHARLES DICKENS 絵:アーサー・ラッカム
2007年 05月 09日
ディケンズの小説を読む以前に映画で親しんでいた作品がほとんど。マーク・レスターがとても好きなので『オリバー!』が最初だと思う。古い方の『オリヴァー・ツイスト』はもっと後に観た、そして読んだものだ。その間辺りの時期にこれまた映画の『クリスマス・キャロル』(アルバート・フィニ版のミュージカル)を観ることが出来、次第と原作者に興味を抱くようになる。他の作品もあるけれど、今回はこの『クリスマス・キャロル』とディケンズのことを少し考えていた。
アーサー・ラッカムの『クリスマス・キャロル』(ラッカムはとてもとても大好き!なのでまた追々に度々と)が描いたり、幾種類もの映画やドラマとして今日まで各国で愛されている。ディケンズが亡くなった時、イギリスのある少年が「じゃぁ、クリスマスのおじさんも死んじゃうの?」と尋ねたという逸話がある程、クリスマスとディケンズの結びつきは大きなもの。ディケンズは貧しく苛酷な少年時代、両親の愛情の薄さも伴いとても寂しい体験をした作家。それ故に、作品の中でお話の中で現実の厳しさ(煌びやかなヴィクトリア朝時代ながら路地裏を入れば貧困のハーレムが存在した)や階級間の闘争を叫ぶのではなく、"クリスマス”を唱えたのだろう。家庭の温もり、家族の絆、貧しくても心の温もりや尊さを。それはご本人の体験からくる辛酸をなめている。また、息子に過去の辛い体験話は一度もしなかったという。こういう社会へのメッセージは今日の私達にまで伝わるものだ。なので、いつまでも愛読され続け、新しく映画化され続けるのだろう。