人気ブログランキング | 話題のタグを見る

あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

『プロミス』 パレスチナとイスラエル7人の少年少女たち ★ 少女サナベルの瞳が忘れられない

『プロミス』 パレスチナとイスラエル7人の少年少女たち ★ 少女サナベルの瞳が忘れられない_b0106921_19442667.jpg
★今日も怖い夢で目が覚めた。明日で新年1月も終わり2月となり3月を迎える。あの3月11日から間もなく1年。戦後生まれの者にとって忘れられない大震災が日本で起こった。その上に原発事故で今も復興ままならぬ状態が続く。この日本の大災害がなければ3月20日未明(日本時間)に始まったリビア戦争が新聞のトップを飾る出来事だっただろう。英仏米による多国籍軍とリビア、カダフィー政権との戦い。戦争は世界中でいつも起こって来たし起こり続けている。世界の平和を願う人々の気持ちがいくら大きくとも。ガンジー思想を理想と心に掲げてもそんな日は来ないだろう。中東諸国の原油生産量が多い土地柄は幸か不幸か。今、最も大きな中東問題はイランがホルムズ海峡を封鎖すると声明したことだろう。日本にとっても大きなこと。何年前だったか中東情勢をテレビで観た折の小さな体には大きすぎる銃を持った少年兵たちの姿が脳裏に焼き付いている。勇んで気を吐く少年も居れば、怖がっていた少年も居た。それでも彼らは祖国のために戦場に向かわねばならない。運命という逃れられないものがいつも誰にもある。戦争に悪も善もないのだろう。今回のイランに対しては日本は立場的に欧米に歩調を合わせるしかないのだろう。言語も宗教も肌の色も違うことは長い歴史の中で今も紛争の要因だとも想う。どちら側か一方の視点だけで正義も悪もあったものでなはい。私が「戦争による悲劇」と想う折は、その国々の子供たち、少年少女たちを直ぐに想う。それがどうしてか、私の中のどこから其処に向かうのかは自分でも分からないけれど。

2001年のアメリカ製作の『プロミス』というドキュメンタリー映画を想い出す。主な舞台となる場所はパレスチナで、パレスチナ・イスラエル問題を現地の子供たちの姿と共に観る者に問題提起した映画だと想います。公開前に東京の友人にこの映画のことを教えて頂いた。監督はジャスティン・シャピロ、B・Z・ゴールドバーグ、カルロス・ボラドの三人でボストン生まれのアメリカ人ながら少年時代をイスラエルで過ごしたB・Z・ゴールドバーグ監督が提案者。パレスチナとイスラエルの長い対立の中で、今も昔も戦争と隣り合わせの日常を過ごす子供たち。家族や友の命を奪われても、それでも彼らはその地で生きてゆかねばならない。B・Z・ゴールドバーグは、そんな紛争と和平の狭間にいる子供たちの声が聞きたくなったという。1997年から2000年の和平交渉の時期に撮られた映画で、パレスチナとイスラエルの子供たち7人(8歳から12歳の少年少女たち)を取材したもの。お互いほんの20分足らずの場所に住んでいるのに、彼らはお互いの事を知らない。ユダヤ人の双子の少年ヤルコとダニエルはパレスチナ人の少年ファラジの写真をB・Z・ゴールドバーグ監督に見せてもらい、彼に会いたいと想う。反対する子供もいるけれど、彼らは初めてファラジが中心となり会合を開く事になる。難民キャンプを訪れ、食卓を囲みサッカーをして遊ぶうち距離は縮まってゆくが、歩み寄りたい彼らの願いは叶わず、友情の約束は束の間の出来事として、その後もお互いの現実を生きてゆく。その遮断されたもの、壁は途轍もなく厚く強固である。7人の内、唯一の女の子サナベルの愛らしい姿と瞳がどうしても忘れられない。
『プロミス』 パレスチナとイスラエル7人の少年少女たち ★ 少女サナベルの瞳が忘れられない_b0106921_194523.gif

●7人の子供たち●
ファラジ
デヘイシャの難民キャンプに住む少年。イスラエル兵に殺された友達の仇をとりたいと想っている。
「いつか必ずこの土地を取り返してやる。いつか次の世代がパレスチナを開放し、故郷を取り戻してくれる」
ヤルコとダニエル
西エルサレムに住む双子の兄弟。関心事は陸軍、宗教、バレーボール。祖父はドイツのユダヤ人強制収容所の体験者である。
「イスラエルでは自分で自分を守らなければならないんだ。仲良く暮らせばよいのに」ヤルコ
「戦争やテロで人々が死んだと聞くたびに殺し合ってバカみたいだと感じる」ダニエル
サナベル
デヘイシャの難民キャンプに住む少女。ジャーナリストの父親は刑務所に2年も抑留されている。
「エルサレムはキャンプから10分なのに私はまだ一度も行ったことがないのよ。検問所のせいでね」
マハムード
東エルサレムに住み、ハマス(イスラム抵抗運動)を支持している少年。父親は旧市街のイスラム教徒地区で、三代に渡り香辛料とコーヒーを売るお店を経営している。
「ここは絶対アラブ人の土地さ。何をどう言おうと変わらない。ここで生まれ育ったのは僕らだ」
シュロモ
ユダヤ教徒地区に住み、1日12時間トーラー(モーセ五書)を勉強している。超正統派ユダヤ教徒なので兵役義務は免除され、国から給付を受け神学校に席を置いている少年。
「彼らの気持ちも分かる。50年前に土地を奪われて心細いんだと思う。でも、アラブ人とは友達になれない」
モイセ
歴史の古いベイト・エル入植地に住む少年。将来はイスラエル軍の最高司令官になり、アラブ人を一人残らずエルサレムから追い出したいと思っている。
「ここはユダヤ人の地だ。アラブ人と仲良くなんかしたら友達に臆病者扱いされちゃうよ」

★資料を基に打ちながら涙が出て止まりません。彼らの中で誰が間違っていて、誰が正しいとか想えないです。もうみんな二十歳を過ぎた頃ですが映像の中でしか知らないけれど、出会えて嬉しいです。

プロミス/PROMISES
2001年・アメリカ映画
監督・製作:ジャスティン・シャピロ、B・Z・ゴールドバーグ
共同監督・編集:カルロス・ボラド
撮影:イアン・バックビンダー、ヨーラム・ミロ
出演:B・Z・ゴールドバーグ
ファラジ、ヤルコ、ダニエル、サナベル、マハムード、シュロモ、モイセ
(実在の少年少女たち)
『プロミス』 パレスチナとイスラエル7人の少年少女たち ★ 少女サナベルの瞳が忘れられない_b0106921_22164629.gif
※赤い丸で囲んだ辺りがホルムズ海峡です。

by Claranomori | 2012-01-30 21:42 | 銀幕の少女たち・少女映画