あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『素肌の涙』 少女ジェシー(ララ・ベルモント) 監督:ティム・ロス 原作:アレキサンダー・スチュアート

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★イギリスの俳優でもあるティム・ロスの初監督作品にして衝撃的な映画『素肌の涙』(1998年)。この映画が大好きではないけれど、観なくてはならない映画だと思い鑑賞した。ティルダ・スウィントンが出演されていることも大きな要因であったけれど、子供の頃から映画が大好きで生きていた私も、いつの間にか嘗ての≪少女幻想≫をもっと真剣に考えたいと思っていた頃でもあった。そうしたタイミングで出会うことになったこの『素肌の涙』...今も浮かぶのは透き通った白い肌と表情を隠した少女の涙、そして姉を思う弟、そして父と母というある家族の風景。

18歳の少女ジェシー(ララ・ベルモント)と15歳の少年トム(フレディ・カンリフ)はお互いを思いやる仲の良い姉弟。両親を慕う姉弟と子供と家族を愛する親。良き家族の風景は片方のもの。隠された表情が実はあった。こんなことがあってはならない!あるからこそ無くすべきなのだ!というティム・ロス監督の想いを考えることが今はできる。原作者のアレキサンダー・スチュアートもそうだろう。可憐で純粋な少女崇拝をしていると心は安らぐ。けれど、このジェシーという18歳の少女は既に≪女≫として成長しているのでもある。この時期の少女たちを一纏めには語れない。肉体的にも精神的にも個人差はとても大きいのだから。家族思いの優しい父親(レイ・ウィンストン)と娘ジェシーには隠された秘め事があった。近親相姦である。弟が目撃してしまったことで家族の均衡は崩れ行く。結末やその後よりも、強烈だったのはジェシーが語った「ママと同じようにして」という言葉。弟の告発に自責と苦悩の涙を流すジェシー。彼女は何も知らない母や家族を愛していながらも、その少女の肉体はもうひとつの闇の姿(夜の顔)を持ち始めていた。このような少女たちがお話の世界だけのことではないことを知らねばならない。似たような境遇の少女たち、誰にも告げることが出来ずに自責と苦悩する少女たちも、私にはどうしても愛すべき少女たちなのだ。

綺麗なお洋服や飾りに彩られた美しい少女たち。薄汚れたお洋服しかなく粗野な態度でしか表現することのできない少女たち。童女と思春期の少女、また社会的に大人である年齢でありながら少女的なものを失わない女性たち、または、そんな≪少女幻想≫を心に隠し持ちながらも嫌悪する女性たち...様々なパターンを私は可能な限り想像し自分なりに受け入れ、彼女たちを愛してこれからも生きて行きたいと心底想う。なので、このような作品に触れないわけにはゆかない。美少女映画、美しい夢のような優しいお話が大好きなのに...。

「彼女が母としてしか存在してないことに重要な意味があるわ。私にしてはずいぶん珍しい役だと思うし、それがこの役をやる動機だったと思うけど、テーマそのものが私を惹きつけたのよ。これが、ごく普通の家族で、大袈裟に崩壊した家族でないことがとても大事なの。近親相姦は異質なものとして捉えられがちだけれど、実はよくあることなのよ。」 
(- 母親役を演じたティルダ・スウィントンのインタビューより -)

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素肌の涙/THE WAR ZONE
1998年・イギリス映画
監督:ティム・ロス 製作:サラ・ラドクリフ、ディキシー・リンダー 製作総指揮:エリック・エイブラハム 原作・脚本:アレキサンダー・スチュアート 『The War Zone』 撮影:シーマス・マッガーヴェイ 音楽:サイモン・ボスウェル 出演:ララ・ベルモント、フレディ・カンリフ、レイ・ウィンストン、ティルダ・スウィントン

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by claranomori | 2010-08-04 11:17 | 銀幕の少女たち・少女映画