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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『天井桟敷の人々』監督:マルセル・カルネ脚本:ジャック・プレヴェール★永遠のフランス映画の金字塔

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★マルセル・カルネ監督の1945年の作品で、時を経ても繰り返し語り継がれてゆくフランス映画史上の金字塔のような名作『天井桟敷の人々』。初めて観たのは黄昏時の映画番組だったと想う。テレビ放送では2度観ている。そして、「桟敷」が読めずに一緒に観ていた母に教えてもらったことなども懐かしく想い出される。チャップリンの映画を初めて観た時期に近いように想うけれど、かなり前ではっきりしない。けれど、モノクローム映画で3時間を超える大作!今日まで幾度か観直しているのだけれど、長いと感じたことはない。美しくロマンティシズム溢れる映像と、美しい役者方にうっとりする。そして、ドイツ占領下時代に製作された映画であると知り、想いは幾重にも募る。綺麗な場面たちは全編が権力に対する民衆の抵抗という姿勢で貫かれているようだ。美で悪に挑む姿勢は大好き!

1840年代のパリ。タンプル大通り、通称犯罪大通りで裸を売りものにしている女芸人ガランス(アルレッティ )に恋をするパントマイム役者バティスト(ジャン=ルイ・バロー)。こそ泥のラスネール(マルセル・エラン)、野心に燃える新人俳優ルメートル(ピエール・ブラッスール)も彼女に恋をしていた。座長の娘ナタリー(マリア・カザレス)はバティストを愛しているので心を痛める。ガランスは富と権力を持つ伯爵(ルイ・サルー)の愛人となってしまう。そして、「第二部」となる5年の歳月が流れ、再会したガランスとバティストは初めての一夜を明かすが、その翌朝、妻のナタリーが子供を抱いてバティストを訪ねてきた。ガランスは涙をのんで愛する彼を母子にゆずり身を引くことに。カーニバルの雑踏の中を去るガランスを追い、彼女の名を呼ぶバティストのラストシーン...は色褪せることはないだろう。
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このひとりの妖艶な女芸人と男たちが繰り広げる青春絵巻。『天井桟敷の人々』は、ヒトラー率いるドイツ占領下のフランスで、3年3ヶ月を費やし、1945年に完成したマルセル・カルネ監督の不朽の長編大作名画。ジュリアン・デュヴィヴィエ、ジャン・ルノワールなど、フランス映画界の巨匠たちが次々とハリウッドへ逃れた後、敢えて故国に留まり芝居小屋の立ち並ぶ19世紀パリの裏町を舞台に、恋に、芝居に生きる人々を描いた。それは「カルネ流の抵抗」でもあった。芸達者な役者たちと流麗な洒落た台詞は、詩人でもあるジャック・プレヴェールが紡いでいる。また、この「犯罪大通り」は実在したものながら、1862年のパリ大改造で消滅。この『天井桟敷の人々』は、非占領地であった南仏ニースの撮影所に400メートルの犯罪大通りを再現し撮影されたという。流石!恋と自由を謳うフランスならではだと感動的。カルネ=プレヴェール=コスマという名が並ぶのも嬉しい。
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★1940年6月、フランスはドイツに降伏。パリを含む北部はドイツの占領地域となる。そんな非常事態の中での『天井桟敷の人々』は1943年8月にクランクイン。しかし、ニースで始まった撮影は、僅か3日後に中断されてしまう。シチリア島に上陸した連合軍が、ニースへ侵入してくるというので、撮影隊はやむなくパリに戻る。しかし、今度はプロデューサーがユダヤ系という理由で仕事を禁じられ、マルセル・カルネ監督たちは身銭を切って撮影を続行。3ヵ月後、パテ社が製作を引き継ぐけれど、ドイツ軍は撮影現場を毎朝訪れてエキストラ選びに立会い口を挟んでいた。また、撮影終了後には、主演女優のアルレッティが、ドイツ将校との交際を理由に身柄を拘束されるという事件も起きたという、撮影秘話も残されています。

天井桟敷の人々/LES ENFANTS DU PARADIS
1945年・フランス映画
監督:マルセル・カルネ
製作:フレッド・オラン
脚本:ジャック・プレヴェール
撮影:ロジェ・ユベール、マルク・フォサール
音楽:モーリス・ティリエ、ジョゼフ・コズマ(ジョセフ・コスマ)
出演:アルレッティ、ジャン=ルイ・バロー、マリア・カザレス、マルセル・エラン、ピエール・ブラッスール、ルイ・サルー、ジャヌ・マルカン、シモーヌ・シニョレ、ジャン・カルメ

by claranomori | 2010-11-03 19:10 | キネマの夢・シネマ万華鏡