『悲しみよこんにちは』 (オットー・プレミンジャー監督 フランソワーズ・サガン原作)
2006年 07月 13日
悲しみよこんにちは/BONJOUR TRISTESSE
1957年 イギリス/アメリカ合作映画
監督:オットー・プレミンジャー
製作:オットー・プレミンジャー
原作:フランソワーズ・サガン
脚本:アーサー・ローレンツ
撮影:ジョルジュ・ペリナール
音楽:ジョルジュ・オーリック
出演:ジーン・セバーグ、デヴィッド・ニーヴン、デボラ・カー、ミレーヌ・ドモンジョ、ジェフリー・ホーン、ジュリエット・グレコ
◆あらすじ◆
去年の夏。セシル(ジーン・セバーグ)は、愛する父レイモン(デヴィッド・ニーヴン)、その愛人エルザ(ミレーヌ・ドモンジョ)と別荘での楽しいバカンスを過ごしてた。そこに、亡き母の友人アンヌ(デボラ・カー)がやって来る。17歳の少女の楽しい日々が断ち切られる...。思春期の少女の心の深い溝と葛藤が、松林の先に広がる美しい海岸を背景に、セシルの心の中の小さな”悪魔”が動き始める。
★ソウル・バスの花びらの如き涙の雫がフランス語のままのタイトルで始まり、ジュリエット・グレコが歌う物憂げな主題歌に合わせ、ナイトクラブで何かを抱えてしまった無表情さで踊るセシル。少しブルーがかった様に美しいモノクロームな色彩。そして、カラーに変わる。現在が白黒、去年がカラーで描かれている。この鮮やかな回想との対比。「あの夏からすべてが変わった。何もかも、永遠に・・・。」とセシルは過去を思い出さないようにしていても、「アンヌ、アンヌ」と夜になると囁く声がする。そして、涙がとめどなく頬を濡らす。セシルは暗い日に向かい「悲しみよ、こんにちは。」と言う。同じ年57年に「聖女ジャンヌ・ダーク」でデビューしたセバーグは18歳(公開時は19歳)。この映画のセシルは2万人近いオーディションからセバーグが選ばれた。まだ新人のセバーグは見事にセシルそのものにピッタリ。完璧なキャスティングだと私は思う。英国の名優、ダンディなデヴィッド・ニーヴンと知的な美女デボラ・カーのファンでもあるので、とってもご贔屓にしている作品のひとつ。原作を読んだのが同じ年の頃なので、とてもセシルに感情移入し易かったのだとも思う。でも、再見する内に、美術的な美しさ、南仏の景色などの素晴らしさなどにも圧倒されてしまう。