人気ブログランキング | 話題のタグを見る

あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

『メリーゴーラウンド』作:ロザムンド・ピルチャー★寂しげな少女シャーロットと美しく聡明な娘プルー♪

『メリーゴーラウンド』作:ロザムンド・ピルチャー★寂しげな少女シャーロットと美しく聡明な娘プルー♪_b0106921_2033469.jpg
★ロザムンド・ピルチャー(ROSAMUNDE PILCHER:1924年9月22日、コーンウォール生まれ)の1982年刊行の小説『メリーゴーラウンド』。『空っぽの家』も好きだけれど、この『メリーゴーラウンド』の主人公である美しく聡明な23歳の娘プルーの感性と意志、そして二次的な主人公の少女シャーロット。両親の愛が希薄なこの10歳の幼い少女シャーロットを想いながら読み、またその少女を見つめて思考する娘プルーの心の動きに涙した。プルーはロンドンの画廊に勤めていて、婚約寸前だった。或る日、コーンウォールに住む叔母の怪我の看病に向かうことになる。プルーはそこでダニエルという青年画家と出会う。その出会いは偶然から生まれる必然的なものであるかのようである。複雑な人間関係、社会との鬩ぎ合い。原始的で美しい自然の残るコーンウォールという舞台で、ロザムンド・ピルチャーの優しい語り口と視線で、プルーの青春を描いた小説。

彼女は漫画新聞を手にして、赤い革のバッグを肩からかけていた。顔は青白く、髪は短く、長くほっそりした首を出していた。この外観と眼鏡と禁欲主義的にみじめな表情とで少女は少年のように見え、わたしはプラットフォームで見かけたごわごわした真新しい制服に身をちぢこめ、必死で涙をこらえながらでっぷり太った父親たちから寄宿学校がどんなに楽しいところかを聞かされていた少年たちのことを思い出した。

このお話の中の少女シャーロットはこんな少女のようなのだ。以前綴った「ジョン・シンガー・サージェント:JOHN SINGER SARGENT」というお気に入りの画家の作品の中の一つ、『カーネーション、リリー、リリー、ローズ(Carnation,Lily,Lily,Rose)』という大好きな絵の中。白いお洋服を着た少女が二人。後ろ姿の方の少女がこの『メリーゴーラウンド』に登場する少女シャーロットのイメージ。ダニエルがテイト・ギャラリーで見つけた絵としても描かれています。不思議な運命の糸で結ばれたプルーとシャーロットの人生は、メリーゴーラウンドのように回り始めてゆく♪
『メリーゴーラウンド』作:ロザムンド・ピルチャー★寂しげな少女シャーロットと美しく聡明な娘プルー♪_b0106921_20334050.jpg
『メリーゴーラウンド』 作:ロザムンド・ピルチャー 訳:中山富美子

by claranomori | 2011-02-18 20:32 | 本の中の少女たち・少年たち