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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『風と木の詩sanctus-聖なるかな-』監督:安彦良和 原作:竹宮恵子★14歳の美少年ジルベールとセルジュ

『風と木の詩sanctus-聖なるかな-』監督:安彦良和 原作:竹宮恵子★14歳の美少年ジルベールとセルジュ_b0106921_5164070.jpg★寺山修司も絶賛された竹宮恵子作品というと欠かせない『風と木の詩』。私は連載時の途中からがリアルタイム。その頃の私は彼等の年齢より下だったけれど、不思議なくらいに違和感なく読み進めていた。後に、このアニメ化された映画をある友人と一緒に観たのだけれど、彼女は好きでも嫌いでもない...という感じだった。語った言葉が印象的で「ジルベールって女の子にしか思えない」と。面白いと思った。彼女には何か不自然なものを感じたようだった。女の子のような男の子でも男の子のような女の子でも私は変だと思ったことが一度もない(魅力的ならば憧れた)。私は今も作品で描かれる少年たちの世界を少女世界に置き換えて観ているのかもしれない、まったくの無意識の中で。男の子も女の子も同じく儚い刻を過ぎ行く。淡い想いを他者に抱くあの気持ちは誰にもあるだろう。私にもある。女の子であった。理解されないお方も多いだろう。いくらここまでボーイズラブという世界が市民権を得た今も。何かが違う気がする。私は限られた作品しか知らない。少女マンガが大好きだったことは誇りにも想う。けれど、早くに映画や音楽へと比重は大きく傾いて行き今に至る。すべてが私の大切な思い出たちであり記憶である。そして、今もこの作品を思い出すことで考えることが色々ある。歳を重ねる中でどうでもいい薀蓄も積もる。そんな「どうでもいいこと」が大切でたまらない!マンガが文学より劣ると安易に語るお方やそのような先入観を自然と持たれているお方も多い。私には優劣などない。美しい絵が沢山頁を彩りお話が進む。その原作が映画になると美しい絵は動き、語る言葉や音楽も一緒。頁を捲り読み進めてゆく愉しみとはまた異なるもの。

ジルベール・コクトー わが人生に咲き誇りし最大の花よ・・・ 遠き青春の夢の中 紅あかと燃えさかる紅蓮の炎よ・・・ きみは、わがこずえを鳴らす 風であった 風と木の詩がきこえるか 青春のざわめきが おお 思い出す者もあるだろう 自らの青春のありし日を・・・

このアニメ映画は僅か1時間程のもの。原作の最初の方のお話。セルジュの回想から始まる。そして、美しい音楽の調べは彼等の儚き刻を印象つける。幼き日のジルベールの微笑み。あの声。あの走る姿...もう戻り来ることのない時間。個人差はあれど、男の子も女の子にもある。今、立派な大人になっている人々にだって...。

※14歳のジルベールとセルジュ。私はあまりアニメに詳しくないので声優方のお名前も知らない。けれど、セルジュのお声があの「のび太君」だとはわかる。「白い王子」ことロスマリネも好きだったと懐かしく回想しながら、何故か物悲しい風が私をよぎるかのよう。聖なるものと邪なるもの。その狭間を想う。私の好きな世界はどうもその境界を漂うものが多いようだ。故に、考えることばかり、何故?と疑問ばかりで生きているのだとも想う。

風と木の詩 sanctus -聖なるかな-
1987年・日本映画
監督:安彦良和原作・監修:竹宮恵子 絵コンテ:安彦良和 
作画監督:神村幸子 美術監督:石川山子 撮影監督:高橋明彦 
音楽:中村暢之 音響監督:千葉耕一 
声の出演:佐々木優子(ジルベール・コクトー)小原乃梨子(セルジュ・バトゥール)榊原良子(アリオーナ・ロスマリネ)塩沢兼人(オーギュスト・ボウ)竹村拓(パスカル・ビケ)柏倉つとむ(カール・マイセ)

by claranomori | 2009-09-16 07:06 | 銀幕の美少年・少年映画