『つもった雪』 詩:金子みすゞ ★ 『金子みすゞ童謡集 わたしと小鳥とすずと』 より
2012年 01月 28日
★金子みすゞ(1903年:明治36年4月11日~1930年:昭和5年3月10日)は山口県出身の、大正末期から昭和初期にかけて活躍した童謡詩人。殊に西條八十に絶賛された女性詩人で、金子みすゞ自身も西條八十のファンタスティックな童謡に心おどらされたお方。金子みすゞが二十歳の折、初めて書いた童謡を雑誌『童話』に投稿。その「お魚」と「打出の小づち」が選ばれ『童話』9月号に掲載される。選者の西條八十は金子みすゞの童謡を「この感じはちょうどあのイギリスの詩人、クリスティナ・ロゼッティと同じだ」と褒め、「女性のすぐれた童謡詩人のいない今日、この調子で大いに努力してください」と励まさたれという。優しくて、それでいて人の心の奥深くまで見つめたみすゞの童謡は、多くの詩人や文学少年・少女の心をとらえた。
この童謡集のタイトルである「わたしと小鳥とすずと」の「すずと、小鳥と、それからわたし、みんなちがって、みんないい」のあたたかな祈りのような響きが多くの人の心に静かに届くのだと想います。小さきもの、力の弱いもの、無名なもの、無用なもの、存在するすべてのものには何かしら意味があるもの。26歳での自死はあまりにも惜しまれるお方ですが、今でも読み続けられていること、出会えたことに感謝しています。
寒い白い冬ですね。今年は積雪が多いそうです。雪は綺麗ですが雪国の生活、ましてやあの大きな東日本大震災後、復旧ままならぬ東北の雪景色を映すニュースを拝見すると、何故か涙が出てきます。真っ白で綺麗な冷たい雪と共に冬を過ごす人々に、以前のような暮らしが一刻も早く訪れますように☆今日はこのやさしき詩『つもった雪』と共に♪
上の雪
さむかろな。
つめたい月がさしていて。
下の雪
重かろな。
何百人ものせていて。
中の雪
さみしかろな。
空も地面(じべた)もみえないで。
『金子みすゞ童謡集 わたしと小鳥とすずと』 より