『白雪と紅ばら』 原作:グリム童話 絵:ロラン・トポール(ローラン・トポール) 訳:酒寄進一
2010年 08月 23日
むかし、むかし・・・・・夫をなくした貧しい女性の小屋の前の庭に、小さなバラの木が2本植わっていました。1本は白いばら、もう1本は紅(くれない)のばらです。またこの女性にはばらの花のような二人の美しい娘がおり、一人は白雪、もう一人は紅(べに)ばらという名前でした。二人の娘は優しく気立ての良い、働き者でした。白雪はおとなしく穏やかで、紅ばらが牧場や野原を駆け回って、お花を摘んだり蝶を捕まえたりしている時も、白雪はお家に居てお母さんのお手伝いや本を読んであげるという対照的な性格。でも、二人はとても仲が良く、いつも一緒に手を繋いで出かけるのでした。
この箇所がとっても大好きなのですが、この仲の良い姉妹の森でのできごと。小人との出会い、そして口のきけるクマとの出会い。実はこのクマは王子さまなのでした。このお話での小人は悪者で王子さまに魔法をかけてクマに姿を変え、宝を奪っていたのでした。王子さまはその小人をやっつけることができた時に、ようやく魔法が解けもとの凛々しい王子さまの姿に戻り宝石も取り戻せました。そうして、白雪は王子さまの花嫁に。紅ばらは王子の弟の花嫁に。宝も分け合い、年老いたお母さんも、2本のバラの木も一緒に王子さまのお城で幸せに過ごしました。そのバラの木はお母さんのお部屋の窓の外に植えられて、くる年、くる年、白と紅の、それはそれは美しい花を咲かせたのでした。...というようなお話です。
この絵本のローラン・トポール(1938年1月7日~1997年4月16日)はパリ生まれの画家であり作家。ポーランド系のユダヤ人でもあり、1964年の初の小説『幻の下宿人』、その原作を映画化したロマン・ポランスキー監督の『テナント 恐怖を借りた男』との類似のような直感から好きさが増したのは、1972年のルネ・ラルー監督との共同製作アニメーション映画『ファンタスティック・プラネット(野性の惑星)』を知った時。再見して知ったことにヴェルナー・ヘルツォーク監督の『ノスフェラトゥ』にも出演されていた。正に怪奇と幻想、ゴシック・ロマン香る私の好きな世界の繋がりの妙を想う。これらの映画のことについても感想などをまた綴ろうと想います。
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