『ローズ メリー ローズ』 生と死で繋がった3人の女性★著:マリー・ルドネ (1987年)
2010年 08月 03日
タイトルにある3人の女性は生と死で繋がったような運命の姉妹のようでもある。老女ローズ、12歳の少女メリー、そして赤ちゃんのローズ。この赤ちゃんの母親は少女メリーで16歳で出産し死に至る。老女ローズが少女メリーを洞穴で見つけたのだけれど、メリーの12歳のお誕生日にローズは死んでしまう。この小説には精密な描写はなく、その他の登場人物たちはローズとメリーの名を混同して語る(記憶されている)辺りは不思議な気分でもある。少女の初潮で始まり出産時の出血で死に至る、その血はこのお話にとても重要。また赤い血と同様に、白のイメージや風景、そして老女ローズが唯一持っていた「伝説の本」という存在も。僅か16歳で死に至るという少女メリーながら、老女ローズから少女メリー、そして生まれてきた娘ローズという生命の流れ、尊さのようなものが印象的で重苦しい読後感など皆無だった。
この『ローズ メリー ローズ』は、『スプレンディド・ホテル』(1986年)と『フォーエバー・バレー』(1987年)に続くもので、これらは三部作とされているけれど前2作は未読。いつか読んでみたいと思っているところです。