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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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年輪の話 人間、苦労はむだじゃない★青春とは 『児童生徒に聞かせたい さわやか1分話』より

年輪の話
人間、苦労はむだじゃない


南風と太陽をいっぱいに受けて育つ南側は肉づきもよく、豊かに成長する。つまり、それだけ年輪と年輪の目の幅が広い。だが、北風を受け、日にあたらない中で生きる北側は、寒さから自分を守るために戦う。だから年輪の幅が小さく、しんがその方に寄っていくんだ

だがな、伐採され、材木として利用されるときになると、太陽をいっぱい受けた南側は『板』になる。が、北風を受けて育ったしんの寄った部分は角材として、つまり『柱』になるんだ。
柱は家を支える。
同じように逆境に生きぬいた人間は『板』にはならないが『柱』になれる。
人間、苦労はむだじゃない

★中学三年の秋、父と一緒に山登りをし、その折に伐採された大木の新しい切り株に出合う。「年輪のしんは、どの切り株を見ても同じように北側に寄っているのはなぜか」というお話。著者の柴山一郎氏は、その少年時代の、今は亡き父の言葉を今も自分に言い聞かせているそうです。

人生を3で割ると一日の時間に当たります。卒業生は15歳ですから15割る3で5、つまり午前5時です。これから太陽が昇り、一日の活動が始まる時間です。皆さんの人生はこれからです。

★上記の言葉は、ある中学校の卒業式での二年生代表による「贈る言葉」の一節だそうです。著者である柴山一郎氏はこの少年の言葉を聞き愕然とされた。ご自分の時間を計算され。けれど、父兄による謝恩会でのお話で語られた言葉も素晴らしいのでした。50歳を過ぎて『青春』という詩を壁にはってご自分に言いきかせているという詩です。

青春とは
年を重ねただけでは人は老いない


青春とは人生のある時期をいうのではなく、心の姿をいうのだ。すぐれた創造力、燃ゆる情熱、卑怯を退ける勇猛心、安易をふり捨てる冒険心、こういう姿を青春というのだ。年を重ねただけでは人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失う時に精神はしぼむ。希望ある限り若く、失望と共に老ゆる。

作:柴山一郎 『児童生徒に聞かせたい さわやか1分話』より

★「児童生徒に聞かせたい」というタイトルが気になり読んだ御本です。中にはたくさんの感動的な、また考えさせられる学びの言葉があります。教師生活を終えた後も教育活動を続けている著者ならではの言葉たち。そして、上からの物言いではなく、しっかり生徒たち、子供たちの言葉に耳を傾け、嘗てご自分が少年時代だった頃の体験や両親の姿や言葉も心の糧として生きて来られたことが感じられます。とりわけ、年輪のお話を読んだ折に、今の東日本大震災の東北の人々、殊に子供たちが直結してしまい、そして私自身のこれまでとこれからを想い、とても心に響く言葉でもありました。私は太陽は苦手だし、北風に耐え抜く精神力すら希薄な人間です。けれど、決してこれまでの人生に後悔は持っていません。いくらちっぽけな人生だとしても。考えれば苦しくて泣いてばかりの人生のようです。けれど、楽しかったこと、感動して泣いたこと、笑ったこともいっぱい!「笑い」「笑う」という尊い姿は逆境の中にこそ、崇高な魂と共に在るのではないだろうか・・・とも想え、また泣きながらも妙な心の爽快さを感じています。
by claranomori | 2011-07-25 11:16 | 想い・鑑賞・読書メモ