『から騒ぎ』監督・主演:ケネス・ブラナー★エマ・トンプソン他豪華!原作:ウィリアム・シェイクスピア
2007年 01月 24日
陽に焼けた女性達が活き活きしていて、演技派エマ・トンプソンも実に魅力的な知的で陽気な(やや高慢な)ベアトリス役が素晴らしい。そして、ブラナー扮するベネディックも喧嘩ばかりしているベアトリスと遂に結婚。独身者主義だったのにすっかり周りの愉快な罠に填ってしまう。恋に落ちる瞬間ってどんなきっかけかは分からないものだ。まだお若くて初々しい頃のケイト・ベッキンセイルのヒーロー役は特にお気に入り!クローディオ(ロバート・ショーン・レナード)ともお似合いだ。ここでのキアヌ・リーヴス(ドン・ジョン)は悪い役。大公(殿)役のデンゼル・ワシントンはかっこいい!その異母兄弟という役柄のキアヌの企みで大変な騒ぎになるのだけれど、自らを毒草と語るドン・ジョンの理性などを嫌う人間...こういう役には何となくキアヌ・リーヴスは少し物足らない様にも感じた。髭で人相を悪くしていたけれど、やっぱり綺麗な顔立ちで贔屓目か、憎たらしい役ではなかったように思う。
とにかく、ケネス・ブラナーが特に楽しくて仕方ない~!という雰囲気が伝わるもので、さすがシェイクスピア大好きなお方だからなぁと愉快。美しい自然とのびのびと軽快に全編を通して陽気な活力に溢れているのが良いと思う。思わず笑ってしまう場面も観る度に増えて行く。どこかドタバタ喜劇風なのも下品ではなく上手く描かれているので楽しい。役人たちも不思議な雰囲気を醸し出していた。
by ケネス・ブラナー
英国の優れた役者様は先ず映画の前に舞台。ジェレミー・アイアンズは大物なのに今でも映画と舞台の両方を続けておられる。メリル・ストリープが”英国の役者には敵わないわ。だって、シェイクスピアの台詞を空で言えるのですから。”と仰っていた。シェイクスピアの国だし、ローレンス・オリヴィエもみんな舞台俳優としても名優。私もシェイクスピアは熱狂的ではないけれど、やっぱり好きで時折ソネット集を読んだりして気分が良くなる。『から騒ぎ』は監督・脚本・主演とケネス・ブラナーが担当。心からシェイクスピアを愛しているのだと伝わる。なので、原作の『空騒ぎ』を彼流の脚本で現代人の私達に伝わり易い感覚で描いている。美しいイタリアの景色、そして村の日に焼けた女性たちの生き生きした感じ、美麗な音楽と全てに於いて好き。もう何十回も観ていて、もうすぐ全部の台詞を覚えそうなくらい。歌は覚えてしまった。パトリック・ドイルの音楽も素晴らしい!
ケネス・ブラナーの当時の奥様であったエマ・トンプソンも才色兼備で素敵な女優さま。そして、まだ初々しく可愛らしい頃のケイト・ベッキンセイル、ロバート・ショーン・レナード(彼はアメリカ人ながらシェイクスピア舞台の経験もある好青年なので、このクローディオ役もピッタリだと思う)、デンゼル・ワシントン、キアヌ・リーブス....と好きな俳優方がいっぱいの豪華キャスト!アメリカ映画となっているみたいだけれど、私の中ではイギリス映画という感じ。最後はハッピー・エンドで爽やかな感動。シェイクスピア悲劇も好きだけれど、シェイクスピア喜劇もとても好き。ロマンティック・コメディって大好き!ケネス・ブラナーは役者としても監督としても才能に長けたお方。最近は『ルーズベルト』を演じていたのも良かった。もう一度、また観ようと思っているところ。
1993年・アメリカ映画(イギリス映画)
監督・脚本:ケネス・ブラナー 製作:ケネス・ブラナー、スティーヴン・エヴァンズ、デヴィッド・パーフィット 原作:ウィリアム・シェイクスピア撮影:ロジャー・ランサー 音楽:パトリック・ドイル 出演:ケネス・ブラナー、エマ・トンプソン、デンゼル・ワシントン、ロバート・ショーン・レナード、ケイト・ベッキンセイル、キアヌ・リーヴス、リチャード・ブライアーズ、マイケル・キートン、アレックス・ロー、ブライアン・ブレッスド