『荒涼館』チャールズ・ディケンズ 少女エスターとキャディ 挿絵:ハブロット・ナイト・ブラウン(フィズ)
2011年 12月 17日
★ふと、高校から大学に入った時期に本や映画の趣味が合うので親交のあった友人を想い出す。彼女は所謂ミステリー小説愛好家でとても詳しく熱狂的で個性的な方だった。私はというと、ドイツやフランスの古典文学を中心に、雑多に心の赴くままに読み漁るお気楽な読書人生を今も継続中。映画も音楽も美術も大好きなもので、それらが自然と繋がることが愉しい。そんな連鎖する作品たちを鑑賞しては、私なりの感想や想いが後に残る。その友人に奨められたミステリー小説のことに触れたいのだけれど、その前に今日も19世紀の英国文学より。
以前にチャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』のことを少し書いたのですが、ディケンズの晩年期の大作『荒涼館』(1852年~1853年刊行)の主人公エスターとキャディの二人の少女(娘)の挿絵をお借りして。
『荒涼館』の語りとなる、主人公である賢明で美しい家政婦の少女エスター・サマーソンと、滑稽な慈善事業家のジェリビー夫人の娘キャディ・ジェリビーの友情、エスターの出生の秘密、浮浪児ジョー...など、ディケンズらしいユーモア溢れる人物描写の中で、19世紀イギリスの貧富の差などの社会の様子も窺える、推理小説的でもある群像劇。
上のエスターとキャディの絵は、フィズ(Phiz)として知られるイギリスのイラストレーター、ハブロット・ナイト・ブラウン(Hablot Knight Browne:1815年7月12日~1882年7月8日)によるものです。チャールズ・ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』も担当しています。