ピクニックatハンギング・ロック(ピクニック・アット・ハンギング・ロック) ピーター・ウィアー監督
2007年 01月 17日
この映画の主役は誰かな?最初観た時はとびっきりの美少女ミランダにドキドキした。でも、彼女と同室のセーラに何かしら感情移入している私が居た。それから何回観てるだろう...そんな内にこの映画のもつ強烈な神秘性は正にミステリアス。英国の名女優のお一人であるレイチェル・ロバーツのあの存在感!当然の演技力なのだけれどかなり怖い。このお方の存在が共にあるのだと。この怖い校長先生は生徒が消えた謎の岩の麓で1900年3月27日遺体で発見。この後もいくつかの作品に出演されていたけれど、1980年にレイチェル・ロバーツは自殺しているのだ。こじ付けた妄想かもしれないけれど、あの迫真の演技、あの怖さに震えるようなものを感じてならない。ミセス・アップルヤードそのものになりきっていたかのよう。
午後12時で時計がピタリと静止する。この時の狭間、少女の儚さ、美しさを映像は繊細に伝えてくれる。消えてしまった少女と自らの命を絶った少女。ミランダもセーラも永遠の少女のまま。残った多くの生徒たちはその時を駆け抜けそれぞれ大人への階段を登っていくのだろう。セーラは内気で詩の好きな可愛い少女。光輝くブロンドの美少女ミランダに寄せるほのかな淡い想い。少女同士の秘め事のような囁きや笑顔。
私は彼女たちの年の頃、時が止まればいい!と思っていた。でも、今も生きている。年を重ねる喜びもようやく感じているのだけれど、どうしてもあの時が忘れられない。多くのものが凝縮されて結晶のように存在しているよう。この様な女の子同士の限られた時の心模様、世界感を男の子同士で描いた少女マンガの世界。そんな世界を先に読み幻想と現実にうろたえながらもどうにか愉しく生きてきた。これは私個人の想い。世代感というものもあるのかもしれない。ある意味、幼い頃からの免疫だとも思える。悦ばしい出会いたちに感謝している★
美しいお衣装や寄宿舎の少女たち、そして不思議な美しさに満ちている。なので、ぼんやり見とれている時期を過ぎ、今は色んな想いが巡るものとなっている。色んな映画評論家の方の意見を拝見したりしてきた中で、とても興味深く、かつ的を得た、流石!と狙い撃ちされた私はよろめくのだった、このお方のお言葉だということで♥
「思わせぶりな映画ね。画面から台詞から音楽まで、ともかく全部が徹底して思わせぶり・・・。(中略)この映画は、少女漫画的と言えば、言えますね。少女漫画と言っても、もちろんいろいろですが、萩尾望都さんの少女期の感性のゆらめきの世界、山岸涼子さんのミステリアスな世界に近いような印象を受けました。私の場合は、むしろストーリーを積み上げて築いていくことを追求しますから、ちょっと違う世界なのですが、それだけに新鮮で、その不思議な感触を楽しませていただきました。」
by 青池保子さまのお言葉より♪
1975年 オーストラリア映画
監督:ピーター・ウィアー(ピーター・ウェアー)
製作:ハル・マッケルロイ、ジム・マッケルロイ、A・ジョン・グレイヴス
原作:ジェーン・リンジー 脚本:クリフ・グリーン
撮影:ラッセル・ボイド 音楽:ブルース・スミートン
出演:レイチェル・ロバーツ、アン・ランバート、ヘレン・モース、マーガレット・ネルスン、ドミニク・ガード、ヴィヴィアン・グレイ、カレン・ロブスン