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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『マドゥモァゼル・ルウルウ』著:ジィップ訳:森茉莉★おしゃまな貴族の14歳の少女ルウルウ (1888年)

『マドゥモァゼル・ルウルウ』著:ジィップ訳:森茉莉★おしゃまな貴族の14歳の少女ルウルウ (1888年)_b0106921_763718.jpg
★ジィップ(Gyp:1849年~1932年)はフランスの作家で、本名はマリー・アントワネット・ドゥ・ミラボー=マルテル伯爵夫人。貴族の出身で国粋主義者でもあったという。そのジィップによる1888年の作品がこの『マドゥモァゼル・ルウルウ』。森茉莉によって1933年1月に崇文堂より自費出版された初の翻訳書でもある。後に、1973年5月には薔薇十字社より、1975年4月には出帆新社より復刊され、1982年4月には新潮社『森茉莉・ロマンとエッセー ロマン1 マドゥモァゼル・ルウルウ』に、1994年1月には筑摩書房より『森茉莉全集8マドゥモァゼル・ルウルウ』に収録されています。久しく絶版状態でしたが、2009年12月に河出書房新社より、装画・装丁も新たに復刻されたものです。序文は与謝野晶子、出版には与謝野寛(与謝野鉄幹)の尽力もあったそうです。今回の復刻版は1973年の薔薇十字社版を定本としているものです。

1888年(19世紀末)作品ながらとてもモダンで、少女ルウルウは訳者の森茉莉さんのようにも想えたりしながら記憶されています。軽快でユニークな作品。主人公は、おしゃまな貴族の14歳の少女ルウルウ。天衣無縫な少女ルウルウの颯爽とした優雅な身のこなし、知性はのびやかで、男性に媚びることもなく、綺麗な少女ながら少年ぽいイメージも私にはあります。ゆえに、大好きな少女像でもあるのですが。森茉莉さんが翻訳されたのは1933年なので、作者ジィップの死後ということになります。その事は森茉莉さんも悲しまれていたそうです。

彼女はルウルウを、実在性をもたせたなぞというより以上の、まるでほんとうにいる人のように書きました。わたしはジィップの書かなかった色いろの場面のルウルウをはっきり見て微笑み、おかしがりました。ルウルウはほんとうにいる、わたしの大好きな少女です。

ジィップは革命の直後、貴族の家に生まれました。彼女は周囲の虚礼的な、そうして権力のない者を冷遇するような生活態度に反感を持っていたらしく、その文学にはそれが出てくるようです。また非常に頭のいいために男というものに不満で、くだらない男より動物のほうがいいというので動物に夢中だったといいます。彼女は少女のときに、モンテスキュウに可愛がられたそうです。上流の家に生れて、馬鹿げた因襲、虚飾に反抗して、男の悪口をいい、動物に夢中になっているルウルウはジィップそれ自身のようです。 引用:訳者のことば 森茉莉 より


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『マドゥモァゼル・ルウルウ』
著:ジィップ 訳:森茉莉
★天衣無縫、そして奔放。森茉莉が愛してやまなかった14歳の貴族の少女、おしゃまな貴族のおてんば娘、ルウルウが繰り広げる日常の大冒険! 薔薇十字社からの単行本刊行より三十余年、ついに待望の新装復刊。本文二色刷の豪華仕様。序文:与謝野晶子 解説:中野翠 挿画:宇野亜喜良 装丁:名久井直子 と豪華仕様の復刻版です。 出版社:河出書房新社 2009年

※上のカラーの画像は2009年新装版の『マドゥモァゼル・ルウルウ』の見返しの美麗な絵(宇野亜喜良)をスキャンいたしました。天・地・小口はピンク(薔薇色)で、表紙も実物はもっと素敵です(ゴテゴテしていなくて)♪
by claranomori | 2010-11-05 07:07 | 本の中の少女たち・少年たち