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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『地球に落ちて来た男』監督:ニコラス・ローグ主演:デヴィッド・ボウイ★美しくも哀しいSFロマンの名作!

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★最も多感な時期にDAVID BOWIEというアーティストを知り得た事、今の私、私の人生に欠かせないお方。よくお友達に「ずっと、ボウイが好きって凄い!」って言われるのだけれど、自分でも分からない。お声も曲も大好きだけれど、やっぱりルックス!ミーハーのまま今に至り、年月が過ぎてゆくだけの様に思う。でも、ただ美しいだけではないし、ボウイから影響を受けたことが今の私の生活の中でも生きている。なので、常にボウイは欠かせないお方なのだと思う。過去の栄光に縋るスーパースターとも違う、今も現役でお年を召されても素敵。ストイック!

さて、ニコラス・ローグ監督は凄い!偉い!このカルト映画を製作して下さったのだから。主役がボウイでなければ、また違った伝承のされ方をしていたかも?オープニングから引き込まれてゆく。"地球に落ちて来た男"はトーマス・ジェローム・ニュートンと名乗り、自分の星の危機を救う為に幾つもの特許が含まれている映写機から大会社を設立していく。そんな彼を政府がチェックしだす辺りから後半は政府の人体実験に。(私の観たリバイバル時の同時上映が『時計仕掛けのオレンジ』だったのも納得!)この人体実験のシーン、グルグルと椅子が回転するシーンとか、コンタクトが付着してしまうシーンとか...可哀想(なボウイさま~!)って思ってしまう。ボウイに関してはどうしても役柄に感情移入はし難いみたい。けれど、美少女たちが恐怖のいけにえ(恐怖映画等)に必須条件であるように、この美しいボウイが痛めつけられる絵が観る者の心に響くのであるので、やはりニコラス・ローグ監督は偉い!

ニュートンの衣装は全てボウイ自らが選んだそうだ。道理でキマッテル!帽子好きのボウイなので幾パターンかの帽子、眼鏡もバッチリ!オープニングの山を下るシーン、初めてエレベーターに乗り恐怖のあまり鼻血を出し倒れて動けなくなるシーン、政府に軟禁されたニュートンを訪ねたメリー・ルー(キャンディ・クラーク)と卓球するシーン、モニターに囲まれて、次第にアル中に...数十年後も全く年を取らず美しく、ただただアルコールを飲む日々、もう自分の星には帰れないのだ。妻子を残して来たのでいつも気にしていたのに...。

この映画はSF映画と呼ぶにはかなり風変わり。ニコラス・ローグは「愛の物語」だと語っていた。異端に対する好奇の眼差し、サディスティックな人体実験。これは、今も人間が動物を使ってしている。そんな事もふと、思ったりする。

『ステーション・トゥ・ステーション』『ロウ』と続くアルバムのジャケットはこの映画から。オレンジの髪のボウイ、痩身過ぎる位に薄っぺらな身体、真っ白な肌・・・美しすぎる!作り物ではない。デヴィッド・ボウイという人間であるであろうロック界のスーパースター。

ロイ・オービソンやビング・クロスビーの曲も流れるけれど、ツトム・ヤマシタの曲はとても映像を効果的にしていると思う。ボウイは曲を作っていたのだけれど、監督は役者として熱望したようだ。

この『地球に落ちて来た男』のハリウッド・リメイクが決定したそうだ。まだニュートン役は未定だと。どなたが演じるのだろう?気になるけれど、あまり期待しない方が良いのかも。
(2006年4月26日)
『地球に落ちて来た男』監督:ニコラス・ローグ主演:デヴィッド・ボウイ★美しくも哀しいSFロマンの名作!_b0106921_4335741.jpg
「デヴィッド・ボウイほど、ふたつの分野(映画とロック)にエネルギーを注ぎ、成功している例はない。」と水上はるこ氏を始め多くの方が語っておられる。そういう文章を拝読する度に”流石!ボウイさま~♪凄いです!”って誇らしく嬉しく思う。ボウイ映画と言えば、やはりニコラス・ローグ監督の『地球に落ちて来た男』。このニコラス・ローグ作品はボウイがロック界のスーパースターではなく、過去の美青年俳優のお一人ならば、きっと「(知る人ぞ知る)カルト映画」とされていたように思う。SFというジャンルの傑作という扱いの今日だろうけれど。でも、”愛の物語”だと監督は語っていたし、ジャンルに囚われない不可思議な映画。とにかく、ボウイが美しい!あの痩せこけた真っ白い肌。変な歩き方。自ら選んだお衣装やサングラスなど...全てボウイの為の映画のよう。宇宙人役もこの頃のボウイは正にハマリ役。本当にこの世に住んでいる人なのだろうか?と思っていた程。今では、レンタル屋さんによっては、音楽のコーナーに置いているお店もある。それはデヴィッド・ボウイという名前が大きいからなのだろう。ボウイは元々演劇畑のお方で、映画ファンとしても有名。俳優デヴィッド・ボウイとしても認知されているけれど、どうしたって音楽シーンに与えた影響は計り知れない。今も現在進行形であることも安易なことではないだろう!

(2007年1月8日:ボウイの60歳のお誕生日に書いたものです。)

『地球に落ちて来た男』監督:ニコラス・ローグ主演:デヴィッド・ボウイ★美しくも哀しいSFロマンの名作!_b0106921_4351957.jpg地球に落ちて来た男/THE MAN WHO FELL TO EARTH
1976年・イギリス映画
監督:ニコラス・ローグ 製作:マイケル・ディーリー、バリー・スパイキングス製作総指揮:サイ・リトヴィノフ原作:ウォルター・テヴィス 脚本:ポール・メイヤーズバーグ 撮影:アンソニー・B・リッチモンド音楽:ジョン・フィリップス 出演:デヴィッド・ボウイ、リップ・トーン、キャンディ・クラーク、バック・ヘンリー、バーニー・ケイシー
※2010年12月22日に【ベスト・ライブラリー 1500円 隠れた名作特集】の一環として再度発売されるようです。

『地球に落ちて来た男』監督:ニコラス・ローグ主演:デヴィッド・ボウイ★美しくも哀しいSFロマンの名作!_b0106921_595678.jpg『地球に落ちて来た男』 著:ウォルター・テヴィス 訳:古沢嘉通 扶桑社 2003年
★近未来、T・J・ニュートンと称する男が、ある田舎町に現われた。彼は、死に瀕した星アンシアから“地球に落ちて来た男”だった。たったひとり、ふるさとを遠く離れ、まったく異なる環境に苦しみながらも、ニュートンは、自分が背負った計画に力をつくす。一方、ある地方大学の教授ブライスは、ふとしたことから、驚異的な映画フィルムの存在を知る。それは、従来のテクノロジーを超越した、あたかも地球外文明の産物のようだった…ふたりの奇妙な邂逅と、ニュートンを襲う過酷な運命―デイヴィッド・ボウイ主演、ニコラス・ローグ監督のカルトSF映画の原作となった、ウォルター・テヴィスの代表作。40年の時を経てついに邦訳登場。(BOOKデータより) ●2003年にようやく出版されたものです。ボウイのニュートン役がいかに適役であったかと納得させられます。また、監督が仰っていた「愛の物語」であることをも再認識させられるものです。美しくも哀しいSFロマンの名作です(原作・映画どちらも)!

★以前綴った感想にDVDとウォルター・テヴィスの原作を少し追記いたします。まだまだ追記すると思います。私の心の女神(ミューズ)とは性別を問いません。本来そうであると信じてもいます。中学生だったのです、初めてこの映画がリバイバル上映された時は。私は臆病者なので校則に反することをしない所謂「おりこうな子」だったと想いますが、学生時代に一度だけ先生に嘘をついて6時間目の授業を抜け出して観に行きました。伊丹から梅田までは距離があるので、6時間目の授業の後では上映に間に合わなかったのです。友人の女の子に付き合って頂きました。結構スリルでした。2本立てで先に『時計仕掛けのオレンジ』。

私たちが到着した折は既に満席状態で立ち見客の大人の男女で館内は埋まっていました。制服で行った私たち二人は最年少だったかも知れません。近くに居られたOL風の女性の言葉は今も覚えています。「制服で観に来るような映画か?!」って。私たちはその言葉の意味がまったく分りませんでした。当時はビデオすら発売していなくて、学校をサボってまで心ときめかせて電車に乗っていた私の気持ちなど、そのお方には持ち合わせていないのだろうと想いました。もしかすると『時計仕掛けのオレンジ』目当てだと早合点されたのかもしれません。後ろの方に立って2本観ましたが、キューブリックの方はボカシばかりでさっぱりよく分からず、『地球に落ちてきた男』の上映を待ちわびていました。

初めて大きなスクリーンで動くボウイのお姿を拝見したのです。今でもあの時の館内の雰囲気が浮かびます。今ならケーブルTVなどもありますが、当時は古い映画はリバイバルかローカル放送の映画番組、定価が高かったけれどビデオを購入するしか術はなかった時代。なので、今では、いつでも大好きなボウイの美しいニュートン役をソフトで観ることが出来ますが、あの時の感動は言葉にはならないのです。一度観ただけでは分らない難解な内容で、字幕を追いながらなのでその時はお話の大筋しか分かっていませんでした。原作があることも知らず、発売から遅れてここ数年でようやく読みました。ボウイというロック界のスーパースターが若き日に演じた哀しい宇宙人。作者のウォルター・テヴィスはボウイをモデルに描いたかのような、正しく、ボウイのための役柄であるように想えました。

あの小さな館内に多くの方が駆けつけていた今はもう無い映画館。校則違反、帰宅が遅れたので両親にも叱られました。でも、そんなことは平気で、「ごめんなさい」と両親に謝ってしょ気てもいたけれど、もっともっと私の心は薔薇色のようだったのです。あんな感情はあの中学生の私であったからこそ得られたのだろうと想います。そして、その後、あの映画館(大毎地下劇場)の会員になりました。安く鑑賞することができたのです。けれど、あまり時間の経たない内に閉館されてしまいとても悲しかったです。でも、僅かな時間でしたが私の10代の映画との深い思い出なので、今でも懐かしく思い出すことがしばしばあります。ありがとうございました☆

※ふと想いますとラッキーな時代だったかも!『時計仕掛けのオレンジ』は年齢制限があるのではないでしょうか...今だと。セーラー服姿で駆け込み既にオープニングは始まっていたと想います。最後列の扉ぎりぎりの場所に立って観ていたのです。学校以外に制服で外出した記憶も高校卒業まで一度も無いのです。あの時だけ。ああ、若気の至り♪
by claranomori | 2010-10-29 05:20 | 文学と映画★文芸・史劇