フランソワーズ・アルディ:FRANCOISE HARDY / 私の騎士:SI MI CABALLERO (1971年)
2012年 07月 04日
FRANCOISE HARDY / SI MI CABALLERO
作詞:フランク・ジェラール 作曲:トゥーカ 1971年
シ・ミ・カバレロ
できることなら
白い砂塵になって
あなたの軍隊の後を追いたい
シ・ミ・カバレロ
どんなに嬉しいことかしら
一束の雑草になって
あなたの体にくっついてゆけたら
この白い家は
花々に囲まれていても
あなたがいなくては
墓石とおなじよう
フランソワーズ・アルディ!私が「フレンチ・ポップス」という音楽を意識した上で、最初に好きになったお方。そのほんの僅か前にブリジット・フォンテーヌを知ったことが大きいのでしょう。けれど、ブリジット・フォンテーヌにはフレンチ・ポップスというイメージを当時抱かなかったのです。当然のことながら、私も毎年年齢を重ねている。ちょっと寂しいような、でもこの先どんな風なのだろう、と、今の日本の状況の中で私は生きてゆくわけです。とっても憂国の念に溢れながら、でも私はこの日本で生きていつか死が訪れる。思考は深みに陥り滅入るけれど、幸いなことに生まれつきの楽天的な性格が、それでも前を、空を見上げることを忘れずにいられるらしい。
その当時、私は16歳。実に不思議なくらい、この16歳~17歳という高校生の時期に、今も大好きな音楽、アーティストに出合うのです。それ以前は英国、ブリティッシュ・ロックやポップスを主に聴いていたけれど、この辺りから徐々にフランスの音楽、ヨーロッパへ。また女性ヴォーカルが一段と好きになってもゆく。そんな音楽的には実に充実した実りの多い頃ゆえに、こうして好きな曲をふと想い出したり聴いたりすると、いとも簡単に16歳のあの頃、あの教室、あの風景が蘇ります。いつまで経っても行ったり来たり。
この「私の騎士」という曲はオリジナル・アルバムでは『私の詩集』に収録された1971年の曲。作詞はフランク・ジェラールでアルディが信頼を寄せているお方でもある。そして、作曲はブラジルのトゥーカが担当しています。トゥーカもアルディと同様に、女性シンガー・ソング・ライターで、同時代を生きたお二人の中で芽生えた友情のようなものが素敵な曲を作り上げたのだと思えます。
イントロが口笛で始まる印象的な曲で、とっても好きな曲です。アルディに関しては山のように好きな曲が存在するのですが、16歳の私が初めて買ったフランソワーズ・アルディのアルバムに収録されていた曲なので、かなり思い入れの強い曲です。タイトルは「SI MI CABALLERO」とスペイン語。「さあ、私の騎士さん」。物憂い、メランコリックなアルディの歌声とこの詩と曲がピッタリ呼吸を合わせるかのような名曲です。私の好きな往還する女と少女の世界、そして知的でエレガント、そして風変わりなフランソワーズ・アルディの名曲の一つだと思います。
この当時アルディは27歳頃。60年代後半からミュージシャンのジャック・デュトロンと同棲生活を始め、息子さんも。長い間、「結婚しない女」と呼ばれていたアルディはずっとデュトロンとの生活を今も続けている。今は正式にご夫婦でありますが、実にフランス風な良きパートナーとの関係を想うのです。
★「FRANCOISE HARDY / SI MI CABALLERO」♪