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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『湖』詩:アルフォンス・ド・ラマルチーヌ★フランス・ロマン主義最初の抒情詩『瞑想詩集』(1820年)より

『湖』詩:アルフォンス・ド・ラマルチーヌ★フランス・ロマン主義最初の抒情詩『瞑想詩集』(1820年)より_b0106921_1046912.jpg

 

このように、つねに新たな岸辺へと押し流され、
永遠の夜の闇の中に運ばれ、ふたたび戻ることはない
私たちは、この歳月の大海の上で、たった一日でも
錨をおろすことができるでしょうか。

ああ、湖よ、一年が巡って来ぬうちに、
彼女がふたたび見るはずだった愛しい波の近くで、
見よ!私はただ一人、彼女が座っていたこの石の上に
座りに来ている!

詩:アルフォンス・ド・ラマルチーヌ 訳:田村毅
『瞑想詩集』の『湖』 冒頭より

★アルフォンス・ド・ラマルチーヌ(Alphonse de Lamartine:1790年10月21日~1869年2月28日)は、マコンに生まれたフランスの詩人であり政治家。ブルゴーニュ地方の自然と敬虔な家庭(貴族の出身ながら貧しかった)で育つ。王政復古期の1820年にアルフォンス・ド・ラマルチーヌの『瞑想詩集』(Méditations poétiques)が出版され、それはフランス文学史上の一大事件とも云われ、この年(1820年)をもってフランス・ロマン主義が始まるとされるのが定説のよう。その中の最も代表的な詩である『湖』(Le Lac)の創作背景はラマルチーヌが1817年8月末、温泉療養先のエックス・レ・バン(エクス=レ=バン)を訪れた折。前年1816年に美しい夫人と出会い再会の約束をしたけれど、夫人は病重く他界してしまった。その地で、ラマルチーヌは永遠の女性を失った悲しみ、寂しさ、孤独の胸を、湖の岸辺に打ち寄せる波と、岸辺に立つ岩との対比によって描き、回想の悲歌(エレジー)として歌う。哀切な孤独と憂愁に心打たれる!
by claranomori | 2010-11-16 10:40 | 19世紀★憂愁のロマンと美