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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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少女ムシェット(ナディーヌ・ノルティエ:NADINE NORTIER) ロベール・ブレッソン監督

少女ムシェット(ナディーヌ・ノルティエ:NADINE NORTIER) ロベール・ブレッソン監督_b0106921_15514889.jpg★14歳の少女ムシェット(ナディーヌ・ノルティエ:Nadine Nortier)の悲惨な青春と悪意に満ちた大人や社会の中で消えてしまった少女の厳格な映画。ナディーヌ・ノルティエは1948年生まれとのことなので、撮影当時は18歳位だろうか...もう少し幼く見える。また、ナディーヌ・ノルティエはこの作品にしか出ていないようだ(この刻だけを映像に焼き付けたお方なのだと思うとそれもいい、というのか崇高な気がする)。ロベール・ブレッソン監督は孤高の映画人に思う。商業的なものから遠い場所で、冷徹なまでに描写してゆく。『田舎司祭の日記』を1950年に作っているけれど、今作も原作者ジョルジュ・ベルナノスの作品を映画化したもの。共にカンヌ国際映画祭で「国際カトリック映画事務局賞」を受賞している。前作『バルタザールどこへ行く』も関連して見ることができるようにも思う。

またしても悲惨な少女が主役の作品について綴っている。この映画が好きなので仕方が無い。台詞もあまりなく、モノクロームな映像。響くは音楽や音。ブレッソン監督はこの少女ムシェット(このお名前からして、虫けらのような扱いであることが伝わる)に全く同情の余地すら表わしてはいない(画面では)。その徹底した姿勢がヒリヒリと最後の衝撃的な死まで私を捉えて離さない。酷すぎる。救いのない14歳の少女の死は殉職者であるというのだろうか。カトリック的な教えや習慣のある方々にはもっと伝わるものがあり、または違う見方ができるのかもしれない。でも、映画の魅力は言語も国籍も風習も超え、多くはなくても胸に刺さる者は世界中にいる。この作品をブレッソンの一番好きな作品だと仰る方も多い。私は一番は『抵抗』(最初の衝撃だったからかもしれない)だけれど、観れた作品たち、どれも好きなので好きな監督のおひとりだと思う。下のバンピング・カーで遊ぶ場面が忘れられない。
少女ムシェット(ナディーヌ・ノルティエ:NADINE NORTIER) ロベール・ブレッソン監督_b0106921_15522443.jpg
       ♥移動遊園地のバンピング・カーで遊ぶムシェット♪

少女ムシェット/Mouchette
  1967年・フランス映画
監督:ロベール・ブレッソン 製作:アナトール・ドーマン 原作:ジョルジュ・ベルナノス  撮影:ギスラン・クロケ 音楽:クラウディオ・モンテヴェルディ、ジャン・ウィエネル 出演:ナディーヌ・ノルティエ、ポール・エベール、マリア・カルディナール、ジャン=クロード・ギルベール、ジャン・ヴィムネ
少女ムシェット(ナディーヌ・ノルティエ:NADINE NORTIER) ロベール・ブレッソン監督_b0106921_15523949.jpg
追記:
『少女ムシェット』 監督:ロベール・ブレッソン 1967年 原作:ジョルジュ・ベルナノス★ 再び
by claranomori | 2007-10-20 03:59 | 銀幕の少女たち・少女映画