『肉体の悪魔』少年フランソワ(ジェラール・フィリップ)とマルト(ミシュリーヌ・プレール)原作ラディゲ
2010年 11月 13日
第一次世界大戦のさなか、少年フランソワは、学校に開設された臨時病院の見習看護婦マルトに出会う。マルトには前線に出ている夫ジャックがいた。けれど、フランソワとマルトの恋は燃え上がり、マルトは少年フランソワの子を宿す。マルトは二ヶ月も早く男の子を出産した。除隊してきたジャック。マルトは夫(何も知らない)の前で、「フランソワ」(息子の名であり恋人の名でもある)と、名を呼び続けながら息絶えてしまうという悲恋物語。大戦が終結し、マルトの死後、フランソワの悲しい回想で始まる。
原作と映画がやや混同しているのですが、原作ではフランソワは15歳でマルトは19歳。映画でのフランソワ役を演じるには当時25歳のジェラール・フィリップは無理だと一度断ったのだと読んだことがある。それでも、監督の意向に答え、ジェラール・フィリップならではの甘く切ないフランソワが美しくも哀しく焼きついています。またマルト役のミシュリーヌ・プレールも美しいので、戦争の終結で街が歓喜に溢れる中の二人の心模様を想い号泣してしまったものです。この美麗なお二人は翌年1948年には、ジャン・ボワイエ監督の『すべての道はローマへ』でも引き続き共演されています。
監督:クロード・オータン=ララ 原作:レイモン・ラディゲ
脚本:ピエール・ボスト、ジャン・オーランシュ 音楽:ルネ・クロエレック
出演:ジェラール・フィリップ、ミシュリーヌ・プレール、ジャン・ヴァラス、ジャン・ドビュクール、ドニーズ・グレイ、ガブリエル・フォンタン、シルヴィー、ジャック・タチ