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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『あゆみ』 作:石川啄木 ★1905年(明治38年)詩集『あこがれ』より

『あゆみ』 詩:石川啄木

始めなく、また終りなき
時を刻むと、柱なる
時計の針はひびき行け。
せまく、短く、過ぎやすき
いのち刻むと、わが足は
ひねもす路を歩むかも。

詩集『あこがれ』より

『あゆみ』 作:石川啄木 ★1905年(明治38年)詩集『あこがれ』より _b0106921_22241258.jpg

★猛暑覚悟とは云え、関西電力も節電要請・・・嘗てこのような状況を誰が想像しただろうか。強い勢力の台風が関西を去ったばかり。東日本大震災から4か月を経過。復興に向かいながらも三次災害のような日々が続く。気象ニュース、それも全国の週間予報をチェックする習慣になっている。東北ではまだまだ瓦礫の中、お盆も近づく。東北出身の作家は多い。なんとなく、明治の詩人であり歌人の石川啄木(1886年2月20日~1912年4月13日)の詩集を読んでいた。私は詩篇が好きなので、時折、訳もなく時代も国籍も気にせず手に取る詩集たち。この『あゆみ』は石川啄木の処女詩集『あこがれ』より。1905年の刊行で啄木は19歳。肺結核で27歳の若さで死去されたお方。妻節子との新婚生活と政治的、社会的事件の中での貧窮作家人生を想う。

明治という時代は遠い日のようであり、またそんなに昔でもないとも想える。思いがけぬ自然災害や事故・・・4ヶ月程前の心とは違ってしまった私が居るようです。心は不思議なもので自分でもさっぱり分からない。けれど、嘗てより強く「死」を考えるようになった。故に「生きる」意味をも考えさせられるのでもある。相も変わらずどうしてだか、16歳の私は常に居る・・・あの図書館通いの私の幼い心で日々「大人になる」という意味、「生きる」という意味を想い悩んでいた、あの蒼い刻。随分年月を経た今の想いとは違うけれど、いまだにあの頃の私に立ち返る。最も青白い思春期の痩せこけた私の姿。啄木は魔の27歳という夭折の詩人。「ひねもす路」は私にはまだまだ続くけれど、明日より今日、今という時間を自分の歩幅でゆっくりと歩いてゆきたい。未来より、これまでの歩み、歴史が教えてくださる歩み、遠き日の人々を想うことの方が性に合う。

※「昭和」、私の大好きな70年代を体現されていた名優、原田芳雄さんがお亡くなりになった。遺作となった阪本順治監督の『大鹿村騒動記』も観たいと想っていた矢先の訃報。悲しいのだけれど、涙がじわじわ溢れるのだけれど、心がついて来ない。私の幼き少女時代が、好きなお方の死と共に巡る。私もそんな歳になっているということ・・・宙ぶらりんの正念場の年かな。原田芳雄氏のご冥福をお祈りいたします。
by claranomori | 2011-07-20 22:06 | 愛の花束・日本の抒情・文学