ジャン・ルノワールからベルナルド・ベルトルッチへ ★ 美意識の系譜
2012年 10月 04日
扉の向こうをだれが通り過ぎるかわからないし、扉を抜けてだれがセットに入ってくるかもわからない。
それが映ると、リアリティが出るのだよ。
~ ジャン・ルノワール ~
そして、批評家であり翻訳家である柴山幹郎氏の「映画は監督で回っている」というコラムで綴られていた言葉にも頷きながら拝読。ベルナルド・ベルトルッチ監督の、あの『ラストタンゴ・イン・パリ』(1972年)のいくつかの場面が蘇るかのようです。哀切な初老の男性を演じた名優マーロン・ブランドと不思議な小悪魔的な魅力を湛えたまだお若き日のマリア・シュナイダー。
~ 柴山幹郎 ~
★ジャン・ルノワール監督は、印象派画家のピエール=オーギュスト・ルノワールの息子でもある。また、美の巨匠というと欠かせないルキノ・ヴィスコンティもまた、お若き日にジャン・ルノワールの助監督を務めていたのでした。継承されゆく美意識。こうした美の系譜から生み出された数多くの作品が、作者の手から離れて世界中の受け手へと届く。その中の一人に私もいるのだろう、などと想うととても嬉しいものです。芸術は美的であることによって、概念的支配を批判することもでき、デヴィッド・ボウイが問いかけたリアリティ。美が仮象の現象であるのならば、現実存在を超越するという主体。美こそすべて!