『ジェニーの肖像』 時をかける少女ジェニー★著:ロバート・ネイサン (1940年)
2010年 04月 19日
「1938年、冬のニューヨーク。貧しい青年画家イーベンは、夕暮れの公園で、一人の少女に出会った。数日後に再会したとき、彼女ジェニーはなぜか、数年を経たかのように成長していた。そして、イーベンとジェニーの時を超えた恋が始まる・・・」というお話で、新訳版(創元推理文庫)には『それゆえに愛は戻る』が併録されている。
ロバート・ネイサン(Robert Nathan:1894年1月2日~1985年2月25日)は、アメリカ・ニューヨーク生まれの作家。ハーヴァード大学在学中より創作、詩作を始め、後には映画脚本も手掛け、児童文学作品も残されている。この特異なる作家の作風は安易ながらも≪ファンタジー≫という形容が似合う。それも儚く美しい。訳者による「喪失の中にこそ人生があり、芸術がある。逆に、喪って初めて得るものもあるし、喪わなければ手に入らないものがあるのだ。」という記述に心を射られた私。ウィリアム・ディターレ監督による同名の映画作品(1947年)も大好きで、主演はイーベン(エヴン)役をジョセフ・コットン、時をかける少女ジェニー役をジェニファー・ジョーンズが演じ、神聖なるアリス院長役はリリアン・ギッシュであるので忘れ難い作品の一つ。劇中ミス・スピニー(エセル・バリモア)が語る「心に見えるものこそ真実」という言葉と表情も心に刻まれている♪