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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『ひまわり』 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ 音楽:ヘンリー・マンシーニ★すべてが素晴らしい哀切な名画

『ひまわり』 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ 音楽:ヘンリー・マンシーニ★すべてが素晴らしい哀切な名画_b0106921_8421839.jpg
★昨日に続き、アレクサンドル・ソクーロフ監督映画かニキータ・ミハルコフ監督映画のことにしようかと想ったのですが、今日は初めて観たロシアのことにします。初めて観たと云っても映像の中での出会いで、イタリアの名匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督の『ひまわり』(1970年)という名作です。ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ、イタリア映画に欠かせない名優のお二人が主役。このコンビ映画は多数ありどれも好きです。殊にマルチェロ・マストロヤンニは私の好きな男優のベスト5に入るお方で大好きです。このイタリア映画である『ひまわり』は初めてソ連でのロケを許可された海外作品でもあります。この映画が好きなのは、すべてが素晴らしいと想えること。ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ、そしてもうお一人、リュドミラ・サベリーエワの憂い漂う美しさが初めて観た折から今も印象強く残っています。そして、ヘンリー・マンシーニの主題歌もまた耳にというか心の中に深く残っています。美しくも哀切なメロディーが映像と一体化し名場面を哀愁を伴い蘇らせるのです。
『ひまわり』 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ 音楽:ヘンリー・マンシーニ★すべてが素晴らしい哀切な名画_b0106921_831441.jpg
私は戦争を描いた作品が好きですが、戦闘場面よりもその状況下で生きる人々の姿を描くことでの、声高く反戦を叫ぶのではなく、静かに訴えかける作品が好きです。そういう意味でも、この『ひまわり』は良質の反戦映画の一つだと想います。誰も悪くはない。戦争さえなければ引き裂かれることのなかった男女。けれど、逃れることのできない運命もまた人生だと考えさせられます。ひまわりが一面に咲く場面は圧倒的映像力です。ソフィア・ローレンの名演にも心打たれますが、あのひまわりの下には戦争で亡くなった兵士たちが眠っている墓地であること、あの鮮やかに咲き誇るひまわりと多くの死者たちの眠り。ヴィットリオ・デ・シーカの作品の多くが好きなのは、美を映し出しながらも人生の悲哀や運命をも描く上等さというようなものだろうか。

他にも色々印象強く残っている場面のこと、想いがあるのですがあり過ぎるのでまたの機会にと想いますが、2つだけ。出演者のカルロ・ポンティ・ジュニアとは、カルロ・ポンティとソフィア・ローレンのお子様で赤ちゃんが登場しますがその方です。そして、アントニオとマーシャの娘である少女がジョバンナに"ボンジョルノ"と挨拶する場面。大人たちの事情を知らない無垢な少女の一言と、哀しい現実を受け止めなくてはならないジョバンナの心。幾度観ても泣いてしまいます。


●映画『ひまわり』でのヘンリー・マンシーニによる哀愁の主題歌です♪

ひまわり/I GIRASOLI
1970年・イタリア映画
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
製作:ヴィットリオ・デ・シーカ、カルロ・ポンティ
脚本:チェザーレ・ザヴァッティーニ、
トニーノ・グエッラ、ゲオルギ・ムディバニ
撮影:ジュゼッペ・ロトゥンノ 音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演:ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、リュドミラ・サベリーエワ、アンナ・カレナ、ジェルマーノ・ロンゴ、グラウコ・オノラート、カルロ・ポンティ・ジュニア
『ひまわり』 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ 音楽:ヘンリー・マンシーニ★すべてが素晴らしい哀切な名画_b0106921_8325076.jpg
【あらすじ】 貧しいお針子のジョバンナ(ソフィア・ローレン)と電気技師のアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、ベスビアス火山をあおぐ、美しいナポリの海岸で出逢い、恋におちた。だが、その二人の上に、第二次大戦の暗い影がおちはじめた。ナポリで結婚式をあげた二人は、新婚旅行の計画を立てたが、アントニオの徴兵日まで、一四日間しか残されていなかった。思いあまった末、アントニオは精神病を装い、徴兵を逃れようとしたが、夢破ぶられ、そのために、酷寒のシベリア戦線に送られてしまった。前線では、ソ連の厳寒の中で、イタリア兵が次々と倒れていった。アントニオも死の一歩手前までいったが、ソ連娘マーシャ(リュドミラ・サベーリエワ)に助けられた。年月は過ぎ、一人イタリアに残され、アントニオの母(アンナ・カレナ)と淋しく暮していたジョバンナのもとへ、夫の行方不明という、通知が届いた。これを信じきれない彼女は、最後にアントニオに会ったという復員兵(グラウコ・オノラート)の話を聞き、ソ連へ出かける決意を固めるのだった。

異国の地モスクワにおりたった彼女は、おそってくる不安にもめげす、アントニオを探しつづけた。そして何日目かに、彼女は、モスクワ郊外の住宅地で、一人の清楚な女性に声をかけた。この女性こそ今はアントニオと結婚し、子供までもうけたマーシャであった。すべてを察したジョバンナは、引き裂かれるような衝撃を受けて、よろめく足どりのまま、ひとり駅へ向った。逃げるように汽車にとびのった彼女だったが、それを務めから戻ったアントニオが見てしまった。ミラノに戻ったジョバンナは、傷心の幾月かを過したが、ある嵐の夜、アントニオから電話を受けた。彼もあの日以後、落ち着きを失った生活の中で、苦しみぬき、いまマーシャのはからいでイタリアにやってきたとのことだった。まよったあげく、二人はついに再会した。しかし、二人の感情のすれ違いは、どうしようもなかった。そして、ジョバンナに、現在の夫エトレ(ジェルマーノ・ロンゴ)の話と、二人の間に出来た赤ん坊(カルロ・ポンテイ・ジュニア)を見せられたアントニオは、別離の時が来たことを知るのだった。翌日、モスクワ行の汽車にのるアントニオを、ジョバンナは見送りに来た。万感の思いを胸に去って行く彼を見おくるこのホームは、何年か前に、やはり彼女が戦場へおもむく若き夫を見送った、そのホームだった。 (参照:goo映画より)

●追記です●
★映像の中での"初めて観たロシアのこと"は、この『ひまわり』が最初で当時ソ連時代でしたが、そのソ連の街や風景を観れたものとしての最初です。ロシア(旧ソ連)の最初の映像体験は学校で観た『戦艦ポチョムキン』でした。一人の先生が短く解説してくださったのですが、資料のようなものは配られず、15歳の私にはほとんど理解出来ず。年月を経てDVD化されたもので再度観直しました。ロシア映画に於いて、重要な作品であることを知りました。年月が必要な映画は数多いです。殊に、歴史劇や社会派ドラマなどは、その時代背景を少しでも知るとある場面がくっきりしてくる、そして再度感動に至る。やはり、映画は最良の娯楽であり学びの宝庫です☆
by claranomori | 2012-02-03 07:58 | キネマの夢・シネマ万華鏡