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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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ニキ・ド・サンファル:NIKI DE SAINT PHALLE

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ニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle:1930年10月29日~2002年5月21日)は、フランスの画家、彫刻家、映像作家。本名カトリーヌ・マリ・アニエス・ファル・ド・サンファル(Catherine Marie-Agnes Fal de Saint Phalle)。両親はフランス人の父とアメリカ人の母。裕福な生まれながら父の銀行が破産し1933年に家族でアメリカへ。ニキの思春期はアメリカで育つことになる。20歳で出産(この最初のご主人とは離婚している)23歳の時に神経衰弱(鬱病とも言われている)に陥り、そこからの回復のために絵を描くことを始める。1960年代には、絵具を埋めこんだ銃で石膏レリーフを撃つという衝撃的なパフォーマンスで世間の注目を浴び、その後、「魔女」「娼婦」「結婚」「出産」といったテーマの作品に取り組み、「ナナ」シリーズで大きな評価を得る。そして、1998年にはタロットカードをモチーフとした彫刻庭園「タロット・ガーデン」を、20年もの歳月を経てイタリアに完成させる。この自己との闘い、創造する上での途轍もない精神力とエネルギーを想うと壮絶すぎる。不安定な内面を持ちながらも”ナナ”に至るまでの過程とはどんなに苦渋の歩みだっただろう...とても強い!

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   ♥1963年ミュンヘンのベッカー画廊での射撃パフォーマンス!

私は80年代に知ったお方で、特にヌーヴォー・レアリスムについてというよりも、ニキという女性に興味を抱いて来たのだと思う。インスピレーションというものは大切なもので私の場合、一枚のポートレートやスチール写真などから、そのアーティストに惹かれてゆき、やっぱり好きになるということが多い。そんなお一人で、10代の頃はヴォーグやライフ誌にモデルとして掲載されたこともあるというお美しいお方でもある。ユマ・サーマンの眼を大きくしたような、中年期以降はどことなくイングリット・カーフェンを想起させるようなお方。生涯に渡り、父親への複雑な心理(コンプレックス)、性、母性礼拝、生命、闘い、苦悩、愛というようなテーマを創造されたように思う。

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  ♥ニキとスイス人の夫(彫刻家・画家でもある)ジャン・ティンゲリー♪

ドキュメンタリー映画 『ニキ・ド・サンファル/美しき獣(ひと)』 (1994年・ドイツ映画)や、『DADDY』 (1972年・フランス映画)などのDVD化も熱望しているけれど...。特に『DADDY』はニキの幼少時代の半自伝的なシュールな夢のゲームのようなお話で、愛と憎しみの家族の物語。

”アニエスは、ある日パパが死んだという電報を受け取る。彼女は昔過ごした城へ戻り、父との思い出に浸る。官服を着た立派なパパ、森でのかくれんぼ。そして、同時に思い出される、誰だか分からない怪物のイメージ...”

ニキ・ド・サンファル原作(監督ピーター・ホワイトヘッドとの共同)・出演の幻想的な映画。父親の死を知らされたひとりの女性の胸に、父との思い出がよみがえる。森でかくれんぼしたこと、母親と奇妙な“遊び”をしていた父の姿・・・。自分の過去と再会することで、変化してゆくもの。大好きなパパ、偉大なパパ、でもあれはいったい誰だったのだろう。あのモンスター(怪物)は・・・パパ...?!(ニキは自分の事をもモンスターと呼ぶ) 。この作品は万人受けするものでは決してなく、”観たくない!”と思う方も多いだろう。私は東京の友人から頂いたこの資料の中に、UAのコメントを見つけ優しく響いた。あまりにも私の気持ちに近い表現に★

「みられない人が多いことは知ってるけど、関係ないからみられないのか 関係あるからそうなのかは よくわからない。私はどっちかというと 関係ある人間で良かったと思う その方が今のところ過ごしやすい。」 (UA)
by claranomori | 2007-09-20 20:14 | 往還する女と少女