『墓にツバをかけろ』 監督:ミシェル・ガスト 原作・脚本:ボリス・ヴィアン 『墓に唾をかけろ』 1959年
2012年 03月 02日
劇中に朝鮮戦争という言葉があり、これまで幾つものフランス映画で青春と戦争という背景が気になっていた。19世紀はイギリスが世界を引率していたと云えるのだろう。そして、20世紀はアメリカという新しい大きな波が世界を引率する。それはいつも戦争を伴っていたのではないだろうか。何か行き場のない若者たちはフランスでも日本でも世界中に。フランスの五月革命や日本の安保闘争など、時期を同じくして若者たちが反体制を叫んだのでは。私は政治に無頓着で生きてきたけれど、革命なり戦争なり、自由や国家のために闘い、時に死さえ懼れずという若者たちの姿に子供の頃から何かしらシンパシーのようなものを抱いていた。そのような資質が何処から来るのかは分からないけれど、ある種のヒロイックなものを今も感じる。一人で白人社会に立ち向うジョーと、白人の令嬢エリザベスは死に至ることでしか結ばれることは許されなかったのだろうが、実に誇り高き姿である。
ボリス・ヴィアン及びミシェル・ガストによるこの『墓にツバをかけろ』は、青春映画としてのフィルム・ノワールであり、またヌーヴェル・ヴァーグ映画とも云えるように想う。音楽はアラン・ゴラゲールで渋いジャズ・ナンバーがモノクロームな映像を彩るかのように響き渡る。
1959年・フランス映画
監督:ミシェル・ガスト
原作・脚本:ボリス・ヴィアン 原作 『墓に唾をかけろ』
撮影:マルク・フォサール 音楽:アラン・ゴラゲール
出演:クリスチャン・マルカン、アントネッラ・ルアルディ、フェルナン・ルドー、ルナート・ウェール、ポール・ゲール、マリナ・ペトローバ、カトリーヌ・フォントネー